ルアペフ山山頂に到着
2006年1月30日(月) その3
<<ルアペフ山登頂>>
12:11,遅れている酋長さんとドッジさんを待って,休憩を取った後,12:11に再び歩き出す。ちまちまと休憩を取るのに業を煮やした私は,酋長さんとドッジさんが先頭に立つように提案する。一旦,少しばかり下って雪渓を渡る。そこからまた暫くの間,登り続ける。相変わらず雲に覆われていて眺望が全くない状態が続く。
12:33,霧の中,ルアペフ山の山頂,ドームピーク(2672メートル;私の高度計では2615m)に到着する。山頂はなだらかな丘陵になっている。山頂を示す掲示のようなものは全くない。目印と思われる小さな杭が立っているだけである。とはいえ,ここはニュージーランド北島の最高峰である。各自思い思いに杭の脇に立って記念写真を撮り合う。
山頂は冷たい風が吹いていて寒い。山頂を越えてほんの少し下ったところに,霧に霞んで小さなシェルターが建っているのがぼんやり見える。
ガイドがシェルターの方へ移動するように私達を促す。しかし,このシェルターには沢山の機材が運び込まれていて,場所を取っている。そのために3人しか中に入ることができない。そこで,私達は小屋の床下に潜り込んで昼食を摂ることにする。床下は風もなく結構暖かい。
ガイドが,
「特段急ぐ旅ではないし,時間に余裕があるので,ここで暫く休憩しよう。その内に天候が回復するかもしれない・・」
という。
そこで,ゆっくりと腰を落ち着けて,ランチボックスを取り出す。中から大きなサンドイッチが出てくる。柔らかいパンに沢山の野菜が挟み込まれている。野菜が多いので大満足である。サンドイッチは美味しいが,いかにも量が多すぎる。半分も食べない内に満腹になる。食事をしながらお互いにノンビリと雑談をする。
13時を過ぎた頃,空が急に明るくなり出した。
13:05,突然,左手,つまり東側に聳える山の頂が見えだした。雲間に浮かぶ三角形の山頂が青い空に囲まれ,雲の額縁に飾られた絵のように浮き出して見えてくる。皆,歓喜の声を上げる。素晴らしい光景である。霧中になってカメラのシャッターを押す。地図で照合すると,この三角の山はテヘウヘウ山(Te Heuheu;2732)らしい。
雲が湧いたり消えたりしながら,次第に視界が開けてくる。つづいてすぐ右手,つまり南南東に聳えるゴツゴツとしたカセドラルロックス(Cathedral Rocks;2663メートル)も見え始める。13:14,眼下の雲がとれて,テヘウヘウ山とカセドラルピークに囲まれた旧火口原が見え始める。一面の残雪に覆われた広大な平原が眼下に広がっている。凄い光景である。テヘウヘウ山の北側から,私達が立っているドームピークまで,サミットプラトー(Summit Plateau)が,火口原をぐるりと取り囲むように聳えている。白い雪原の彼方,テヘウヘウ山の麓に,まるでラクダが隊列を組んでいるような岩列が,雪原の中に並んでいるのが見える。私には,この一瞬の光景を見ただけで,これまでの雨や見通しの悪さの不満は帳消しにしても,なお余りがあると心底から思えた。大満足である。
ガイドが,
「反対側も見なさい・・・」
と私達を促す。
尾根の反対側を覗くと,南側にごつごつとしたピラミッドピーク(Pyramid Peak;標高不明)が聳えている。ここから右手,つまり北をぐるりと廻って,私達の立っているドームピークに達している。尾根に囲まれるようにタフラングル山脈が聳えている。そして,眼下には丸いクレーター湖が見えている。
クレーター湖の水は土色で,表面から湯気がゆらゆらと立ち上っている。ガイドの説明によると,この湖の水深は90メートル,表面の水温は平均24℃だという。
「ちょっと温いが,丁度良い湯加減ですね・・・」
と誰かが冗談を言う。
「ハ,ハ,ハ・・・でも,この湖の水は強い酸性ですよ。入ったらトロトロに溶けちゃうよ・・・」
とガイドが答える。
