野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

手毬型の花がたくさんつく白の花吹雪(紫陽花シリーズ30)

2019年08月01日 09時13分10秒 | 

花吹雪は、名前から予想されるような桜色ではなく、白から薄い青に色変わりする。装飾花は珍しくとがった一重の花弁で、縮れた感じが面白い。手毬型の花がたくさんつくので見ごたえがある。どこか蝶がたくさん群れているような感じを与える印象的なアジサイである。

(2019-06 東京都 神代植物公園) 

 

 

 

花吹雪 (園芸アジサイ)
愛媛県で作出されたテマリ咲きの園芸アジサイです。
装飾花は鋸歯のある剣弁一重で、最初白色で咲き始め、咲き進むにつれて次第に薄青色へと変化していきます。
また、わずかに残る両性花は紺色に咲きます。


長く花を咲かせるので庭木に好まれるサルスベリ

2019年08月01日 05時35分37秒 | 

サルスベリの花がどこでも満開である。「これそげに夏の花なる百日紅 正岡子規 百日紅」というように、夏になると赤い花を咲かせ、百日紅の名のとおり、長いあいだ花が咲き続ける。そのために庭木によく使われる。ぼくも子供の頃に住んでいた庭にサルスベリの木が植えられていて、そのつるつるとした木の肌をよく覚えている。

怕痒樹」の漢名は、木肌をこすると枝葉ともに揺れ動くからだという。日本でもこれを「くすぐりの木」と呼ぶ地方があるようだ。しかし本当にくすぐると反応するのだろうか。
俳句の世界では、サルスベリが五文字なので、好まれる季題だが、花そのものへは、花期の長さに少しうんざり感が強くまじっているようだ。「子の伏目あまりにながし百日紅 赤尾兜子 玄玄」。あるいは「てらてらと小鳥も鳴かず百日紅 正岡子規 百日紅」。

(2019-07 川崎市 路傍) 

サルスベリ

サルスベリは別名「百日紅」(ヒャクジツコウ)の名のとおり、初夏から秋までの長い間鮮やかな紅色やピンク、白などの花を咲かせる花木です。

サルスベリは樹高2~10mほどに生長し、つやのある濃い緑色の葉っぱを互い違いに生やします。

樹皮が白くなめらかな手触りをしていることが特徴です。猿も滑って落ちてしまうほどツルツルという様子からサルスベリと名付けられました。

花びらの縮れた小さな花がまとまって穂のように咲き、夏から秋まで美しい花姿が楽しめます。

学名・原産国・英語
学名 Lagerstroemia indica L.
科・属名 ミソハギ科・サルスベリ属
英名 Crape myrtle
原産地 中国南部
開花期 7~10月
花の色 ピンク、白、濃い紅紫、紫
別名 百日紅(ヒャクジツコウ)
猿滑(サルスベリ)
怕痒樹(ハクヨウジュ)

 

