中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(7)チャンドラコットへ(2)

2008年01月22日 05時48分36秒 | ネパール:アンナプルナ展望
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         アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(7)
           チャンドラゴットへ(2)
            2001年3月25日(日)
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      やっとアンナプルナ紀行を再会致します。今回は再開2回目です。

        これまで公開したアンナプルナ紀行(1)~(6)の記事
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<専用バスでムルレへ>

■ポカラ空港に到着
 9時05分にカトマンズ空港を出発した私達は,無事,9時32分にポカラ空港に到着する。
 飛行機に備え付けられている小さなタラップが地上まで伸びる。そのタラップを下ってポカラ空港に降り立つ。こぢんまりとした長閑な空港である。
 振り返ると,だだっ広い盆地が広がっている。その空間を囲むように浅緑色の草が生えている山が連なっている。山麓の彼方此方に民家が見える。空港の滑走路は広い盆地の手前にある。片隅に小さな飛行機が2機,駐機している。待合室から見ると,小さな木の側に,英語で”THANK YOU”と書いた看板が置かれている。
 滑走路に降り立った私達は,すぐ近くの小さな建物まで歩く。建物に入ると,そこは小さな待合室になっている。ほどなく手荷物を受け取る。空港前には,旅行社が手配したリムジンバスが,ぽつんと1台,私達の到着を待っている。

                     <ポカラ空港>

■専用バスで空港を出発
 9時49分,私達を乗せたバスは,ポカラ空港を発車する。走り出して1分もしない内に,数軒のトタン屋根の小屋が並んでいるところで停車する。ガイドが車から降りて,この掘っ建て小屋中に居る人と,何かを討ち合わせている。
 9時56分,掘っ建て小屋の前を発車する。車が速度を増すと,車体は激しく揺れる。そして車体のあちこちから,何かが軋んでような音が,ギコギコ,ギコギコと,絶えずやかましく聞こえてくる。運転手が,「ペェ~,ペェ~・・・」と,ひっきりなしに,変な音の警笛を鳴らし続ける。車の乗り心地は最低である。
 車の内装が面白い。天井はピンク色に塗られている。手あかで薄汚れたつり革は赤色である。何となくゴテゴテとした印象を受ける内装である。壁に取り付けられた時計は,4時30分を指したまま止まっている。
 10時05分,車はガソリンスタンドの前で停車する。大きなドラム缶を横置きにしたようなタンクから,手でポンプを回しながら給油する。何とも昔懐かしい雰囲気である。
  10時08分,給油を終えた車は,再び走り出す。途端に,また,ギシギシ,ギコギコと賑やかになる。
 車の中で落ち着き始めると,お互いに何となくうち解けてくる。私の後隣に座っているSさん(男性)と,Fさん(女性)が,お互いに自分が開設しているホームページの話をし始める。

■ルムレに到着
 私達を乗せた車は,左右に蛇行する谷間に沿って,だんだんと高度を上げていく。高度が高くなるにつれて,道の両側の山がだんだんと迫ってくる。いつの間にか,車は深い谷間の道を登っている。
 11時04分,私達の車は,ルムレ(Lumle,標高1,600m)に到着する。ここで車での移動は終わりになる。目の前には小さな売店と掘っ建て小屋風の待合室が並んでいる。私達はどうやら谷の右岸に居るようである。待合室のむ先は谷が鋭く落ち込んでいる。

<石畳の道を行く>

■いよいよトレッキング開始
 身支度を整えてから,11時18分に駐車場から歩き出す。いよいよ待望のアンナプルナ・ダウラギリ展望トレッキングの開始である。ガイドが,
 「これから1時間ほどトレッキンします・・・」
とトレッキング開始宣言をする。
 現地ガイド(通称シェルパ)のガイド頭,ペンバ・ノルブ・シェルパさん(Pemba Norbu Sherpa, Professional Trekking & Mountaineering Guide)が,私達の先頭に立つ。多分,30歳代と思われる好青年である。
   
             <現地ガイドのリーダ,ペムバノブシェルパさんの名刺>

 歩き出すと,いきなり急な石造りの階段になる。ムルレの人口は約300人だという。すぐに集落の中の道になる,ブロックを積み上げた壁に,石の重しを乗せたトタン屋根の家が軒を並べている。鉄平石を敷き詰めた道路が集落の中をうねうねと続く。家の軒先に洗濯物が干してあるような生活道路を,スタスタと通り抜けていく。
 11時35分にムルレの集落を抜ける。辺りの見晴らしがだんだんと開けてくる。そして,11時38分に,展望の開けた場所に到着する。ここで,10分ほど小休止する。その間に,私は,急いで辺りの風景をスケッチする。
 眼下に深い谷間が見えている。谷間は蛇行しながら尾根の陰まで続いている。谷の両側から山がかなり急な傾斜で落ち込んでいる。斜面の途中にある台地には,いくつかの集落がへばり付くように集まっているのが見下ろせる。集落の周辺にはトウモロコシ,ジャガイモなどの畠がわずかに見えている。
 私達は,大きな木の下で,日光を避けながら休憩を取る。

