このディスクは、個人的にいろんなエピソードがいろんな形で絡んでいる、僕にとってモザイクのような印象がある1枚です。日本で紹介されて注目されはじめた頃から聴いてはいたのですが、弟が先にCD買っちゃってテープに落としてもらってたので、CDを買ったのはつい最近です。ってなんだこれ、かれこれ20年も前になるのか。
青年誌のあるマンガで、自信のなさとそれゆえのひねくれた性格が顔に出て嫌われていたOLが、金粉ショーのダンサーになって見違えるようになって帰ってくる、というエピソードがあったのですが、そのステージで踊るときの曲が「バンボレオ」でした。マンガ見てるときは知らなくて何とも思わなかったのですが、このCDを買って気づきました。えーっとまあ、そんだけ。
学生のときの1年上の先輩達は音楽的にいわゆる「雑食」でして、ジャンルを問わず興味を持った音楽を片っ端から聴いて見ては他の人や僕達に紹介してましたが、やはりちょうど流行り始めたコレに飛びついて「ジョビ・ジョバ」のハンドクラップを練習してました。見た限り一度も上手くいってなかったけど。
この頃ちょうど鬼平犯科帳の吉右衛門シリーズが始まって、親以上とまで言われることもある役のはまり具合とともに、エンディングの時代劇らしからぬ映像・音楽で評判になってましたが、案の定お勧めしてた友人ともどもドツボで、僕なんかよくひとりで日本酒飲みながらエピソード見て泣いてました。ほんと泣けるんだってば。ここで使われているのは有名な「インスピレイション」ためしに弾いてみようとしたことがありますが、全然ムリ。
あらためてCDを買って通して聴いて見ると、よくまあと思うくらいヒット性の強い曲が並んでいて、当時のグループの勢いが感じられますが、それぞれの曲のアレンジが多彩なのも印象に残ります。だいたいちゃんとボーカルがいるのにインストロメンタルを数曲入れちゃうあたりからすでにけっこう珍しいと思うのですが、同じボーカルの曲でも、たとえば「バンボレオ」ではベースが一拍ごとに音を止めるので、他のギターやハンドクラップとも相まってリズムがすごく立って聴こえます。「ジョビ・ジョバ」のサビでは逆にギターばりに音階を飛び跳ねさせてメロディーの厚みを作っています。ハズレの少ない聴きごたえのあるアルバムで、大ヒットも納得。
あと、どうしても切り離せないのが空耳アワー。「ベン・ベン・マリア」はジャンパーを取りましたね。とくに歌い出しだから、うっかりしてるとあの映像が頭に浮かんできてしまう。しかし本当にそう聞こえるんだよなー。
「GIPSY KINGS」EPIC/SONY ESCA 6332