百日紅 の例句
いつの世も祷りは切や百日紅 中村汀女
いふならば余燼の生や百日紅 能村登四郎
うちつけに青竹退り百日紅 齋藤玄 飛雪
かくろひつ日はのぼりつめ百日紅 上田五千石 天路
きらきらと照るや野寺の百日紅 正岡子規 百日紅
けんらんたる女を消せば百日紅 加藤秋邨
ここにのみ咲く百日紅島の墓地 右城暮石 句集外 昭和四十四年
これそげに夏の花なる百日紅 正岡子規 百日紅
これ頓生菩提百日紅 中川一碧樓
さるすべり「眼中の人」眼前に 鷹羽狩行
さるすべりしろばなちらす夢違ひ 飯島晴子
さるすべりしろばなのまだこの世なる 飯島晴子
さるすべり夏の終りのはげしさに 山口青邨
さるすべり夏百日を過ぎてもや 石川桂郎 高蘆
さるすべり手がかりのなき刻移る 原裕 青垣
さるすべり百千の花観世音 松崎鉄之介
さるすべり百日過ぎし紅の濃さ 鷲谷七菜子 一盞
さるすべり紅白交叉虚子の径 山口青邨
さるすべり美しかりし与謝郡 森澄雄
さるすべり肌理こまやかに寒の日に 川端茅舎
さるすべり芽吹き遅れぬセルには早し 野澤節子 未明音
さるすべり裸木けものの肌をして 山口青邨
さるすべり高し潜水夫ねむれり 渡邊白泉
たそがれもかわたれも百日紅かな 橋閒石 和栲
てらてらと小鳥も鳴かず百日紅 正岡子規 百日紅
てらてらと百日紅の旱かな 正岡子規 百日紅
どうしても鈍き頭や百日紅 草間時彦 櫻山
どの墓の人が植ゑしぞ百日紅 右城暮石 句集外 昭和四十四年
なんとなく鶏卵とがり百日紅 斎藤玄 雁道
ひと夜どまりは旅にあらずか百日紅 森澄雄
ふんだんに戸水を遣ふ百日紅 飴山實 句集外
ほふしぜみ百日紅の花の日に 百合山羽公 春園
ほふしぜみ百日紅は目に久し 百合山羽公 春園
まぎれなき百日紅や森の中 正岡子規 百日紅
まだ冬の固き裸のさるすべり 三橋敏雄
まろび寝や簷のあはひに百日紅 水原秋櫻子 霜林
ゆふばえにこぼるる花やさるすべり 日野草城
よそ行きのさまに薄切酢蓮根 佐藤鬼房
わが故屋(ふるや)海の端百日紅も亦 中村草田男
わが消なば道こそ絶ゆれ百日紅 上田五千石 天路
カメラ拭うに土下座の男 さるすべり 伊丹三樹彦
一刹に草をゆるさず百日紅 古舘曹人 砂の音
一君子百日白の門を出づ 高野素十
一徹に生き蓑笠や百日紅 古舘曹人 能登の蛙
一臂もて山火にひかるさるすべり 古舘曹人 砂の音
一花だに落ちず高野の百日紅 右城暮石 句集外 昭和三十七年
一貧士百日白の門を出づ 高野素十
三人の婿おおらかに百日紅 橋閒石俳句選集 『和栲』以後(Ⅱ)
三代の百日紅下女児生れ増す 中村草田男
三鬼の寺瘤を増やして百日紅 右城暮石 一芸
世の中やひとり花咲く百日紅 正岡子規 百日紅
乳子ほのと立ちて新し百日紅 秋元不死男
乳牛に百日紅の花こぼるる 大野林火 海門 昭和十一年
五十の手習百日紅の咲く間は 三橋鷹女
今人来往(こんじんらいおう)幹撫づ古城のさるすべり 中村草田男
仮の世に咲きて紅白さるすべり 鷹羽狩行
何恃めとや躍り咲く百日紅 岡本眸
半里さきに見ゆや庄屋の百日紅 正岡子規 百日紅
又しても百日紅の暑さ哉 正岡子規 百日紅
又しても百日紅の長さ哉 正岡子規 百日紅
口軽く病を語る百日紅 相馬遷子 山河
咲きはじめたる一掻きの百日紅 清崎敏郎
境内に光陰はなし百日紅 清崎敏郎
墓地逍遥雨の紅白さるすべり 山口青邨
