<アカゲラが賑やかな林>
雪が消えアカゲラが活躍しだした丹沢;塔ノ岳(今年15回目)
(ご常連と付いたり離れたり)
2014年3月20日(水・春分の日) 曇
■もう春だ
今日は春分.
ここ2~3日の高温の日々に比べれば,今朝の気温は幾分低いものの,それでも平年より暖かいようである.春になるといくら怠惰な私でも気分が高揚するらしく,今朝は何の迷いもなく,サッと塔ノ岳に出掛ける気分になる.もっとも,天気予報によると,今日は午後から雨が降るかもしれないという有り難くない話だが・・・
夜明けが早くなったとはいえ,私が家を出る5時10分は未だ暗い.上空を見上げるとボンワリとした分厚い雲が上空を覆っているようである.
“今日は,下山途中で雨に降られるかな・・・でも,春雨ならば濡れるのも乙なものだ・・・”
と妙に悟って,大船駅に向かう.
例によって,
”アサメシタベタカ,アサメシタベタカ,・・・・”
とレールの継ぎ目で大きな音を立てながら,隣のホームに横須賀線上り電車が入ってくる.すると,30秒ほど遅れて,私が乗車する東海道本線小田原行の電車が到着する.相変わらず寸分違わない正確な運転である.
車窓からは,あちこちで桜が咲き始めているのが見える.ここ1週間ぐらいが桜の見頃のようである.
今日は水曜日だが,春分の日で祝日.小田原駅での階段二段跳び乗換の必要はないので,東海道本線の電車の中でも寛いだ気分で居られるのが何よりである.それにしても,今日は高校生らしい生徒がやけに沢山乗車していて,車内に立ち席が出るほどの混雑である.何か催し物でもあるのだろうか.
小田原駅でユックリと小田急電車に乗り換える.辺りはすっかり明るくなっているが,相変わらず分厚い雲が立ちこめていて,富士山と矢倉岳の二重奏を見ることはできない.残念.
■暫くは高速組とご一緒する
電車は定刻に渋沢駅に到着する.
“どうせ臨時バスが出た後だろう・・・”
と思って,ユックリと大倉行バス停に向かうが,逆に何時もの平日のように,バス停に大倉行きバスが停まっているので面食らう.
1番バスには,韋駄天のTさん,K村さん,三角髭のTさん,Y内さん,K井さん,大三郎さん,編集長のYさん,T田さん,久々の鵠沼さんなどのご常連が乗車している.
7時05分,大倉から歩き出す.たまたま,私と同じに歩き出したK井さん,T田さんに同行する.どうせ,堀山の家から先の坂道で,お二人には付いていけないことは先刻承知の助だが,まあ取りあえずはご一緒することにする.
歩き出して直ぐに,私より少し後に大倉を歩き出した韋駄天のTさん,三角髭のTさん,Y内さん,大三郎さん,三角髭のTさんの4人が私たちに追い付く.暫くは,合計6人で一緒に歩き続ける.それほど高速というわけではないが,次第に私には少々きついなと感じるようになる.雑事場ノ平に差し掛かる頃,このままでは私には到底無理だなと思えたので,私は列の後ろに下がる.そしてY内さんを先頭に,大三郎さん,韋駄天のTさん,そして三角髭のTさんが,次々に私を追い抜いていく.
「今日は大三郎さんが'調子が良い'っていうので,先に行きます・・・」
と韋駄天のTさん,
「じゃあ・・私も付いて行ってみます・・」
と三角髭のTさんが,私に言い残して行く.
その後,私も一本松付近までは,射程距離内に皆さんの後ろ姿を見ながら跡に続いたが,駒止茶屋を通過する辺りからは,皆さんの姿は視界から完全に消えてしまう.
<健脚なご常連>
■見晴階段
7時44分,見晴茶屋を通過する.そして見晴階段に差し掛かる.例により階段下から階段を見上げる写真を撮る.
相変わらず私のすぐ先を先ほどのご常連4人が列になって登っている.私のすぐ後ろにはK井さんとM田さんが折られる.
前方を見上げると,雲が低く垂れ込めている.私は絶えず
“マイペースを守れ・・急ぐなよ”
と自分に言い聞かせながら,登り続ける.
話は逸れるが・・・・私にとって,自分の負けず嫌いの性格を調整することができる修行の場のような気がしている.自分のはやる心,焦る心を静めながらマイペースを維持し続けるのは,私にとっては結構努力を要するからである.私が本能のまま行動したら,多分,
“よお~しっ!・・・追い抜いてやるぞ”
と前後を顧みずに猛スピードで,前の方を追い抜くだろう.そして揚げ句の果てには,どこかで直ぐに潰れてしまうだろう.
<見晴階段>
■アカゲラとウグイス
だんだんと遠ざかるご常連の後ろ姿を拝みながら,モミジ坂に差し掛かる.進行方向左手の林の中から,アカゲラが木を突っつく音が,
「ダダダダッ,ダダダダッ,・・・・」
と聞こえてくる.耳を澄ますと,右手の遠い谷間からもアカゲラが木を突く音が聞こえてくる.この音を聞いていると,もう春だなと実感する.
