紫陽花シリーズの最後はノリウツギ。名前はウツギだが、アジサイの仲間である。園芸種はピラミッド・アジサイとしてよく知られている。しかし山中に自生する花の野性的な力強さと素朴さも捨てがたい。先日訪れた蓼科の山の中でも大きな花を咲かせていた。ノリの名は和紙の製造において樹液を糊として使ったからだという。
(2019-06 東京都 神代植物公園)
ノリウツギ(糊空木、学名:Hydrangea paniculata )は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木。
特徴
樹高は2mから5mくらいになる。木であるが、先端がやや倒れて他の木により掛かり、つる植物のように見えることもある。葉に葉柄があり、枝に対生し、葉の形は卵形から楕円形、縁は鋸歯状。花期は7月から9月で、枝の先に白色の小さな両性花が円錐状に多数つき、その中に花弁4枚の装飾花が混ざる。
樹液を和紙を漉く際の糊に利用したため、この名がついた。
新エングラー体系では、ユキノシタ科アジサイ属になっているが、クロンキスト体系ではユキノシタ科の木本類をアジサイ科として分離独立させている。また、APG体系においてもアジサイ科に分類される。
分布と生育環境
北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林縁などに自生する。よく目立つ花で、またハナカミキリやハナムグリなどの訪花性の昆虫が多く集まる。
花は枯れてからも茶色くなって翌年まで残る。そのため、和歌山県南部の山間部では娘を嫁に出すときに「ノリウツギの花が無くなるまで帰るな」と言って送り出す地域があるという。