夏に籠る傾城もあり百日紅 正岡子規 百日紅
多岐亡羊の母情悼めよ百日紅 中村草田男
大伽藍炎上の跡百日紅 廣瀬直人 帰路
大皿に白さるすべり切りて置く 平井照敏
太陽の熱の白さやさるすべり 鷹羽狩行
奈良の樹の間に一樹百日紅 右城暮石 声と声
奈良坂の家うち暗きさるすべり 桂信子 草樹
女来と帯纒き出づる百日紅 石田波郷
妻寝ねぬ白さるすべりいま思ふ 森澄雄
始りぬ百日紅の百日も 相生垣瓜人 明治草
子の伏目あまりにながし百日紅 赤尾兜子 玄玄
学校の昼静かなり百日紅 正岡子規 百日紅
家毎に咲く百日紅癌多発 右城暮石 句集外 昭和四十一年
富士近き街に目覚めぬ百日紅 角川源義
寺もまたいくさにほろぶ百日紅 石田勝彦 雙杵
寺焼けて土塀の隅の百日紅 正岡子規 百日紅
小祭の獅子舞はせけり百日紅 正岡子規 百日紅
尼寺に濯ぐ音する百日紅 鷲谷七菜子 游影
尼寺は風に紛れず百日紅 廣瀬直人 帰路
幹ひかりはじめて秋のさるすべり 鷲谷七菜子 一盞
幹撫でてやる逝く秋のさるすべり 林翔
御僧にさるすべり白つくしけり 星野麥丘人
怠らぬ棒の稽占や百日紅 内藤鳴雪
我に粗き刻が過ぎゆく百日紅 右城暮石 句集外 昭和三十三年
採血や雨後なお燃えて百日紅 楠本憲吉 孤客
料峭や竹の中なるさるすべり 上田五千石『天路』補遺
新しき猿又ほしや百日紅 渡邊白泉
日直の教師睡れば百日紅 廣瀬直人 帰路
日除して百日紅を隠しけり 村上鬼城
早飯の平地よ白さるすべりは雨 飯島晴子
春ゆくにまかせ百日紅芽ぐむ 松本たかし
昼あそぶ黄金蟲をり百日紅 石田波郷
景勝の地を墓地占めて百日紅 右城暮石 句集外 昭和三十三年
暁の夢たゆたうて白さるすべり 林翔
暗窓に白さるすべり陰みせて 金子兜太
月明の白さるすべり散ることよ 安住敦
月育つ白さるすべり咲き継いで 安住敦
朝よりも夕の初心百日紅 後藤比奈夫
朝襷かけて一僧百日紅 石田勝彦 秋興以後
朝雪の故なくかなし百日紅 水原秋櫻子 帰心
朝顔のちりぢり失せぬ百日紅 齋藤玄 飛雪
木の股に猫眠らしめ百日紅 大野林火 月魄集 昭和五十四年
木の芽雨さるすべりのみ孤絶せり 下村槐太 天涯
木の芽雨百日紅のみ孤絶せり 下村槐太 光背
木槿囲いがいいな 百日紅でも と 墓算段 伊丹三樹彦
末の子の寝起きのわるさ百日紅 飴山實 句集外
村々のうす紅きざすさるすべり 飯田龍太
柝うつや花了へんとし百日紅 石橋秀野
栗の樹と背あはせやさるすへり 正岡子規 百日紅
楓気ままな葉展ぶ下百日紅からき芽を 種田山頭火 自画像 層雲集
欠伸して唇叩く百日紅 岡本眸
此頃は薄墨になりぬ百日白 正岡子規 百日紅
死に隣りしてさるすべり・水溜 佐藤鬼房
段畠を限って墓 その白さるすべり 伊丹三樹彦
汝は白と決められて咲くさるすべり 鷹羽狩行
涅槃会の窓突兀とさるすべり 飯田龍太
渾身の明るさ雪の百日紅 岡本眸
満月出て白さるすべり遊ぶごとし 森澄雄
濡れ髪を乾かす風の百日紅 橋閒石 朱明
濤音のある日なき日や百日紅 石田波郷
炭木の名百日紅もそのなかに 右城暮石 散歩圏
無住寺と人はいふなり百日紅 正岡子規 百日紅
焼山寺への道しるべ百日紅(焼山寺三句) 鷹羽狩行
焼跡となりても墓地のさるすべり 右城暮石 句集外 昭和二十四年
父死ぬか百日紅も古びたり 森澄雄
玉砂利を巫女往き来せり百日紅 右城暮石 句集外 昭和六十年