そういえは,昨日(3月20日),私は鎌倉の自宅近くで,ウグイスが啼いているのを,今年初めて聞いた.
8時丁度に一本松を通過する.
■駒止茶屋
やがて駒止階段に差し掛かる.
階段を登りながら,自分の体が何となく重い感じがするのに気がつく.今日の体調はどうやらそれほど良い状態だとはいえないようである.
階段の途中で,多分50歳代と思われる男性に追い抜かれる.
8時15分,漸く駒止茶屋を通過する.
大倉を歩き出してから駒止茶屋までの所要時間は,1時間10分.調子が良ければ1時間5~6分なので,4~5分のビハインドである.
先ほど私を追い抜いた男性が,小屋のすぐ上にあるベンチで休憩を取っている.
■堀山の尾根
やがて堀山の尾根に差し掛かる.
丁度そのとき,丹沢ウッズさんが,
「ヤッ…!」
と走りながら私に挨拶をして,追い抜いて行く.
辺りにガスが掛かり始める.多分雲の中に入ったのだろう.手許の温度計では,気温は15℃前後でやや暑いが,気持ちはよい.
やがて晴れていれば富士山が良く見える場所に到着する.今日は辺りが分厚い雲に覆われていて,富士山はおろか,直ぐ手前の尾根も殆ど見えない.でも,私は愛用の馬鹿カメラを取りだして,霧の富士山の写真を撮る.内心では
“意味のないことをしているな・・・”
と思いながら・・・・
<快調に飛ばして行く丹沢ウッズさん> <霧の中に幽玄の富士山を見る>
■萱場平
8時32分,堀山の家を通過する.今日は祝日だが,どうやら堀山の家は閉まったままらしい.
今日も,私は,堀山の家から花立山荘まで,“ピッタリ40分”で登りたいなと思う.誤差はプラマイ1分以内という目標を立てる.1分の誤差と言えば,後7分坂の7分の1,せいぜい40~50段程度の誤差である.この誤差,大きいと言えば大きいが,小さいと言えば小さい.こんなことに拘るのは馬鹿げていると言えば,“ハイ,その通り”としか言えないが,それが拘りというものだ.
私は,すぐ後ろに居られる,K井さんとM田さんに,
「9時12分頃,花立山荘に到着するように歩きますので,お先にどうぞ・・・」
と先頭を譲る.
こうなると不思議なもので,どういう訳かお二人と私の間隔が徐々に広がってしまう.
“そんなの当たり前じゃないか・・・要するにお前さんが遅いんだよ”
と心の中のもう一人の私が,私を馬鹿者呼ばわりする.
私は頭の中で進行速度を計算しながら,一定速度で登り続ける.
8時50分,萱場平に到着する.前方には青空が覗いている.萱場平の泥んこ道は,このところの高温の天気で,もうすっかり乾いている.
<萱場平>
■雲の中の花立山荘
萱場平を通過した後も,一定速度で登り続ける.
標高が高くなるにつれて,どうやら雲の中に入ったらしく,辺りは霧に覆われて視界が利かなくなる.
やがて,後7分坂(花立階段)に差し掛かる.
またもや,駒止茶屋で私を最初に追い越した男性に,坂の途中で追い抜かれる.
花立階段を3分の2ほど登ったところで,下ってくるK井さんとすれ違う.
9時13分,ようやく花立山荘に到着する.勿論,花立山荘は雲の中で,視界が利かない.つい先ほど私を追い越した男性が,またもや花立山荘のベンチで休憩を取っている.
「やあ,こんにちは,・・・お会いするのは3回目ですね・・・」
と挨拶して,花立山荘を通過する.
堀山の家から花立山荘までの所要時間は41分.まあ,当初予定の誤差の範囲とはいえ,もう一寸急いでも良かったかな…
大倉から花立山荘までの所要時間は2時間12分.やっぱり大分遅いなと反省.もう少し体力を付けて,無理せず楽に登って2時間05分程度で登れる体力を付けたいものだ.
花立山荘まで体力をセーブして登ってきたので,疲労感は全くない.そこで,花立山までは少々速度を速めて登ることにする.どうせ辺りは霧に覆われていて,写真を撮ろうにも,何も撮すものがない.サッサと登って,9時21分に花立山を通過する.花立山荘から花立山まで,何時もは10分程度の時間を掛けているが,今日は8分で登る.
■塔ノ岳山頂
その後も,まずまずの速度で登り続ける.何人かの登山者も追い抜課させて頂く.
9時20分,金冷シを通過する.この辺りの泥道もすっかり乾いている.
先週水曜日に登ったときには,最初の長い階段の途中にかなりの残雪があったが,今日はさしもの残雪もすっかり消えてなくなっている.
山頂が近付くにつれて気温が下がってくる.少々寒いなと思いながら,登り続ける.
山頂直下の階段で,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.
「おや,(尊仏山荘に立ち寄らずに)もう下山ですか」
「そう,ちょっとK井さんのお手伝いをしなければ・・・」
ということでお別れする.
