<峠の茶屋>
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鎌倉:獅子舞谷を遡る
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2008年1月10日(水)
■怠惰な私
何時も書き出しが天気のことになってしまって,自分でも苦笑するが,明日(1月11日)からは天気が下り坂のようである。
そんな折,私は,つい先日,某学会の研究部会から「何かを発表してくれ」という依頼を受けた。有り難いような気が進まないような曖昧な気持のままで,お引き受けすることにした。研究部会の日程は,1月26日。フロアーの皆様に配るレジュメは,少なくても1週間前には完成していなければならない。そうなると,もう,殆ど遊んでいる暇はない。早速にでも,準備に取りかからなければと焦り始めている。
しかし,この所,山旅三昧で明け暮れている私の脳は,遊びの分野は肥大化しているが,本業を司る脳の方は,すっかり退化してしまっている。そんなことから,なかなか発表のシナリオを絞れないまま,憂鬱な状態が続いている。
でも,今日は素晴らしい天気である。まあ,研究会の発表内容は,どうせ天気が悪くて山へは行けない明日以降の2~3日の間に考えればいいかと,怠惰な方に気持が流れる。そうなら,鎌倉駅でちょっとした用事を済ませてから,数時間だけ,天園付近を散策して,テレビで水戸黄門が始まる16時頃までに帰宅しようかと思い立つ。
■獅子舞周辺の地図
<鎌倉:獅子舞>
※プリントすると良く見えます。
■鎌倉駅前を出発
鎌倉駅近くの書店や銀行で,雑用を済ませた私は,時間を短縮するために,普段はほとんど乗ったことがないが,今回は,鎌倉宮(大塔の宮)まで,京急バスで移動することにする。ほぼ満席の観光客の七割方は絵柄天神で下車してしまう。
11時30分頃,終点鎌倉宮に到着する。
さて,どのコースから天園ハイキングコースへ入ろうかと迷った挙げ句,とりあえずは,獅子舞から新林方面へ抜けることにする。
大塔の宮からブラブラと歩き出す。歩きながら,ここ数週間,全く会っていない仙人のことが気になり始める。そこで,歩きながら,仙人にメールを送る。
「仙人さん,今どちらに居られますか。私,これからブラリブラリと天園に向かいます。もし宜しければ,夕方何処かで落ち合いませんか・・・?」
すぐに,仙人から返信が届く。
「ちょっと用事がありますので,3時過ぎに,こちらからメールします」
■獅子舞を登る
永福寺跡を通過して,獅子舞谷の入口に向かう。獅子舞から下山してくる観光客と時々すれ違う。でも,紅葉が真っ盛りのときに比較すると,獅子舞を訪れる観光客は随分と少なくなっている。
やがて獅子舞谷に入り込む。獅子舞谷の入り口付近は,何時もジメジメしているが,今日は特にジメジメしているように思える。谷を少し遡ると,左手に湧き水がある。何時もチョロチョロとしか流れていないが,今日は,何時もの10倍ほどの流量になっている。
私は全く飲んだことがないが,ここの湧き水は,いわゆる軟水で,大変美味しいと言われている。ここの水を,わざわざ汲んで持ち帰って,お茶を入れる人も多いと聞いている。
<獅子舞入口の湧き水> <天園裏道の紅葉>
※1月でも紅葉が見られる
<静かな獅子舞の散策路>
足元は何時もの通りビシャビシャである。ただ,谷間を遡るに連れて,落葉した谷間に日光がタップリと降り注ぐためか,地面が程良く乾燥しはじめる。獅子岩付近では,地面が完全に乾いていて,そのまま地面に座り込んでしまっても問題なさそうである。
辺りには,全く観光客の姿はない。まわりには観光客が居ない。静まりかえった獅子舞谷をノンビリと遡る。
<獅子舞の滝>
■峠の茶屋
12時35分に天園の「峠の茶屋」に到着する。
私の顔を見ると,峠の茶屋の女主人は,
「あら,いらっしゃい・・・本年も宜しく・・」
とにこやかに挨拶する。私も,
「遅ればせながら,本年もどうぞ宜しくお願いします・・」
と遅い新年の挨拶をする。
「つい先日,仙人が来ましたよ・・・今日は,まだ,来てませんよ。Eさんは,今日,病院へ行くって言ってましたよ・・」
「実は,私も,このところ仙人に会っていません。先ほどメールしましたが,午後3時頃まで用事があるようです。今日会えるかどうか分かりませんが,少々,気にしています。」
「そうね,去年,ちょっと病気していましたからね・・」
と言いながら,女主人はオレンジジュースの王冠を抜く。私が何時もオレンジジュースを注文するので,自動的にオレンジジュースが出てくる。
店内では,トドさんが待っていた。つい先頃まで,山旅スクールのガイドをしていたSさんがご一緒である。現在,Sさんは,主として,クラツリ東京のお仕事をしているようである。Sさんは天園ハイキングコースの下見をしているとのことである。
■秘境の一枚岩
13時頃,峠の茶屋を出発する。これから何処へ行くという宛もないが,下見をしているSさんは,定番のコースに沿って,瑞泉寺へ抜けるという。Sさんのお仕事の邪魔をしてもいけないので,トドさんと私は,とりあえず反対側に歩き始める。
