<金冷シ>
暑さでヘトヘト・改めて自分の限界を知る丹沢;塔ノ岳(今年26回目)
(単独山行)
2017年7月29日(土) 曇一時小雨
■夜明けがだいぶ遅くなった…
太平洋上にたくさんの台風ができて,お互いに影響し合って瞑想を続けている.その影響もあって今日の天気予報は一応曇りと言うことになっているが,ところによってにわか雨という但し書きがついている.ちょっと曖昧な天気予報だが,ちょっと迷った末に,土曜日の恒例行事である丹沢塔ノ岳詣でをしようと思う.
いつものように4時10分に自宅を出発する.今日はもう7月も終わりに近い.瞬く間に夏至を過ぎてから1ヶ月以上経過している.さすがに夜が明けるのも目に見えて遅くなっている.つい2~3週間前は,この時間,あたりはもうすっかり明るくなっていたが,今日はまだ真っ暗である.私は街灯の明かりを頼りに大船駅へ向かう.路面は夜露で濡れているが,昨日の余熱がたっぷり溜まっていて,モワ~っとする蒸し暑さを感じる.歩いているうちに,まだ夜明け前だというのに,もう汗ばんでくる.
”こんな調子だと,今日の塔ノ岳は,多分,焦熱地獄だろうな…”
■蒸し風呂のような杉林
大船から東海道本線で小田原駅へ.ここで小田急線に乗り換える.何時ものように車窓から富士山と矢倉岳が重なる風景を見たかったが,今日は雨雲が低く垂れ込めていて,残念ながら,富士山は全く見えない.
渋沢駅で大倉行バス停に並ぶ.前から3人目.
6時41分,大倉行の臨時バスが出る.待っていた人が全員座れるほどの乗客である.乗り合わせた常連はKMさん,TDさん,IWIさんなど僅かである.
6時52分,バスは大倉に到着する.
6時54分,大倉から歩き出す.今日は一人旅である.
大倉付近の路面は,意外なことに良く乾いている.超ゆっくり歩いて,7時02分登山口を通過する.ここまでバス停大倉から約700メートル.見かけによらず結構な球坂の登りである.このあたりまで力んで登ると,たちまちのうちに汗まみれになってしまうので私は慎重である.
しばらくの間,杉林の中を登り続ける.杉林の緑が美しいが,まったく風がないので,むしむしした熱気がよどんでいる.ときどきアブが私の体の周りをしつこく飛び回る.
<熱気がよどんでいる杉林>
■日の当たる坂道
7時12分,丹沢ベースを通過して,日の当たる坂道に差し掛かる.ここまで登ると進行方向右手が開けて,朝日が差し込んでくるはずだが,今日は一面の霧である.ここまで登っても風はなく,ただただ蒸し暑いだけである.山麓からハトの啼き声が聞こえてくる.
どんなに歩行速度を落としても,汗が絶えず噴き出す.
”こりゃあ~…どうしようもないな”
私は,15分に1回程度の割合で,ハイドレーションシステムに入れた水を2~3口飲んで,水分補給に気を遣う.
7時22分,観音茶屋を通過する.
いつもならこのあたりまで来ると,体が馴れてきて,歩行速度をやや速めるが,蒸し暑い今日はなかなか…そうも行かない.
<日の当たる坂道>
■見晴茶屋からの眺望
7時41分,ようやく雑事場ノ平に到着する.先ほど私を勢いよく追い抜いていった若者数名が,雑事場ノ平のベンチで荒い呼吸をしながら休憩を取っている.無理が利く彼らの若さがうらやましい.
7時43分,見晴茶屋に到着する.
見晴茶屋から相模湾の望む.辺り一面に薄い霧がかかっていて,空と海が一体になって見えている.
<見晴茶屋からの眺望>
■見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
例によって階段を見上げた写真を撮る.今日も相変わらずたくさんの登山者の後ろ姿が見えている.
汗が出ない速度で登ろうと試みるが,蒸し暑さのためにどうしても汗が流れ出てくる.私は慎重に水分補給に気を遣いながら登り続ける.
<見晴階段>
■一本松から駒止茶屋へ
見晴階段を上り終えてモミジ坂にさしかかる.ここも慎重にゆっくり登り続けて,8時02分,ようやく一本松を通過する.
大倉から一本松までの所要時間は1時間08分.いつもより8分ビハインドである.
”やっぱり,蒸し暑さには勝てないな…ブツ,ブツ,”
一本松上のベンチは休憩を取る若い登山者で鈴なりになっている.
