晩秋の鎌倉:ぎんなん旅
(山旅スクール第5期ぎんなんグループ)
2007年11月12日(月) 快晴
<ルートマップ>
■鎌倉駅を出発
数日前に,山旅スクール第5期ぎんなんグループの痛子さんから,今年も鎌倉ギンナン旅をしたいので案内して欲しいというメールを頂いた。そこで,鎌倉在住の仙人に協力をお願いして,晩秋の鎌倉を散策することにした。
参加者は,ギンナンさん,痛子さん,仙人,flower-hillの4人である。
4人は,9時30分に鎌倉駅表口で落ち合う。
今日は雲ひとつない快晴,正に小春日和である。まだ時間が早いためか,駅前の混雑はそれ程でもない。私達は小町通りから,若宮大路に出る。今日は暑くも寒くもない。正にハイキング日和である。
■ノンビリ若宮大路
観光客に混じって,ノンビリと若宮大路を北上する。
この所,頻繁に山行を繰り返していた私にとっても,時間を掛けて鎌倉を散策するのは久々のことである。そんなことから,今日の私は浮き浮きとして,気分爽快である。
10時少し前に鶴岡八幡宮の境内に入る。境内では,相変わらず沢山の観光客がそぞろ歩きで楽しんでいる。私達は横浜国大付属小中学校の前を通り,絵柄天神参道を横切る。そして鎌倉第二小学校の脇を通って,杉本観音と犬懸橋を通過してから,浄妙寺近くの裏道に入る。
<鶴ヶ岡八幡宮> ※まだ早朝のため空いている <浄明寺の熊野神社>
■浄明寺の熊野神社へ
13時25分頃,熊野神社石段の前に到着する。この辺りで何か工事をしているらしくて,数台の工事関係者の車が駐車している。私達が近付くと,数名の工事関係者が,
「こいつら,何でこんなところをウロウロしているんだ・・・」
というような顔をして,私達をジロジロと見る。
別に悪いことをしているわけではないが,何となく威圧感を感じる。
私も,彼らの目線で,多少たじろぐが,ここで負けてはいけないと思い,何気ない顔つきで,彼らに軽く会釈して,石段を登る。
苔むした石段は結構滑りやすい。100段ほどの石段を登り詰めて,10時30分に熊野神社の社殿前に到着する。
<熊野神社の石段> <イチョウの大木>
■熊野神社で一休み
熊野神社を訪れる人は少ないらしく,ひっそりと静まりかえっている。
社殿の建物の屋根には,沢山の落ち葉が積もっている。昨日降った雨のためか,社殿前の広場は,何となくジメジメしている。周囲にはイチョウの巨木が2本生えている。見上げるように高い梢を見ていると,この巨木には,神様が住み着いているような気持になるから不思議である。神社は深い森の中に鎮座している。今年の秋は遅いためか,イチョウ以外の木からは秋らしさが,殆ど感じられない。
私達は本殿脇の建物の軒下を借りて,リュックを下ろす。ここで,暫くの間,休憩である。
<手袋で装備> <こんなに採れちゃった>
ギンナンさんが,リュックから使い捨ての手袋を出す。この手袋を嵌めて,地面に落ちているギンナンを拾い始める。私自身は臭いギンナンを拾ってまで,家に持ち帰る気にはならない。そこで拾ったギンナンは,そのままギンナンさんに提供する。
ギンナンを拾い始めてみると,これが結構楽しい。暫くの間,4人はギンナン拾いに夢中になる。そして,瞬く間に1升舛で2杯ほどのギンナンが集まる。ギンナンさんは,ギンナンを大事そうにビニール袋に入れる。ギンナンの悪臭が漂ったのでは,帰りの電車で,廻りに迷惑が及ぶ。そこで,ビニール袋を二重にして,リュックの奥底にしまう。
ギンナン採りが落ち着いたところで,痛子さん提供のコーヒーを頂きながら,暫くの間,休憩を取る。
■十二所神社で昼食
ギンナン採りに堪能した私達は,11時12分に熊野神社を出発する。苔で滑りやすい石段を降りて,浄妙寺脇の道路に出る。先ほどの工事関係者は道端で熱心に仕事をしている。私達は,暫くの間,裏道を通ってから,金沢街道に出る。途端に自動車の騒音に曝される。
自動車道に沿って,鎌倉霊園に向かって歩き続ける。そして,11時58分に十二所神社に到着する。十二所神社は,先ほどの熊野神社に比較すると,手入れが行き届いていて,境内が何となく明るい感じがする。私達は本殿前の広場の片隅で,昼食を摂ることにする。
私が,100円ショップで購入した安物のマットを地面に敷くと,このマットがテーブル代わりになる。ギンナンさんが混ぜご飯や総菜を,痛子さんが和え物,ミカンなどを提供してくれる。
<十二所神社> <日向で昼食>
私達が広場の片隅で食事をしている間に,何組かの観光客が,十二所神社を訪れてくる。まずは,7~8名の高齢者グループがやってくる。山歩きではなく軽い散策を楽しむグループのようである。リーダーと思われる男性が,私達の方をチラリと見た後,
「日の当たるところで,昼飯にしよう・・」
と言いながら,石段下の広場に腰を下ろす。 次いで,参考書を片手に,女性二人組が現れる。彼女らも,私達と反対側の石段に腰を下ろして休憩を取っている。
■朝比奈の切通