歩きながら何処へ行こうかと迷うが,結局,普段あまり行かないところを廻ることにする。ここから先のルートを詳細に公開するのは憚られるので省略するが,とにかく,暫くの間は,天園ハイキングコースに沿って,建長寺方面に歩き始める。
大平山を越えると,尾根直下の北側斜面沿いのトラバース道が続く。やがて切岸跡付近の送電線鉄塔辺りに差し掛かる。ここから,南側斜面を下る尾根に沿って,急坂の細い山道を下り続ける。かなり急傾斜の下り坂が長い間続く。この道を通る人が少ないために,枯れ葉が分厚く降り積もっていて,まるでフカフカの絨毯を踏んでいるような気分になる。
進行方向右手は,かなり急傾斜で切り落ちている谷間になっている。この谷間には小さな池があるが,個人所有の場所なので立入禁止である。
尾根筋を更に進む。そしてちょっとした藪を抜けると,大きな一枚岩の上に出る。こ こから二階堂川の谷間の眺望が開けている。一枚岩の上で,淡い冬の日差しを浴びていると,ついつい眠くなる。
■獅子舞谷の入口へ戻る
13時25分に一枚岩を出発する。
余り詳細に記述するのは憚られるので省略するが,鉄塔脇の小径を,一旦住宅地付近まで下る。そして山道にぶつかって,その山道を左折して,谷間の道を暫く登る。さらに右折して,鉄塔近くの尾根に突き上げる。凄い登り坂である。
鉄塔脇の広場で一休みした後,尾根伝いの道を進むと,天園ハイキングコースから下ってきた小径と合流する。この小径を下り続けると,獅子舞谷の入口に到着する。
ここまで降りると,獅子舞谷の見物客とすれ違うようになる。
■永福寺跡の公園へ
獅子舞谷入口から鎌倉駅方向へ進む。途中,永福寺(ようふくじ)跡の公園に立ち寄って,そこから尾根道に出て,覚園寺登山口に出ようかと思う。永福寺跡の境目に沿って,住宅地の脇を突き当たるまで進む。
ここから,最近整備された遊歩道を登って,覚園寺から天園に向かう登山道に出るつもりであった。
丁度その時,仙人からのメールが入る。
「今,八幡様の境内にいます・・・」
そこで,私達は,永福寺跡の見物を打ち切って,もとの道に戻る。
永福寺跡では,何かの工事が始まっていて,かなり広い面積が網囲いされている。
■仙人と落ち合う
かなり急ぎ足で歩いて,14時40分頃,鶴岡八幡宮の境内で,仙人と落ち合う。そのまま若宮大路から小町通の人混みを抜けて,駅近くの「モア」でお茶。「モア」の店員が,私達の顔を覚えていて,
「いらっしゃい! 今年も宜しく・・・」
と私達を愛想良く出迎える。
こうして,またもや,私の一日は何となく終わってしまった。
明日からは天気が悪いという。その間に,懸案の仕事も何とかしなければ・・・と,思いながら,茶の間でズルズルとテレビを見ている。
「おまえ・・・そんなにダラダラしていて,本当に大丈夫か!」
と,もう一人の私が,怠惰な私を叱咤する。
そういえば,今日は,ネコには全く会えなかった。
「モア」で少々時間を取りすぎたために,テレビの水戸黄門は,後半しか見ることができなかった。でも,印籠を出すところには間に合ったので,これで良しとするか。
(おわり)
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度々のコメント有り難うございます。
16日,確かに鎌倉霊園を歩いておりました。霊園の北東側の隅を歩いているときに,リュックを背負った男性とすれ違ったことを覚えております。
平素,ハイカーとは滅多に会わないところで,お会いしましたので,鮮明に覚えております。確かにあのグループの中にflower-hillは居りました。
今度,バッタリ会いましたら,是非,声をかけてください。
なお,仙人は,鎌倉では有名人。いろいろなグループと鎌倉を歩かれておりますので,番場ヶ谷で私が板かどうかは良く分かりません。
ちなみに,ご存じの通り,番場ヶ谷から貝吹地蔵に登る道の途中に,有名なお塔ノ窪ヤグラがありますが,その前にある1本橋を渡るのが怖いので,グループでは歩かないようにしています。
今後とも,よろしくお願いします。
コメント頂きありがとうございます。
実は、ブログにおじゃまする以前のことですが、
番場ケ谷ヤグラを探していたとき、
仙人のような風貌の方がおられる団体さんとすれ違いました。
過去のブログを拝読して、多分、あの中に
flower-hill様もおられたのだろうなと思っていました。
で、16日にも仙人のような方がおられる団体さんと
鎌倉霊園ですれ違いました。
軽く会釈だけしましたが、
16日のブログでやっぱりそうだったかと。
次にすれ違った時はちゃんとご挨拶いたします。
私のブログにお立ち寄り頂き有り難うございます。
ご指摘のように,鎌倉は歩けば歩くほど奥深いものがあって,楽しみが尽きません。
当ブログのように一般公開をしているブログでは,ルートの細部まで記述できないのが残念ですが,当ブログの記事を参考に,新しい散策路を探して頂ければ幸いです。
何時の日にか,鎌倉の山中でお目にかかれるかもしれませんね。
その時は,どうぞよろしくお願い致します。
こんな場所もあったのかと驚くことばかりです。
掲載して頂いているマップを頼りに一部トレースすることも。
これからも楽しみに拝読させて頂きます。