遠藤雷太のうろうろブログ

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東京セレソンデラックス『くちづけ』

2011-07-24 23:40:08 | DVD・VHS・動画など
東京セレソンデラックス『くちづけ』 [DVD]
クリエーター情報なし
Victor Entertainment,Inc.(V)(D)



2011/7/25

知的障害者が暮らすグループホーム「ひまわり荘」が舞台。
物語を作るときに「当事者じゃない人がどこまで当事者らしく語れるか」ということは、とても重要。
こういうことは、「障害」を題材にして物語を作る場合、特に重要視される。
他に「戦争」や「妊娠」を題材にしたときもそうだな。
かと言って、殺人者を演じるから人を殺すというわけにもいかず、バランスが難しい。
結論から書くと、このお芝居はそのバランスが奇跡的なレベルで巧くいっている。
泣けるし、笑えるし、感動もできるし、不快でもない。
その辺のバランスは、どんな心がけをしたら書けるんだろうと考えながら見る。
たぶん「障害」を描こうとするとダメ。
代わりに書かなきゃいけないのは、「個人」の生き方。
「障害」>「個人」になると、たぶん説教臭くなったり、現実の一番悲惨なところを見せないとリアルじゃないとか、そういうことに重きを置いた話になってしまう。
少なくともそれではエンタメとして成立しない。
個人の生き方を追うことで、「ある幸せな人生を送った知的障害者の話」として、物語を成立させることができる。
もちろん、その個人の事情を追うための下調べは絶対に念入りに必要なんだけど。
役者さんは、不勉強なことに知ってる人が誰もいなかった。ただヒロインを演じた加藤貴子は可憐だったし、「演劇集団 円」の金田明夫の安定感にもうっとりした。
もう一人の主人公、うーやんを演じた宅間孝之は、きびきびとした演技で物語を引っ張っていた。この人、脚本も演出も団体主催もやっている。超人なのか。
ほかにも芯の強いカッコいい女性を演じていたのが、東風真知子。キャスト紹介文を読んだら、電波少年などでおなじみの「真中瞳」だった。まったく気付かなかった。
芳賀優里亜の演じている女子高生も可愛らしかった。
色んな年齢層の役者さんが登場する舞台は、やっぱり豊かだなと思う。
ただ、「個人」の話だと割り切ってはいても、人の悲しい話を見て勝手に共感して泣きそうになっている自分はいったい何様なんだろう。作り手の狙いどおりだからいいんだろうけど、その辺の感じ方が難しい。
あと、ラストの演出はちょっと納得いってない。

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