■チャンドラコットに到着
 11時52分,展望台を出発する。
 歩き出すと,すぐにまた集落の中に入る。ときどき民家の軒先をかすめるようにして通り過ぎる。どうやら私達は地域住民の生活道路を歩いているようである。
 どこまで行っても鉄平石を敷き詰めた道が続く。道は小さな上り下りがあるものの,ほぼ水平なところが多い。
 12時03分,ちょっと長い石段を登って,チャンドラコット(1580m)のキャンプ場に到着する。これまで,私達が歩いてきた道は川の右岸沿いをトラバースしている。斜面は進行方向右手から左手に落ち込んでいる。私達が到着したキャンプ場は,道路より少し上にある二段の空き地である。それぞれ400平方メートルほどの長方形の空き地である。
 道路から2メートルほどの高さの石垣の上に,最初の空き地がある。この空き地の隅に,粗末な作業小屋が2軒並んで建っている。そして,空き地の中央には,かなり大きなテントが張られている。このテントが食堂用のテントである。
 この空き地ら,更に高さ2メートルほどの石垣の上に,もう一つの空き地がある。ここに8張の2認容のテントが並んでいる。これらのテントから少し離れたところに,ポツンと1張のテントがある。これがトイレ用のテントである。

                  <チャンドラコットのテント場>


                       <食事テント>
             ※この後,テントの中に長いテーブルと椅子が並べられる。

<チャンドラコットのテント場>

■テントで昼食

 まずは,食事用テントの脇にリュックを置く。暫くすると,現地スタッフが,盛んにフライパンを叩いている。
 「カン,カン,カン,・・・」
という音が辺りに響き渡る。
 「昼食ですよ(“Lunch is Ready!”)」と,現地スタッフが,ちょっと妙な英語で,大声を張り上げている。
 このフライパンを合図に,私達はぞろぞろと昼食テントに集まる。
 まずはスープ。ピカピカな金属のお盆に,ピカピカな大きなお皿。お皿の中にはタップリとコンソメスープが盛ってある。スープを大きなお皿から脇に除ける。すると,現地スタッフが,次々に,のり巻き,トマト,ブロッコリー,キュウリなどを,背後から皿に乗せてくれる。まるで,結婚式の披露宴で,次から次へと料理が運ばれてくるのとそっくりである。
 それにしても,ネパールの山奥で,いきなりのり巻きが振る舞われるとは・・・
 デザートは,バナナである。
 随時,紅茶が振る舞われる。紅茶もピカピカな金属コップで呑む。紅茶の本場,ダージリンが近いせいか,あるいは生の中だからか,とにかく,ふるまわれる紅茶は,とても美味しい。ついつい何杯もお代わりをしてしまう。


                   <チャンドラコットの昼食>

■参加者の自己紹介
 今回のツアーで,全員がユックリと顔を合わせるのは,今回のティナーが初めてである。ガイドの発案で,一人ずつ自己紹介をすることになる。
 今回のメンバーで一番の年長者は,御年71才の男性,Kさんである。お仲間の2人と一緒に参加している。このお三方は,日本の百名山級の山に登っているベテランだという。Fさん(男性)は,広島県にある某大学の教授。三重県からはS夫妻が参加。夫は高校教員で趣味は絵。横浜市の主婦のTさんは朗らかな人。新宿にお住まいのYさんは,どこか坊さんのような落ち着きのある紳士。それに私の山友達の仙人。仙人は繊維関係の会社の社長さんである。
 どうやら,参加者の皆さんは,私に比べて,山のベテランのように見える。私は自己紹介を伺いながら,だんだんとコンプレックスを持ち始める。

■近くを散策
 昼食後,ガイドから全員のテント割が発表される。私は仙人と一緒で,5番目のテントが割り当てられる。中には,お一人でテントを占有している方もいる。テントの中は,二人がゆったりと寝られるだけのスペースはある。マットやシュラフも清潔なものである。これから暫くの間,テントで寝ることになるが,同じシュラフが使えるとのことである。
 ガイドが,13時30分に,全員に食事テントに集まるように指示がある。ガイドの話によると,15時30分から,ここでティーサービスがある。それまで自由行動。ただし,トレッキングシューズは必ずテントの中に入れて,テントのチャックを閉めてくれと注意される。また,これからのトレッキングの細かい説明は夕食後にするとのことである。
 私はノートを抱えて,1人で散歩に出る。キャンプ場の前の道を,先の方ね歩いてみる。テント場から,ほんの数分歩いた所に,小さな小学校がある。今日は日曜日なので,小学校には人気がない。

                  <チャンドラコットの散策路>

 川の左岸に沿って,トラバース道が続く。小学校を過ぎると,やや急な登り坂になる。進行方向右手には小高い丘が続いている。谷側つまり左手には,放牧地が続いている。心地よい散策路である。ブラブラと坂道を登ると,やがて峠に達する。そこから先は道路が二手に分かれている。取りあえずは右側の道を辿る。緩やかな下り坂を暫く歩くと,尾根の先端に達する。そこを右手に大きく曲がる。すると突然目の前に放牧中の牛が立っているのに出くわす。牛の方は平然としているが,私はビックリしてしまう。
 その内に,空の様子が,何となく怪しくなる。私はこの辺りで引き返すことにする。ブラブラと往路を引き返す。雲行きがだんだんと悪くなり,薄暗くなってくる。雨にあっては敵わないので,多少急ぎ足になって,14時35分に,テント場へ引き返す。何人かの方々が,空き地で雑談をしている。私も雑談に加わって,他愛のない話に興じる。
 14時45分頃,突然強い風が吹き出す。たちまちの内に強い雨が降り出す。私達は慌てて,自分たちのテントの中に避難する。雨が少しテントの中に浸みこんでくる。
                       (つづく)


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