9時39分に塔ノ岳山頂に到着する.
山頂の気温は,丁度0℃.気温は意外に低いが,明るい春の日射しがタップリなので,気持ちがよい.数名の登山客が,山頂のポールの前で写真を撮っている.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,2時間34分,今の私の体力では,まあ,こんなものか.
<塔ノ岳山頂は春の日射しが一杯だ>
■塔ノ岳山頂からの眺望
例によって,山頂で四方八方の写真を撮る儀式を済ませる.
上空には青空が一杯だが,丁度,塔ノ岳山頂ほどの高度の所に雲が湧いていて,残念ながら富士山は見えない.
絶え間なく雲が動いているので,少々待てば,ひょっとして富士山が見えるかなと思ったが,中々姿を現さないので,ついに富士山を拝むのを諦める.
<塔ノ岳山頂からの眺望>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.
先ほどまで一緒だった韋駄天のTさん,三角髭のTさん,Y内さん,大三郎さん,T田さん達は,もうとっくの昔に山荘に到着している.
“オレは,やっぱり遅くでダメだな・・・・”
と思いながら着席する.
すかさず,体内に巣喰うもう一人の私が,
“お前さん…比べる相手が,違いすぎるよ…”
と私を諭す.
“ハイ,ご尤も…”
今日の小屋番は,W林さんとW田さんのお二人.
華伊達美弥雄さんも,このお二人の小屋番のときは,リラックスするらしく,火の付いていない石油ストーブの前の定位置に温和しく座っている.
華伊達美弥雄さんも花粉症なのだろうか,右眼から目やにが出ていて腫れぼったい.体調が余り良くないように見受けられる.
ほどなく書策新道経由で登ってこられたK村さんが尊仏山荘に到着する.あの廃道に近い悪路を登ってこられたのに,もうご到着とは…K村さんの韋駄天振りには脱帽!
<尊仏山荘の“みゃ~”君>
■ノンビリ下山
10時10分過ぎ頃から,Y内さん,韋駄天のTさんが次々に下山開始.私も,10時18分,下山を開始する.K村さん,M田さんもご一緒である.
10時22分,山頂直下の木道で,登ってくる鵠沼さんとすれ違う.鵠沼さんは1ヶ月ぶりの塔ノ岳だとのことだが,標準時間で登っている.大変なスタミナだなと感心する.
長幼の序というわけでもないだろうが.足の遅い私が先頭になって下山し続ける.
もうすっかり春.雪がなくなってしまい残念だが,これも致し方ない.
山頂付近では寒かったが,10時34分,金冷シを通過する頃には,大分暖かくなる.花立山荘を過ぎて,厄介な後7分坂も無事下り終えて,11時09分,堀山の家を通過する.ここで休憩中のK井さん,三角髭のTさんと合流し,5人勢揃いで下山し続ける.
堀山の尾根の泥んこ道もすっかり乾いているので,実に気分が良い.春の山の香りを味わいながら,速くも遅くもない速度で下り続ける.
“春の山って…良いなあ! 実に良いな!”
と楽しみながら下山し続ける.こういうのを世に至福の時という.
12時19分,バス停大倉に到着する.
<駒止階段を下山するご常連一向>
■今日はコーヒーなしで帰宅
大倉12時40分発の渋沢行のバスに乗車する.昼下がりの小田急電車と湘南アクティを乗り継いで,13時56分に大船に到着する.
祝日の昼下がりである.気候も最高.街が何となく華やいでいる.このまま帰宅するのも勿体ないので,まずは大船ルミネの中にあるユニクロを一回りする…と,いうのもK井さんやK村さんが着用されているユニクロ製品が魅力的だったので,もし安く購入できるなら,私も欲しいなと思っていたからである.
店内は結構混雑している.K井さんから,
「今日は見るだけ…特売日に購入しなさいよ」
と言うご忠告を忠実に守って,ジャストルッキングだけ.
まあ,そんな寄り道をしている内に,定番のコーヒーを賞味する気がなくなってしまう.
14時30分頃,帰宅する.
今日も,恙なく(古い表現だけど…),無事に帰宅.ハッピー,ハッピーである.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:28 観音茶屋
7:44 見晴山荘
8:15 駒止茶屋
8:32 堀山の家
9:13 花立山荘
9:30 金冷シ
9:39 塔ノ岳山頂着(0.0℃)
10:18 〃 発
10:29 金冷シ
10:40 花立山荘
11:09 堀山の家
11:25 駒止茶屋
11:45 見晴山荘
12:00 観音茶屋
12:15 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:39
(所要時間) 2時間34分(2.56h)
水平歩行速度 7.0km/2.25=3.11km/h
登攀速度 1269m/2.25h=564.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:18
大倉 着 12:19
(所要時間) 2時間01分(2.02h)
水平歩行速度 7.0km/2.02h=5.20km/h
下降速度 1269m/2.02h=628.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d6ed5a18ac4c6883c0e4e808ddb7100f
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1976fbabcea183c3c17e5494d4d8318f
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