雑談をしている内に,ギンナンさん,痛子さんともに,朝比奈切通を訪れたことがないという。お二人とも,もう何回も鎌倉を訪れているのに,私がまだ,超有名な観光名所を,案内していなかったとは・・・ そこで,今日はこれから朝比奈切通を一回りすることに決める。
12時44分に,十二所神社を出発する。道すがら,浅学ながら,鎌倉市の老人学校で1年間受講した「鎌倉通史」の授業を思い出しながら,旧街道のこと,塩嘗地蔵や朝比奈切通,上総介広常や大刀洗の伝説などの話をする。
<大刀洗の井戸> <三郎の滝>
いよいよ,三郎滝から朝比奈切通に入る。私自身も,この切通を訪れるのは3ヶ月ぶりぐらいになる。ジメジメとした足元に気を付けながら,まだ青々とした樹木を眺めながら,切通を遡る。やがて,茶屋跡に到着する。私は,
「ほら,ここに2軒の茶屋があったんですよ・・・先ほど横切った鎌倉・金沢八景の自動車道路が開通する昭和31年まで,この朝比奈峠が使われていたんですよ・・・」
と余計な講釈をぶつ。
<磨崖仏> <横浜・金沢の熊野神社>
■金沢の熊野神社
13時15分頃,鎌倉市と横浜市の市境に到着する。ここからは下り坂になる。私達は,ここで右側に分岐して,熊野神社へ向かう。神社に近付くにつれて,辺りの杉林が次第に立派になる。やがて林の間から立派な社殿が見えてくる。そして,階段を登って,13時30分に熊野神社に到着する。
<熊野神社> <十二所果樹園の展望台へ>
社殿の前に数本の巨大なイチョウが生えている。素晴らしい巨木である。何となくイチョウの木の下を見ると,まだ沢山のギンナンが落ちている。ここのギンナンは,大粒のようである。こうなると,ここでもギンナンを拾いたくなる。
■展望台からの眺望
ギンナン拾いを堪能した私達は,13時50分に熊野神社を出発する。逗子市と鎌倉市の市境に沿う散策路を,のんびりと歩く。天気が良いのに,殆ど人に会わない。深い杉林が続く。進行方向左手には,旧池子弾薬庫の金網が続く。
14時15分に十二所果樹園に出る。途端に頭上が開けて明るくなる。果樹園に沿って尾根道を歩き続ける。西側の視界が開けるが,まだ殆ど秋の気配は感じられない。
14時18分に十二所果樹園のほぼ中央にある展望台に到着する。展望台広場の真ん中にあるベンチに座って休憩を取る。天気が良いのに,私達の他に誰も居ない。早速,痛子さんのリュックの中から,美味しい柿が出てくる。
<展望台のベンチ> <柿のおやつ>
今日の展望台からの展望は素晴らしい。快晴で空気が澄んでいる。西を見ると相模湾の先に雪を被った富士山が良く見える。反対側を見ると,青い東京湾の先に,千葉の海岸が間近に見えている。何時もなら,こんなに良く見えるのは,冬の季節に限られている。その意味では,今はもう,秋を通り越して冬になったような気分になる。
<展望台からの富士山の眺望>
■光触寺へ下る
14時41分に展望台を出発する。急な下り坂を下ってから,再び弾薬庫沿いの道を辿る。途中から,右折して光触寺に降りる枝道に入る。この枝道の入口は,余程注意してみていないと見落としてしまう。もちろん標識はない。良く見ると藪に覆われた小径が見えるだけである。
<一寸ヤブ> <明治33年に建てられた日本海軍の道標>
枝道に入った途端に,ヤブ道になる。先頭の仙人は,笹の枝を振り回しながら蜘蛛の巣を払う。やがて,旧日本海軍の道標を過ぎると,滑りやすい急坂になる。足元に注意しながら下り続ける。そして,資材置き場のような所に,飛びだすように出る。
ここからは,狭いながら舗装道路になる。すぐに墓場の中を通り抜けて,15時03分に光触寺の境内に入る。また,お節介ながら,一遍上人のこと,塩嘗地蔵や十二所神社のことなど余計な説明をする。
<光触寺> <一遍上人>
■NOVAの先生?
15時17分に光触寺を出る。裏道を通って大慈寺跡,明王院,浄妙寺辺りを通り過ぎる。杉本観音付近では,一旦,自動車道路に出るが,第二小学校から,再び,裏道に入る。ここから絵柄天神前を経由して鶴岡八幡宮に出る予定である。
途中,外人が道に迷っている。
“May I help you?”
と話しかける。瑞泉寺へ行きたいという。
「あなたは,NOVAの先生ですか?」
聞きたかったが,余りに失礼なので止めた。
<裏道の庚申塔> <明王院>
だんだんと観光客が増えてくる。16時07分に鶴岡八幡宮に戻る。沢山の観光客が屯している。源平池ではアヒルが活発に動き回っている。
■鎌倉駅西口
16時10分頃,若宮大路段葛入口で解散する。
私は,島森書店に寄ってから,鎌倉駅西口に廻る。広場の片隅でリュックの中を整理していると,3~4人の若い人が道に迷っている。どうやら韓国人のようである。
「日本語,話せますか?」
と英語で聞く。日本語は話せないというので,英語で道案内をする。彼らはこれから鶴岡八幡宮へ行きたいという。
「反対側ですよ・・・ここのガードを潜って,表口にでてください・・・」
とお節介な説明をする。
市役所前から京急バスに乗って,帰宅する。
また,今日も何となく一日が過ぎてしまった。私は一体何をしていたんだろう?
(おわり)