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アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(9)
ガンドルンへ(1)
2001年3月26日(月)
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アンナプルナ紀行を再会しています。今回は再開4回目です。
←これまで公開したアンナプルナ紀行(1)~(8)の記事
をご覧になる場合は左の『CATEGORY』欄から
『アンナプルナ紀行』を選んでクリックして下さい。
<チャンドラコットの朝>
■漆黒の真夜中
ネパールに来て初めてのテント泊である。夜中に3回もトイレに行く。平素,一旦寝てしまうと,朝までほとんどトイレになど行ったことがない私にとっては,夜中に3回もトイレに行くのは異例のことである。
勿論,トイレテントを利用するのも始めての経験である。何とも辛いものがある。まず広さはタタミ半畳ほどしかない。四隅から柱を4本建てて,頂点を纏めて縄で縛り付けてある。そして4本の柱の周囲にテント布を巡らしている。四面の中の1面をめくって中に入る仕組みになっている。トイレの真ん中に幅20センチメートル,長さ30センチメートル,深さ20センチメートルほどの孔が掘ってある。孔の両側には小さな鉄平石が置いてある。使用したペーパーは,孔には捨てずに,柱に括り付けてある袋に入れる仕組みである。
<トイレテントの中> <チャンドラコットの朝風景>
夜中になると,辺りは漆黒の暗闇である。トイレ使用者はヘッドランプを点けて行かなければならない。誰かがトイレに入っていると,中に居る人のヘッドランプの光で,トイレテントが小さな尖ったピラミッドのように薄暗く橙色に浮かび上がって見える。中の人が動くと,明るいところと暗いところが,ユラユラと揺れて見える。
真っ暗の中から,犬の遠吠えが聞こえてくる。4時半頃,また我慢が仕切れなくなって,トイレに向かう。テント村の外れにあるキッチンの方で物音がする。どうやら朝食の準備をしているようである。私達は,現地人の生活圏の中でテント泊をしているという実感が涌いてくる。
■朝日に輝くアンナプルナ南峰
5時過ぎに辺りが明るくなり始める。隣に寝ている仙人も,間もなく目を覚ます。今日も天気は良さそうである。まだ,朝食まで時間があるので,昨日夕方に登った見晴らしの良い丘に登ってみようということになる。
5時55分,テント場裏の段々畑に向かって歩き出す。私達の姿を見掛けた仲間,数人が私達と同行する。昨日通ったところを,そのまま辿って,5~6分ほどで見晴らしの良い丘に到着する。
方角は正確には分からないが,この丘から,多分北と思われる彼方に,麓まで氷河か雪で真っ白なアンナプルナ南峰(7219m)と,ギザギザと鋭く屹立するマチャプチ(6997m)が見えている。素晴らしい景色である。
やがて,朝日が登り始める。アンナプルナ南峰の先端に朝日が当たり,紅色に輝き始める。だんだんと日が上って,アンナプルナ南峰の山麓の方まで日が当たり始める。やっぱりアンナプルナの山々は凄いなと感銘を受ける。
丘は冷え込んでいてとても寒い。私達は丘に5分ほど居ただけで,往路を下って,キャンプ場に戻る。
■露天で朝食
6時30分頃,現地スタッフが,洗面器とお湯,それに熱いお茶を,テントまで配ってくれる。特に,寒い朝の熱いお茶は,とても有り難い。
6時48分に,フライパンを叩く音が聞こえてくる。露天にテーブルを並べ,そこで朝食を摂る。メニューは,お粥,チャバティー,スクランブルエッグ,トマト,野菜サラダ。なかなかヘルシーである。チャバティーはネパール人の主食だという。
<チャンドラコットの朝食>
<シャウレバサールへ>
■トレッキング開始
7時20分に,全員広場に集まる。
出発前に,リーダのHAさんから,ストックの使い方についての講習がある。ストックののばし方,ストックの持ち方などの基礎的なことを教えて頂く。
7時30分,いよいよトレッキング開始である。
所々に散在する集落を縫うようにして,歩き続ける。なだらかな登り坂,下り坂を越えて,ユックリとした速度で歩き続ける。先頭に,現地リーダのテンパノルブさんが歩く。ときどき後を振り返って,私達の様子を見ているようである。
8時20分,見晴らしの良い所で休憩を取る。幾重にも連なる尾根の遠くに,真っ白な山脈が壁のように聳えている。手前に段々畑が見えている。その一角に数軒の集落がある。テンバノルブが,
