<懐古園のしだれ桜>
小諸:懐古園散策
2008年4月26日(金) 曇一時雨
■しなの鉄道
故郷でちょっとした用事があって,家内と二人で,小諸へ行った.日帰りと慌ただしい旅である.
まずは,長野新幹線で,軽井沢まで行く.軽井沢で「しなの鉄道」に乗り換えるが,接続が余り良くなくて,1時間ほど待たされる.軽井沢一体には濃い霧が掛かっている.霧雨が降りしきっていて,とにかく寒い.仕方なく駅の待合室に籠もったままジッと時間を待つ.
発車間際になると,しなの鉄道の電車に沢山の地元の方が乗り込んでくる.乗客が話している信州弁の訛りがとても懐かしい.
しなの鉄道に乗ると,浅間山を車窓から眺めるのが楽しみだが,今日の浅間山は雨雲の中で,全く見えない.
<雨の軽井沢>
■藤村記念館
小諸に到着する.
先方との約束の時間まで,まだ1時間近くある.そこで,折角,小諸を訪れたのだから,僅かな時間を利用して,懐古園を一回りしようと思い立つ.駅前で軽く昼食を撮った後,懐古園を訪れる.
折から春の行楽シーズンである.園内は沢山の観光客で賑わっている.まずは,藤村記念館を訪れる.ここの展示については,このブログでも,以前取り上げたことがあるので,重複を避けることにする.
馬場は,見頃を少し過ぎた沢山の桜が綺麗に咲いている.大勢の観光客が,桜を眺めながら散策している.
次いで,藤村碑を見学してから展望台に登る.ここからの千曲川の景色は何時見ても素晴らしい.子どもの頃,千曲川でよく遊んだ.その頃の思い出が,今でも時々夢の中でよみがえる.千曲川を見ていると,どうしても感傷的になってしまう.
<展望台から千曲川を望む>
■鹿島神社
谷を越えて,鹿島神宮を詣でる.
以前,このブログでも記述したが,終戦直後までは,小諸駅前に鹿島神宮があった.戦争中,小学生(正確には国民学校生)だった私達は,定期的に駅前の鹿島神宮を参拝していた.その行事の中で,必ず「宮城遙拝」があった.隊列を組んで並んでいる生徒が,号令の元に,遙か東京の方が正面になるようにして,直立不動の姿勢を取る.次いで,「なおれ」という号令があるまでの数秒の間,頭を深々と下げている・・・こんな昔々のことが,ついつい思い出される.
今の鹿島神宮は,訪れる人も少なく,とても静かである.
<懐古園の馬場>
※終戦直後,ここで一切に,競馬が開催されたことがある.
■小山敬三美術館
小山敬三美術館を訪れる.4月上旬に,ここを訪れたときには,美術館前の石の庭園には,まだ雪が残っていたが,今はもう新緑で覆われている.この辺りまで足を延ばす観光客は少ないので,辺りは閑散としている.
早速,美術館に入る.
ここで,もの凄い浅間山の絵に接すると,何時も心臓が高鳴って仕方がないほどの感銘を受ける.
凄い! とにかく凄い!
浅間山の絵から,四季折々の山の情景が,まるで動画を見ているかのように迫ってくる.そして,これらの絵を見ていると,浅間山とともに育った幼少年期の思い出が,まるで勢いよく吹き出す噴水のようによみがえってくる.
浅間山の絵については,書きたいことが山ほどあるが,以前,このブログでも書いたことがあるので,この辺りで止めることにしよう.
※浅間山の絵の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/35de736996d166c42557c616c4ed2134
私は,この美術館を訪れる度に,売店で絵はがきを何枚か買い求めることにしている.
今回は,『薄暮千曲の流れ(1979年作)』を購入した.つい先ほど展望台から見下ろした千曲川の絵である.千曲川の川面が夕日を浴びて光っている.画面中央から右上の方に千曲川は流れている.この絵を見ていると,画面の外までずっと川が流れ続けているように感じるから凄い.
小諸は坂の街である.私の実家は坂の中腹にあった.休日になると,この坂を下り,懐古園に入る.勿論,当時は入園料など要らなかった.谷間の小径を下って千曲川に出る.夕方,川から,また,この谷を登って家に帰る.樹木で覆われた薄暗い谷間では,カナカナゼミが悲しげに啼いていた・・・そんなことを,この絵を見ながら思い出していた.
<小山敬三『薄暮千曲川(1979)』>
■混雑する長野新幹線
美術館を出る.
急に現実に引き戻されたような気分になる.これから動物園の方を廻る気にはならなかったので,そのまま往路を引き返す.
その後,用事を済ませて,夕方,帰途につく.
佐久平駅で,「長野新幹線開通10周年記念あさま弁当」という駅弁を購入する.夕食代わりである.製造者は高崎弁当(株)のようである.1食1000円もするが,内容は充実している・・・が,何時も山でドカ飯を食べている私には,少々量が少ない.
佐久平駅から乗車する.自由席だが,ユックリと場所を選んで座れる.長いトンネルを潜って,軽井沢駅に到着する.観光客が,どっと乗り込んでくる.途端に車内が騒がしくなり,立ち席の人も出てくる.
信州からの帰りは,軽井沢の手前の駅から乗車するに限ると何時も思っている.