(第13話おわり)
2006年1月30日(月) その3
<<ルアペフ山登頂>>
12:11,遅れている酋長さんとドッジさんを待って,休憩を取った後,12:11に再び歩き出す。ちまちまと休憩を取るのに業を煮やした私は,酋長さんとドッジさんが先頭に立つように提案する。一旦,少しばかり下って雪渓を渡る。そこからまた暫くの間,登り続ける。相変わらず雲に覆われていて眺望が全くない状態が続く。
12:33,霧の中,ルアペフ山の山頂,ドームピーク(2672メートル;私の高度計では2615m)に到着する。山頂はなだらかな丘陵になっている。山頂を示す掲示のようなものは全くない。目印と思われる小さな杭が立っているだけである。とはいえ,ここはニュージーランド北島の最高峰である。各自思い思いに杭の脇に立って記念写真を撮り合う。
山頂は冷たい風が吹いていて寒い。山頂を越えてほんの少し下ったところに,霧に霞んで小さなシェルターが建っているのがぼんやり見える。
ガイドがシェルターの方へ移動するように私達を促す。しかし,このシェルターには沢山の機材が運び込まれていて,場所を取っている。そのために3人しか中に入ることができない。そこで,私達は小屋の床下に潜り込んで昼食を摂ることにする。床下は風もなく結構暖かい。
ガイドが,
「特段急ぐ旅ではないし,時間に余裕があるので,ここで暫く休憩しよう。その内に天候が回復するかもしれない・・」
という。
そこで,ゆっくりと腰を落ち着けて,ランチボックスを取り出す。中から大きなサンドイッチが出てくる。柔らかいパンに沢山の野菜が挟み込まれている。野菜が多いので大満足である。サンドイッチは美味しいが,いかにも量が多すぎる。半分も食べない内に満腹になる。食事をしながらお互いにノンビリと雑談をする。
13時を過ぎた頃,空が急に明るくなり出した。
13:05,突然,左手,つまり東側に聳える山の頂が見えだした。雲間に浮かぶ三角形の山頂が青い空に囲まれ,雲の額縁に飾られた絵のように浮き出して見えてくる。皆,歓喜の声を上げる。素晴らしい光景である。霧中になってカメラのシャッターを押す。地図で照合すると,この三角の山はテヘウヘウ山(Te Heuheu;2732)らしい。
雲が湧いたり消えたりしながら,次第に視界が開けてくる。つづいてすぐ右手,つまり南南東に聳えるゴツゴツとしたカセドラルロックス(Cathedral Rocks;2663メートル)も見え始める。13:14,眼下の雲がとれて,テヘウヘウ山とカセドラルピークに囲まれた旧火口原が見え始める。一面の残雪に覆われた広大な平原が眼下に広がっている。凄い光景である。テヘウヘウ山の北側から,私達が立っているドームピークまで,サミットプラトー(Summit Plateau)が,火口原をぐるりと取り囲むように聳えている。白い雪原の彼方,テヘウヘウ山の麓に,まるでラクダが隊列を組んでいるような岩列が,雪原の中に並んでいるのが見える。私には,この一瞬の光景を見ただけで,これまでの雨や見通しの悪さの不満は帳消しにしても,なお余りがあると心底から思えた。大満足である。
ガイドが,
「反対側も見なさい・・・」
と私達を促す。
尾根の反対側を覗くと,南側にごつごつとしたピラミッドピーク(Pyramid Peak;標高不明)が聳えている。ここから右手,つまり北をぐるりと廻って,私達の立っているドームピークに達している。尾根に囲まれるようにタフラングル山脈が聳えている。そして,眼下には丸いクレーター湖が見えている。
クレーター湖の水は土色で,表面から湯気がゆらゆらと立ち上っている。ガイドの説明によると,この湖の水深は90メートル,表面の水温は平均24℃だという。
「ちょっと温いが,丁度良い湯加減ですね・・・」
と誰かが冗談を言う。
「ハ,ハ,ハ・・・でも,この湖の水は強い酸性ですよ。入ったらトロトロに溶けちゃうよ・・・」
とガイドが答える。
(第13話おわり)