「あの集落の中に俺の家があるよ・・」
と白い歯を出して笑いながら私に言う。本当なのか,それとも冗談なのか良く分からない。
<シェルパの里>
■小学校の脇で休憩
8時40分に再び歩き出す。道端に仏を祀った石造りの祠がある。ネパールで不意に仏像に出会わせて,ああここにも仏教があったのかと,少し救われたような気分になる。
8時45分に少し大きな集落の中に入る。民家の庭先でバナナの花が咲いている。8時51分に集落を抜ける。途中で登校中の子供達とすれ違う。子供は何処へ行っても可愛いなと思う。
9時頃,段々の水田が良く見える場所に出る。小高いところに小学校がある。この小学校の前で再び休憩を取る。すると,いつの間にか小柄な男性が1人,私達の近くへ来る。小学校の校長先生である。先生は,私達に小額で良いから学校運営のために募金してくれという。私も,校長先生の真摯な態度に感銘して,ほんの少し20Rsを募金箱に入れ,募金者名簿に自分の名前を記帳する。
<小学校前で休憩>
■長い吊り橋を渡る
9時29分,川沿いの道になる。現地リーダに川の名を聞くと,ネーダリバリツァーン川というらしい。ただ,子音の発音が日本語と異なるようで,上手く聞き取れないので,川の名前が正しいかどうか良く分からない。
深い谷の左岸に沿って下り坂を進み,9時37分に,長い吊り橋を渡って,右岸に出る。吊り橋は上下左右に大きく揺れる。橋を渡ると数軒の集落に入る。集落の中の一軒で,10分ほど休憩を取る。どうやら,この集落にはトレッキンする人達を目的にしたお土産屋や休憩所が多いようである。目の前の建家はレストランらしい。軒に”Welcome to NuNa Restaurant”と書いた看板が貼り付けられている。
<ガンドルンまでの寸景>
上段左:集落を行く 上段右:ガンドルンで昼食(仙人がいる)
下段左:ガンドルン近くの集落 下段右:段々畑
■シャウレバサールで昼食
9時51分に歩き出す。林の中の道になる。途中で英国人の団体とすれ違う。そして,10時50分,私達はシャウレバザール(1170m)に到着する。少々早いが,ここで昼食になる。壁が鉄平石でできている掘っ建て小屋のような所での昼食である。
食事は私達に随伴している現地スタッフが,私達より先にもの凄い速度で歩いて,先にこの場所に着いてから,調理したものである。 メインディッシュはチャバティ,ポテトフライ,ナスの煮物,サラダ,ご飯。それに蜂蜜レモンの飲み物である。
<ガンドルンのレストラン>
(つづく)
アンナプルナ・ダウラギリ展望紀行(9)
ガンドルンへ(1)
2001年3月26日(月)
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<チャンドラコットの朝>
■漆黒の真夜中
ネパールに来て初めてのテント泊である。夜中に3回もトイレに行く。平素,一旦寝てしまうと,朝までほとんどトイレになど行ったことがない私にとっては,夜中に3回もトイレに行くのは異例のことである。
勿論,トイレテントを利用するのも始めての経験である。何とも辛いものがある。まず広さはタタミ半畳ほどしかない。四隅から柱を4本建てて,頂点を纏めて縄で縛り付けてある。そして4本の柱の周囲にテント布を巡らしている。四面の中の1面をめくって中に入る仕組みになっている。トイレの真ん中に幅20センチメートル,長さ30センチメートル,深さ20センチメートルほどの孔が掘ってある。孔の両側には小さな鉄平石が置いてある。使用したペーパーは,孔には捨てずに,柱に括り付けてある袋に入れる仕組みである。
<トイレテントの中> <チャンドラコットの朝風景>
夜中になると,辺りは漆黒の暗闇である。トイレ使用者はヘッドランプを点けて行かなければならない。誰かがトイレに入っていると,中に居る人のヘッドランプの光で,トイレテントが小さな尖ったピラミッドのように薄暗く橙色に浮かび上がって見える。中の人が動くと,明るいところと暗いところが,ユラユラと揺れて見える。
真っ暗の中から,犬の遠吠えが聞こえてくる。4時半頃,また我慢が仕切れなくなって,トイレに向かう。テント村の外れにあるキッチンの方で物音がする。どうやら朝食の準備をしているようである。私達は,現地人の生活圏の中でテント泊をしているという実感が涌いてくる。
■朝日に輝くアンナプルナ南峰
5時過ぎに辺りが明るくなり始める。隣に寝ている仙人も,間もなく目を覚ます。今日も天気は良さそうである。まだ,朝食まで時間があるので,昨日夕方に登った見晴らしの良い丘に登ってみようということになる。