やがて,駒止階段に差し掛かる.ここで俊足のYDさんに追い抜かれる.仕方ないなという気持ちと情けないなという気持ちが交錯する.
8時22分,ようやく駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は1時間28分.
”こんなに掛かるなんて…こりゃだめだ”
せめて,1時間15分ぐらいで登りたいところである.
<駒止茶屋>
■見えない富士山の写真
駒止茶屋上の休憩所前を何気なく通過しようとする.
すると,
「…やあ,FHさん…」
と声をかける人がいる.IMIさんである.
「おや,IMIさん…,今日はどこまで登りますか…」
と伺う.
IMIさんは,今日は駒止茶屋が終点だとのこと.
「ここから先,堀山の家まではほとんど水平でしょう…せめて堀山の家まで行きましょう…」
とお誘いする.
IMIさんは,多少迷われたようだが,結局,堀山の家までご一緒することにする.
歩行速度をさらに遅くして,ゆっくりとあたりの雰囲気を味わいながら堀山の尾根道を散策する.
途中,晴れていれば富士山がよく見えるところを通過するが,今日は富士山どころか近場の景色も全く見えない.どうやら私たちは雲の中に入ったようである.
<見えない富士山>
■小草平(堀山の家)
8時35分,堀山を通過する.
緩やかな下り坂の先にある登り返しをゆっくり登って,8時47分,小草平(堀山の家)に到着する.小屋の玄関につり下げてある温度計は20.5℃.やっぱり気温が少々高い.
大倉からの所要時間は,1時間53分.私の心の中は,
”なんと無様なことよ…なさけないな”
と嫌悪感でいっぱいになる.
IMIさんも
「小草平まで2時間かぁ…情けないなあ.前は1時間半で悠々登れたのに…」
と独り言のように言う.
私たちが休憩を取っている間に,KIさんとMTさんが堀山の家を通過していく.
「もぅ一寸,茅場平まで登りませんか…」
とIMIさんをお誘いする.
「いやあ~もうだめ! ここで終わりにします」
ということなので,8時51分,小草平から再び登り始める.
<小草平(堀山の家)>
■萱場平
小草平を過ぎてから,ますます気勢が上がらない.歩行速度はますます遅くなるばかりである.私は自分の体力の限界を感じながら,ますます低速で登り続ける.
14時14分,ようやく萱場平に到着する.辺り一面に霧が覆っている.全く無風である.
蒸し暑くて息苦しい私は,5分ほど休憩を取って体調を整える.
萱場平から先も超ノロノロが続く.
途中で,定期バスで来られたNMさんに追い抜かれる.
もうすぐ花立階段というところで,チャンピョンが下山してくる.チャンピョンは,.
「おや,FHさんですね…皆さん,登っておられますよ…」
と言いながら私の脇を通過する.
<萱場平>
■花立山荘
途中で何回ももう下山しようかと思いながらも,半ば惰性で登り続ける.そして漸く後七分坂(花立階段)にたどり着く.
階段を見上げてうんざりするが,せっかくここまで来たんだから,もう少し登ろうという気になる.
ノソノソと階段を上り始める.ちょうど半分ほど階段を上ったところで,次伸ばしで来られたTTさんが,
「THさん,見っけ…」
と言いながら私に追いつく.
「後七分坂を後一二分坂に名前を変えましょうよ…」
と冗談を言う.
私もつい先日までは,花立階段を七分で上っていたが,今はまごまごすると二倍も時間が掛かるようになっている.
花立階段を漸く登り終えて,9時58分に漸く花立山荘にたどり着く.
山荘前のベンチは,休憩を取る登山客であふれている.
残念ながら,富士山は全く見えない.山荘の温度計は20℃.
大倉から花立山荘までの所要時間は3時間02分.涼しいときより1時間ほど余計に掛かっている.小草平から花立山荘までの所要時間は1時間05分.涼しいときは40分程度で登っていたのに…このふがいない記録は,単に高温多湿だけでなく,加齢により体力減退が顕著になってきた証拠ではないかと思う.
”そろそり登山をやめる潮時かな…”
という気持ちが脳裏をよぎる.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘前で,1~2分達休憩を取った後,花立山に差し掛かる.荒れた階段道を這うような低速で登り続ける.花立山荘から15分掛けて漸く花立山山頂に到着する.
残念ながら眺望は全くなく,塔ノ岳山頂すら見えない.僅かに鍋割山稜がほんの少し見えているだけである.
