中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルートバーン(24):ルートバーントレッキング第2日目(6)

2011年04月29日 07時39分04秒 | ニュージーランド;ルートバーン

                        <これから美しい湖の脇を通る>

     ルートバーン(24):ルートバーントレッキング第2日目(6)
             (湘南カラビナ隊)
         2002年1月25日(金)~2月5日(日)

第6日目:2005年2月1日(火)
(つづき)

24 冷たい小川

■自然の造形美
 ハリス避難小屋で一休みした私たちは,15時28分,外国人先発組と一緒に出発する.すぐにかなり急傾斜の登り坂になる.
 外人組は,ストックをカチカチさせながら,大股でぐいぐいと先へ進む.瞬く間に私たちは置いてきぼりになる.
 私たちのグループは先頭にフクロウ,ついて私が続く.その後には例によって,消防隊長が続いている.
 出発すると,すぐにハリス湖岸の断崖に沿った道になる.大きな湖である.湖を見下ろす絶景である.何という素晴らしさなのだろう.
 この辺りから道は徐々に下り坂になる.暫くして,岩稜地帯に入る.この辺りから,急な下り道になる.先発の外人部隊の大部分が,下り坂に困惑している.
 私たちは,いつの間にか沢山の人たちを追い抜いて,先頭のガイド,チャドさんのすぐ後ろにピッタリと着いている.しかし,私たちのメンバーも,次第にバラケてくる.そして,何時しかフクロウと私が先頭に飛び出している.
 しばらくすると,また小さな湖が縦に3つ並んでいるところを通り抜ける.素晴らしい風景である.私は造形の妙に圧倒されてしまう.


 ■小川で小休止
 16時06分,チャド,フクロウと私の3人は,小さな滝から流れ下る小川の畔に到着する.
 小川には手すり付きの橋が架かっている.
 いつの間にか,チャドさん,フクロウ,私の3人がいるだけで,振り向いても,他の同行者の姿が見えない.皆,私たち3人より,大分遅れているらしい.
 「少し休憩しましょう」
とチャドさんが言う.
 川の畔で,のんびりとした時間を過ごす.すると,チャドが,帽子を脱いで,真っ逆様な姿勢になり,頭を小川の中に漬ける.見るからに気持ちが良さそうである.
 すぐに私も真似をする.冷たい小川の水が,ほてった頭を冷やしてくれる.実に気持ちがよい.
 5,6分ほど待っていると,まず私たちのグループが到着する.一同,ここで小休止する.
 16時21分,小川を出発する.私たちの出発時間になっても,東京組2人,大阪組夫婦,それに,外人の姿は見えない.

<水飲み場の小川>

■湖沿いの急斜面の岩場
 ハリス避難小屋から5キロメートル先にある本日の宿泊地,ルートバーン滝小屋へ向けて,急傾斜の岩道をひたすら下っていく.登山道は,古いハリスサドル変成岩帯(注1)の真下を通っている.断層が露出しているところが見える.
 われわれは素人でも,登山学校で,歩行技術の基本を多少は習っている.そんな私たちにとって,何の問題もない下り斜面であっても,全く歩行技術のない人には,大変な所のようである.




わたしはモンスター
 いくら体力があっても,歩行技術の基本を習得していない人たちにとっては,岩稜下りは大変である.そんな差が,この下り坂で歴然としてくる.たちまちの内に,私たち以外の人たちは大きく遅れて,全く姿が見えなくなる.登山道はルートバー滝に向かって急傾斜に落ち込んでいる.
 振り返ると,コニカルヒル辺りが見える.
 所で,私のあだ名はモンスターである.あだ名の由来は,言うのを憚られるが,私が年齢に比較して,まあまあ体力があることにある.ただし,私は名代の高所恐怖症である.
 余談になるが,この高所恐怖症を治したいばかりに,登山学校に入学したといってもいい.だが,3年近くも登山学校に通っているのに,この高所恐怖症は余り治っていない.そのため,私は仲間から高所恐怖症だと良くからかわれる.
 このルートバーンには,何カ所も揺れる吊り橋が掛かっている.高所恐怖症の私は,吊り橋が苦手である.吊り橋を渡るたびに,どうしても屁っぴり腰になり,必要以上に前の人との間隔があいてしまう.そして,後ろの人に追いつかれる.この哀れな姿が格好の被写体になるらしくて,旅行後,何人かの方々から,哀れな姿を撮った写真を何枚も頂戴する.
 ルートバーンのトレッキングコースは,吊り橋を除けば,高所恐怖症の私でも平気で下れる所ばかりである.しかも,自分の好みの速度で歩けるのが,このトレッキングの醍醐味でもある.いつしか私は,先頭を行くチャドのすぐ後にピッタリ着いて歩いている.そして,やや遅れ気味にフクロウが後を付けてくる.
 本当は,フクロウの方が私より体力があるが,このときは,彼は風邪気味で,本調子ではない.