生れてまだ骨見する猫百日紅 岡井省二 明野
町末の午を過ぎをり百日紅 齋藤玄 飛雪
白かべの薄あからみやさるすへり 正岡子規 百日紅
白さるすべり月下に降るは縷のごとし 安住敦
白さるすべり歯科医が走つてきたよ 金子兜太
白さるすべり濡らす驟雨の日に三度 大野林火 方円集 昭和五十三年
白猫の通る夜ふけのさるすべり 森澄雄
白百日紅百日白を切りとほす 上田五千石『琥珀』補遺
百日の中の一日百日紅 後藤比奈夫
百日の百日紅われと窶れあふ 能村登四郎
百日を白さるすべり保(ほ)し得んや 中村草田男
百日紅 少女来て 逆上り稽古 伊丹三樹彦
百日紅あかるきもとに流人もふ 大野林火 海門 昭和十一年
百日紅あはき眩輦をおばえけり 阿波野青畝
百日紅いよよはなやぎ時雨けり 伊丹三樹彦
百日紅いろやや淡し中山路 加藤秋邨
百日紅からは日の声風の声 後藤比奈夫
百日紅ここにも咲かせ迷ひ道 鷹羽狩行
百日紅この叔父死せば来ぬ家か 大野林火 青水輪 昭和二十六年
百日紅この地母郷のごと見むか 角川源義
百日紅ごくごく水を呑むばかり 石田波郷
百日紅さだかなる刻経てゐたり 廣瀬直人 帰路
百日紅しづかに蟻のゆきあへる 加藤秋邨
百日紅ちらは扇にうけて見ん 正岡子規 百日紅
百日紅ちりては咲くや死にもせず 石田波郷
百日紅となりにのうぜんかづらいま 篠原梵 年々去来の花 中空
百日紅の「今中」母の生命咲かず 中村草田男
百日紅の幹*くすぐれば仏笑む 中村草田男
百日紅の枯枝を映し乱視なり 三橋鷹女
百日紅の道をそれ来て鉦ひびく 角川源義
百日紅ひらひらと女児うまれけり 平井照敏 天上大風
百日紅ふと水死者のこと云い出す 橋閒石 卯
百日紅へは漣といふ日差 後藤比奈夫
百日紅まことの愛は遂になし 金子兜太
百日紅われら初老のさわやかに 三橋鷹女
百日紅をさな木なれば涼しさよ 相馬遷子 山河
百日紅下宿に慣れぬ身を横たえ 金子兜太
百日紅乙女の一身またたく間に 中村草田男
百日紅九十九日はなくも哉 正岡子規 百日紅
百日紅何年後は老婆たち 三橋鷹女
百日紅先生の忌も齢寂ぶ 上田五千石『天路』補遺
百日紅命の賭の手術終ふ 角川源義
百日紅咲くや小村の駄菓子店 正岡子規 百日紅
百日紅咲くや真昼の閻魔堂 正岡子規 百日紅
百日紅咲く世に朽ちし伽藍かな 飯田蛇笏 山廬集
百日紅咲けども父祖の墓地遠し 右城暮石 句集外 昭和二十五年
百日紅園児ねむりの刻来たる 飯田龍太
百日紅坂がそのまま門内へ 波多野爽波 鋪道の花
百日紅夏百日は長し短し 安住敦
百日紅夜蝉は朝の道に死す 角川源義
百日紅学問日々に遠ざかる 相馬遷子 山国
百日紅峡のぼり来る声高し 角川源義
百日紅徒労と知りて人に逢ふ 角川源義
百日紅心つまづき声からび 石田波郷
百日紅恋を忘れて胴太き 岡本眸
百日紅憂ひなきごと黙しをり 角川源義
百日紅持薬手にして旅の酒 角川源義
百日紅散華に舞うて 蜆蝶 伊丹三樹彦
百日紅暮れて灯のうち地蔵盆 森澄雄
百日紅梢ばかりの寒さ哉 正岡子規 百日紅
百日紅母校はいまも少女学ぶ 津田清子 礼拝
百日紅母老いしかば父も老ゆ 鷹羽狩行
百日紅水まけば熱き香をあぐる 上村占魚 鮎
百日紅波郷の恋の句の色紙 村山故郷
百日紅泣くとはいへど鳴く赤児 中村草田男
百日紅深息しては稿をつぐ 石田波郷
百日紅火屑の落花掃かれけり 深見けん二
