定禅寺通と同じように、今は寺名だけを残す例がいくつかあります。良覚院丁もそのひとつ。戦災復興から地名からも外され、公園名にその名残を残しているのが、「良覚院丁公園」です。片平の一角で南町通りの面していながらここだけ静寂に包まれた緑のオアシスです。
良覚院は、かつて伊達家の祈祷寺として非常に重用されていました。明治期に廃寺となりましたが、幾人の厚志家の手によって庭園が整備され、それが現在仙台市が管理する「良覚院丁庭園」となりました。庭園は、庭園内茶室の「緑水庵」と共に、月2回一般公開(無料)されているようです。
この公園に隣接して「馬上蠣崎神社」(うばがみかきざきじんじゃ)があります。伊達政宗は、愛馬(五島)と共に、幾千の戦を乗り越えました。しかし老齢のために、大坂冬の陣では、五島を厩舎において出陣します。役目の終わりを悟ったのか、五島は、本丸の崖から身を投じます。政宗は、心を痛め、馬場であった蠣崎(現在の追廻地区)に社を建立したのです。後に、片平に移設され、現在に至ります。
有名な伊達政宗騎馬像が本丸跡に設置されていますが、きっと「五島」も喜んでいることでしょう。
祈祷寺として良覚院の存在が由縁だったのか、「役行者」の石像が神社の入り口に目立たないように置かれています。不思議なパワーを感じるのは、私だけではないと思います。
見にくいですが、「役行者」石像の縁起が書かれた石碑があります。
さらに連なるように、「仙台大神宮」があります。明治期に伊勢神宮から分詞され、「宮城のお伊勢様」と呼ばれ、宮城県の人前結婚式の草分けとして広く知れ渡っています。
いかがでしょうか、何の変哲もない公園ですが、いろいろ想像してみると、興味がつきないエリアです。近くに、最近話題の「HEY」や「e.(イーピリオド)」、昭和喫茶「DOMI(ドミー)」などがあります。合わせて”街探”してみて下さい。