5時55分,テント場裏の段々畑に向かって歩き出す。私達の姿を見掛けた仲間,数人が私達と同行する。昨日通ったところを,そのまま辿って,5~6分ほどで見晴らしの良い丘に到着する。
方角は正確には分からないが,この丘から,多分北と思われる彼方に,麓まで氷河か雪で真っ白なアンナプルナ南峰(7219m)と,ギザギザと鋭く屹立するマチャプチ(6997m)が見えている。素晴らしい景色である。
やがて,朝日が登り始める。アンナプルナ南峰の先端に朝日が当たり,紅色に輝き始める。だんだんと日が上って,アンナプルナ南峰の山麓の方まで日が当たり始める。やっぱりアンナプルナの山々は凄いなと感銘を受ける。
丘は冷え込んでいてとても寒い。私達は丘に5分ほど居ただけで,往路を下って,キャンプ場に戻る。
■露天で朝食
6時30分頃,現地スタッフが,洗面器とお湯,それに熱いお茶を,テントまで配ってくれる。特に,寒い朝の熱いお茶は,とても有り難い。
6時48分に,フライパンを叩く音が聞こえてくる。露天にテーブルを並べ,そこで朝食を摂る。メニューは,お粥,チャバティー,スクランブルエッグ,トマト,野菜サラダ。なかなかヘルシーである。チャバティーはネパール人の主食だという。
<チャンドラコットの朝食>
<シャウレバサールへ>
■トレッキング開始
7時20分に,全員広場に集まる。
出発前に,リーダのHAさんから,ストックの使い方についての講習がある。ストックののばし方,ストックの持ち方などの基礎的なことを教えて頂く。
7時30分,いよいよトレッキング開始である。
所々に散在する集落を縫うようにして,歩き続ける。なだらかな登り坂,下り坂を越えて,ユックリとした速度で歩き続ける。先頭に,現地リーダのテンパノルブさんが歩く。ときどき後を振り返って,私達の様子を見ているようである。
8時20分,見晴らしの良い所で休憩を取る。幾重にも連なる尾根の遠くに,真っ白な山脈が壁のように聳えている。手前に段々畑が見えている。その一角に数軒の集落がある。テンバノルブが,
「あの集落の中に俺の家があるよ・・」
と白い歯を出して笑いながら私に言う。本当なのか,それとも冗談なのか良く分からない。
<シェルパの里>
■小学校の脇で休憩
8時40分に再び歩き出す。道端に仏を祀った石造りの祠がある。ネパールで不意に仏像に出会わせて,ああここにも仏教があったのかと,少し救われたような気分になる。
8時45分に少し大きな集落の中に入る。民家の庭先でバナナの花が咲いている。8時51分に集落を抜ける。途中で登校中の子供達とすれ違う。子供は何処へ行っても可愛いなと思う。
9時頃,段々の水田が良く見える場所に出る。小高いところに小学校がある。この小学校の前で再び休憩を取る。すると,いつの間にか小柄な男性が1人,私達の近くへ来る。小学校の校長先生である。先生は,私達に小額で良いから学校運営のために募金してくれという。私も,校長先生の真摯な態度に感銘して,ほんの少し20Rsを募金箱に入れ,募金者名簿に自分の名前を記帳する。
<小学校前で休憩>
■長い吊り橋を渡る
9時29分,川沿いの道になる。現地リーダに川の名を聞くと,ネーダリバリツァーン川というらしい。ただ,子音の発音が日本語と異なるようで,上手く聞き取れないので,川の名前が正しいかどうか良く分からない。
深い谷の左岸に沿って下り坂を進み,9時37分に,長い吊り橋を渡って,右岸に出る。吊り橋は上下左右に大きく揺れる。橋を渡ると数軒の集落に入る。集落の中の一軒で,10分ほど休憩を取る。どうやら,この集落にはトレッキンする人達を目的にしたお土産屋や休憩所が多いようである。目の前の建家はレストランらしい。軒に”Welcome to NuNa Restaurant”と書いた看板が貼り付けられている。
<ガンドルンまでの寸景>
上段左:集落を行く 上段右:ガンドルンで昼食(仙人がいる)
下段左:ガンドルン近くの集落 下段右:段々畑
■シャウレバサールで昼食
9時51分に歩き出す。林の中の道になる。途中で英国人の団体とすれ違う。そして,10時50分,私達はシャウレバザール(1170m)に到着する。少々早いが,ここで昼食になる。壁が鉄平石でできている掘っ建て小屋のような所での昼食である。
食事は私達に随伴している現地スタッフが,私達より先にもの凄い速度で歩いて,先にこの場所に着いてから,調理したものである。 メインディッシュはチャバティ,ポテトフライ,ナスの煮物,サラダ,ご飯。それに蜂蜜レモンの飲み物である。
<ガンドルンのレストラン>
(つづく)