百日紅父の遣せし母ぞ棲む 中村草田男
百日紅片手頬にあて妻睡る 加藤秋邨
百日紅白兎の浜の波ころし 角川源義
百日紅百日咲いて開かずの門 三橋鷹女
百日紅百日白と大雨中 星野立子
百日紅縁者を埋けて帰り来る 角川源義
百日紅脛を惜しまず濯ぎをり 森澄雄
百日紅親子は生国を失へり 角川源義
百日紅近づかず道曲りけり 石田波郷
百日紅追はれ心は昔より 中村草田男
百日紅釈迦の阿難のわれ彳つも 下村槐太 天涯
百日紅長かりしかも師との道 能村登四郎
百日紅雀かくるゝ鬼瓦 石橋秀野
百日紅面皰(にきび)は舎利を吹きいでぬ 川端茅舎
目も見えず耳も聞こえず百日紅 橋閒石 微光以後
眼けはしく百日紅の下に佇つ 上村占魚 鮎
石に腰かけて遠くに百日紅 大野林火 方円集 昭和四十九年
石塔の上にこぼれぬ百日紅 正岡子規 百日紅
禅寺に知恵の肌のさるすべり 鷹羽狩行
秋風のひだのごとくにさるすべり 平井照敏
秋風やきのふはしろきさるすべり 平井照敏
築山の芝の青きに百日紅 正岡子規 百日紅
粥腹に媚びる百日紅の空 橋閒石 無刻
紅不易八雲旧居の百日紅 津田清子 礼拝
紅白にしてさるすべり契られず 鷹羽狩行
紫陽花の花青がちや百日紅 尾崎放哉 大学時代
網戸越し百日紅の終りの花 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
繻子を織る四幅の綾や百日紅 山口青邨
老い母のまなざしに慣れ百日紅 原裕 青垣
聡社寂び秋温存の百日紅 上田五千石『琥珀』補遺
胆洗う水のゆくえの百日紅 橋閒石 和栲
胸から腰から壮枝や冬の百日紅 中村草田男
自害藩主の寺だ 裏にも百日紅 伊丹三樹彦
船影の水しづかなるさるすべり 飯田龍太
花を載せ老百日紅花を撒く 百合山羽公 寒雁
茂吉亡し 唐寺にさるすべりの白 伊丹三樹彦
茂吉旧居へ 辻を迷わす 百日紅 伊丹三樹彦
茶筅師の根気 ほとほと 百日紅 伊丹三樹彦
葬終へし箒の音や百日紅 鷲谷七菜子 花寂び
蝉鳴いて日かげ涼しきさるすべり 右城暮石 句集外 昭和三年
螫す蚊痛し花いつまでも百日紅 右城暮石 声と声
行軍に夜ぞ暁けきたる百日紅 相馬遷子 山国
贋物と閑かさ競う百日紅 橋閒石 荒栲
赤々と百日紅の旱かな 正岡子規 百日紅
赤寺の赤さの 臘涙 百日紅 伊丹三樹彦
身疲れて心抗ふ百日紅 岡本眸
農の墓百日紅枝重たげに 森澄雄
通夜堂や緑の中の百日紅 正岡子規 百日紅
週末の家の塵焼く百日紅 岡本眸
遠ざかるほどあきらかに百日紅 鷹羽狩行
遠景に嵌めて確な百日紅 後藤比奈夫
酒好の昼から飲むや百日紅 正岡子規 百日紅
野の中の小寺や百日紅咲けり 正岡子規 百日紅
門閉ざし切りの小社百日紅 右城暮石 天水
阿蘇古町昼しんかんと百日紅 中村汀女
雨ふるはさるすべりの木松浜忌 下村槐太 天涯
雨乞のしるしも見えず百日紅 正岡子規 百日紅
雨明き秋桜子忌のさるすべり 平井照敏
雨澄んでゐる秋冷のさるすべり 鷲谷七菜子 天鼓
震災忌 ゆさ ゆさ 百日紅の飛び火 伊丹三樹彦
青天に咲きひろげゞり百日紅 正岡子規 百日紅
青嵐百日紅を中にして 正岡子規 百日紅
颱風の空飛ぶ花や百日紅 水原秋櫻子 霜林
鬼やんま白さるすべりの村をゆく 金子兜太
黎明のにはかに白きさるすべり 鷹羽狩行
黒髪といふ名の町のさるすべり 鷲谷七菜子 天鼓