■チャドに褒められる
 いつの間にか,仲間の姿も見えなくなった.そして,チャドのすぐ後に私,10メートル程離れてフクロウが付いてくる.暫くすると,チャドが振り向いて,
 「アナタは凄い.いつも歩いているのか」
と聞く.
 「ええ,まあ.年間百日ぐらいは山へ行っているよ」
と答える.
 「そうだろう,お前のように早く歩ける参加者は初めてだよ」
とお世辞を言われる.お世辞とはいえ,嬉しい.
 「お世辞でも,褒められたことを,登山学校の先生に報告しなければいけないな.喜んでくれるかも知れない」
と心の中で思う.
 16時30分頃,登山道がさらに急傾斜になってきた.眼下にルートバーン滝小屋が見下ろせる.もうすぐ,ルートバーン滝小屋に到着する.

<眼下にルートバーン小屋が見える>

■不覚にも捻挫
 道の傍らに,「落石注意」の注意書きが立っている.私たちは,いつの間にか,ルートバーン川の右岸に沿って下っている.透明でいかにも冷たそうな川の水が,巨岩の間を縫うように曲がりくねりながら,ザワザワと流れ落ちている.
 16時40分,登山道が大きな岩の上を通っているところに到着する.岩の上に立つと,すぐ5メートル程下に,今日,宿泊するルートバーン小屋の屋根が見える.その20メートル程先にインデペンデントツアー客用の小屋が並んで建っている.
 岩の反対側,つまり左手には,大きな岩の間に水が淀んでいる.インデペンデントツアーの客,数名が奇声を上げながら水浴びをしている.私は,このほのぼのとした情景をカメラに収めようとして,岩の上を左方向に一歩踏み出した.
 そのとき,何という不覚だろう.私は,足元を良く見ていなかった.直径2センチメートル足らずの石の上に,右足を妙な具合にひねりながら乗ってしまった.
 「痛い~っ」
私は,右足首をかなりひどく捻挫してしまった.そして,一瞬にして動けなくなった.後ろからついてきたフクロウが,怪訝そうな顔をして,
 「えっ.何で.こんなところで捻挫したの」
という.私が捻挫したことを理解できないようである.
 チャドは,ちらりと後ろを振り返ったが,まさか私がこんな所で捻挫するとは思っていないので,そのまま小屋に入ってしまう.

(注)
1.岩石は成因によって,火成岩,堆積岩,変成岩の3種類に大別できる.火成岩は
 地球内部にある岩漿(マグマ)が冷えて固まったものである.堆積岩は,岩石が破
 壊され,またはその成分の一部が沈殿堆積したものである.変成岩は,地核の一
 部となっている火成岩,堆積岩が,地球内部で,圧力や熱の影響を受けて,もとと
 は異なった性質を持つようになったものである(増富,1955,pp.26-27).

[参考文献]

増富寿之助,1955,『原色岩石図鑑』保育舎

                                (つづく)

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[編集後記]

2011年4月28日(木)

 明日からゴールデンウイークが始まる.
 今日は,前回,塔ノ岳を快調に往復してから2日経過している.もう3~4日の間に,今年第21回目の塔ノ岳詣でをしたいと思っているが,昨日朝から起きてくる目眩が,今日になっても依然残っている.日常生活には殆ど影響がない程度の目眩だが,相変わらず首を急に左右に振ったりすると,クラクラする.
 医者の話だと,要するに年寄り病であって,年寄りになれば,ときどき起きる現象で,どうということはないとのご託宣.折角,昨日,病院へ言ったものの,診察を受けただけで投薬もない.
 まあ,こんな機会だからと思って,終日家に籠もって,ゴロゴロしている.退屈,退屈.
 パソコンに長い間へばり付くと,目に悪いことは,重々承知しているが,当面,他にやりたいこともないので,とりあえずは,このルートバーンの記事をブログに掲載することにした.
 後,2~3日,様子を見てクラクラの改善が見られないときは,クラクラ専門の医者の診察を受けなければならないなと思い始めている.
                                 (愚痴おわり)



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