花立山まで登れば,塔ノ岳山頂まではあと僅かである.もう途中で下山しようという気持ちは全くない.ここからは気を取り直して,塔ノ岳山頂を目指すことにする.
<花立山山頂>
■塔ノ岳山頂
10時22分,ようやく金冷シを通過する.
もう,ここまで来れば急ぐこともあるまい.とにかく惰性で登り続ける.
金冷シから最初の長い階段を半分ぐらい上ったところで,下山してくるYDさんとすれ違う.
「…今日はMGさんも,TGさんも居ないので,(ミスタードーナッツでの)コーヒーはなしにしましょう…」
ということでお別れする.
10時45分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.ポール裏の温度計による山頂の気温は28℃.随分と高温である.
辺り一面雲の中なので眺望は皆無.風もない.決して蒸し暑くはないが,それほど涼しくもない.
大倉からの所要時間は,ナント3時間51分.
いくら蒸し暑いとはいえ,4時間近くも掛かるようでは,やっぱり「年貢の納め時」だなと,痛切に感じる.
<塔ノ岳山頂>
■のんびりと下山
10時53分,下山開始.
今日はミスタードーナッツでのコーヒーブレークがないので,特に大倉発13時11分のバスを気にすることもないので,ゆっくりと下山し続ける.
途中,金冷シ付近で,常連のNJさんとすれ違う.4~5分立ち話.
11時25分,花立山荘を通過する.山荘前の休憩所には先ほどにもましてたくさんの登山客が休憩を取っている.
たくさんの登山者とすれ違いながら花立階段を下る.
12時37分,萱場平を通過する.ここのベンチもあふれんばかりの登山者である.
戸沢分岐を過ぎて,階段を下り始めた頃から,霧雨が降り始める.すぐに路面が濡れて滑りやすくなる.私は安全を期して,下山速度を少し遅くする.
11時57分,小草平の堀山の家に到着する.ちょうどそのとき,小屋の外に居られた女主人が,
「…雨が降り出しましたね…」
と私に声を掛ける.
下山を開始したときは,堀山の家にちょっと立ち寄ろうかと思っていたが,雨が降っているので,
「スミマセン,雨なので早く下山します…」
とお断りして,堀山の家を通過する.
つづいて,12時25分,一本松を通過する.モミジ坂の礫や小石が雨で濡れているので少し滑りやすくなっている.このあたりは毎度快調に下っているところだが,今日は慎重にゆっくり下ることにする.
12時35分,見晴茶屋を通過する.
ノートに期間を記録していると,後から来たNMさんが私に追いつく.成り行きで,ここからはMNと一緒に下り続ける.
12時45分,観音茶屋を通過する.
「…あれっ…! ちょっと急げば13時11分のバスに間に合いますよ…」
…ということで,13時05分に大倉に下山する.
下山所要時間は2時間12分.
■息子一家が来訪
小田急線渋沢駅か小田原へ.小田原駅から特別快速高崎行電車に乗車する.
15時前に無事帰宅する.
シャワーを浴びてから,乾いた下着に着替える.ついでに汗まみれの衣服の洗濯を済ませる.
その後しばらく昼寝.これがなんとも気持ちが良い.
夕方,息子一家が,我が家を訪れる.息子一家と一緒に賑やかな夕食を楽しむ.特に孫娘の元気な姿を見ると心が和む.
こうして,今週の土曜日も無事終わった.
<ラップタイム>
6:54 大倉歩きだし
7:22 観音茶屋
7:43 見晴茶屋
8:22 駒止茶屋
8:47 堀山の家(8:51まで休憩)
9:14 萱場平(9:20まで休憩)
9:56 花立山荘(10:00まで休憩)
10:15 金冷シ
10:45 塔ノ岳山頂着
10:53 〃 発
11:06 金冷シ
11:25 花立山荘
11:57 堀山の家
12:15 駒止茶屋
12:35 見晴茶屋
12:45 観音茶屋
13:05 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 6:54
塔ノ岳山頂着 10:45
(所要時間) 3時間51分(3.85h)
水平歩行速度 7.0km/3.85h=1.82km/h
登攀速度 1,269m/3.85h=330m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 10:53
大倉着 13:05
(所要時間) 2時間12分(2.20h)
水平歩行速度 7.0km/2.203h=3.18km/h
下降速度 1,269m/2.20h=577m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5aa1d50ac2bad4b2f435aa2d612240d8
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6e6601d7fee62cd3c5f256b59e959b51
お断り;
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