(おわり)
次の小諸の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/adbe91e3aacb19b268e6655497b089fd
小諸:懐古園散策
2008年4月26日(金) 曇一時雨
■しなの鉄道
故郷でちょっとした用事があって,家内と二人で,小諸へ行った.日帰りと慌ただしい旅である.
まずは,長野新幹線で,軽井沢まで行く.軽井沢で「しなの鉄道」に乗り換えるが,接続が余り良くなくて,1時間ほど待たされる.軽井沢一体には濃い霧が掛かっている.霧雨が降りしきっていて,とにかく寒い.仕方なく駅の待合室に籠もったままジッと時間を待つ.
発車間際になると,しなの鉄道の電車に沢山の地元の方が乗り込んでくる.乗客が話している信州弁の訛りがとても懐かしい.
しなの鉄道に乗ると,浅間山を車窓から眺めるのが楽しみだが,今日の浅間山は雨雲の中で,全く見えない.
<雨の軽井沢>
■藤村記念館
小諸に到着する.
先方との約束の時間まで,まだ1時間近くある.そこで,折角,小諸を訪れたのだから,僅かな時間を利用して,懐古園を一回りしようと思い立つ.駅前で軽く昼食を撮った後,懐古園を訪れる.
折から春の行楽シーズンである.園内は沢山の観光客で賑わっている.まずは,藤村記念館を訪れる.ここの展示については,このブログでも,以前取り上げたことがあるので,重複を避けることにする.
馬場は,見頃を少し過ぎた沢山の桜が綺麗に咲いている.大勢の観光客が,桜を眺めながら散策している.
次いで,藤村碑を見学してから展望台に登る.ここからの千曲川の景色は何時見ても素晴らしい.子どもの頃,千曲川でよく遊んだ.その頃の思い出が,今でも時々夢の中でよみがえる.千曲川を見ていると,どうしても感傷的になってしまう.
<展望台から千曲川を望む>
■鹿島神社
谷を越えて,鹿島神宮を詣でる.
以前,このブログでも記述したが,終戦直後までは,小諸駅前に鹿島神宮があった.戦争中,小学生(正確には国民学校生)だった私達は,定期的に駅前の鹿島神宮を参拝していた.その行事の中で,必ず「宮城遙拝」があった.隊列を組んで並んでいる生徒が,号令の元に,遙か東京の方が正面になるようにして,直立不動の姿勢を取る.次いで,「なおれ」という号令があるまでの数秒の間,頭を深々と下げている・・・こんな昔々のことが,ついつい思い出される.
今の鹿島神宮は,訪れる人も少なく,とても静かである.
<懐古園の馬場>
※終戦直後,ここで一切に,競馬が開催されたことがある.
■小山敬三美術館
小山敬三美術館を訪れる.4月上旬に,ここを訪れたときには,美術館前の石の庭園には,まだ雪が残っていたが,今はもう新緑で覆われている.この辺りまで足を延ばす観光客は少ないので,辺りは閑散としている.
早速,美術館に入る.
ここで,もの凄い浅間山の絵に接すると,何時も心臓が高鳴って仕方がないほどの感銘を受ける.
凄い! とにかく凄い!
浅間山の絵から,四季折々の山の情景が,まるで動画を見ているかのように迫ってくる.そして,これらの絵を見ていると,浅間山とともに育った幼少年期の思い出が,まるで勢いよく吹き出す噴水のようによみがえってくる.
浅間山の絵については,書きたいことが山ほどあるが,以前,このブログでも書いたことがあるので,この辺りで止めることにしよう.
※浅間山の絵の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/35de736996d166c42557c616c4ed2134
私は,この美術館を訪れる度に,売店で絵はがきを何枚か買い求めることにしている.
今回は,『薄暮千曲の流れ(1979年作)』を購入した.つい先ほど展望台から見下ろした千曲川の絵である.千曲川の川面が夕日を浴びて光っている.画面中央から右上の方に千曲川は流れている.この絵を見ていると,画面の外までずっと川が流れ続けているように感じるから凄い.
小諸は坂の街である.私の実家は坂の中腹にあった.休日になると,この坂を下り,懐古園に入る.勿論,当時は入園料など要らなかった.谷間の小径を下って千曲川に出る.夕方,川から,また,この谷を登って家に帰る.樹木で覆われた薄暗い谷間では,カナカナゼミが悲しげに啼いていた・・・そんなことを,この絵を見ながら思い出していた.
<小山敬三『薄暮千曲川(1979)』>
■混雑する長野新幹線
美術館を出る.
急に現実に引き戻されたような気分になる.これから動物園の方を廻る気にはならなかったので,そのまま往路を引き返す.
その後,用事を済ませて,夕方,帰途につく.
佐久平駅で,「長野新幹線開通10周年記念あさま弁当」という駅弁を購入する.夕食代わりである.製造者は高崎弁当(株)のようである.1食1000円もするが,内容は充実している・・・が,何時も山でドカ飯を食べている私には,少々量が少ない.
佐久平駅から乗車する.自由席だが,ユックリと場所を選んで座れる.長いトンネルを潜って,軽井沢駅に到着する.観光客が,どっと乗り込んでくる.途端に車内が騒がしくなり,立ち席の人も出てくる.
信州からの帰りは,軽井沢の手前の駅から乗車するに限ると何時も思っている.
(おわり)
次の小諸の記事
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