<コロラド州>
ロッキー山脈紀行:プロローグ(2):渡航準備(携行品)
(アルパインツアー)
2010年8月19日(木)~28日(土)
出発2日前:2010年8月17日(火)
■携行する薬の手配
毎度のことながら,出発日ギリギリにならないと渡航準備を始めないという悪い癖が出ている.でも決して,ギリギリにならなければ断固準備などしないと固い決意をもって準備をしないのではない.もう,何日も前から,準備を始めなければ,始めなければと思いながらも,私の体内に巣くっている愚図虫がのさばっていて,なかなか始まらない・・・・これには,さすがに私も焦れったくなる.
そんなわけで,やっと昨日辺りから本気になって準備を開始した.
いざ準備を始めてみると,平素の後始末が悪いために,絶対にあるはずの物が,なかなか見付からない.結局,大半の時間を捜し物で費やしてしまう.そのうちにイライラしだして,挙げ句の果てに,
「え~ェィ・・どうにでもなれ・・パスポートさえあれば,後はナントカなるさ・・」
と,例の放置癖が頭をもたげて,準備をするのを止めてしまう.
でも,さすがに出発日の2日前となると,準備をしないわけにはいかない.
私は,面倒だなと思いながらも,使用モニターとして送られてきた新品のリュックと,使い古したキャリーバッグを引っ張り出して床に並べる.そして,これまでの山旅の資料を持ち出して,携行品のピックアップを始める.
つい2年前までは,12本爪アイゼンとピッケルを駆使する難度がやや高い山に登っていたが,今はもうその元気はない.これからは,気楽にトレッキングを楽しみたいと思っている.とはいえ,今回訪問する場所は,標高4300メートルを越える高所である.出発日が近付くにつれて,一応は高山病対策の薬ぐらいは持参した方が良かろうと思い始める.
そこで,思い立ったらすぐに・・ということで,10時頃,近所の某クリニックへ行き,高山病予防薬(ダイヤモックス),胃腸薬(五苓散),関節痛の薬(芍甘草)の3種類の処方箋を出して貰う.医者が,
「ほほう・・今年はロッキー山脈ですか・・正に高齢者登山ですな・・」
と言いながらニタリとする.
次いで,このクリニック近くの調剤薬局を訪ねる.若い薬剤師が,処方箋を見て怪訝な顔をして,私に,
「あの・・どこがお悪いんですか?」
と質問する.
「いえ・・病気ではないんです.実は,少々標高の高い山へ行くので薬を出して貰いました・・」
「そうですか.富士山ですか・・?」
「いえ・・その,あの,富士山ぐらいの高さでしたら,ダイヤモックスは要らないんですが・・・実はアメリカのロッキー山脈にある標高4000メートルほどの山へ行きます」
私がロッキー山脈と言った途端に,薬剤師は目を丸くして驚く.
「へえ・・ロッキー山脈ですか.大丈夫ですか・・?」
と私を諭すような目で見る.
私は,内心で,
「ああ・・また例のパターンが始まったな・・」
と苦笑する.
確かに登山には危険が伴うことは事実である.危険が伴うことは,私も十分に承知している.事前に丹念に地図を眺めたり,プロフィールマップを作ったりしている.そして,自分の力量を十分に考慮しながら慎重に登山計画を作っている.
ところが,最近,無謀な登山で事故がしばしばおきる世相を反映してか,
「登山=無謀」,特に,
「中高年の登山」→「年寄りの冷や水」→「危なっかしい」=止めろ
というパターンの忠告を受けることが多い.
でも“十把一絡げで言うな”叫びたい.
ご忠告は,勿論真摯に受け止める.でも,毎晩飲んだくれていて,自分がメタボだ,高血圧だ,コレステロールだと言っている輩からは言われたくない(スイスロールなら良いが).
こんなことを連想しながら,今買った薬の効能書きを読みながら山の上ロータリーに向かう.すると,いきなり何かに“ガツン”と衝突する.胸の辺りから頭の天辺まで,押し返されるような痛みが走る.またもや電柱に衝突.2年ほど前,同じ電柱に衝突したことがある.あのときと同じように,電柱に衝突した「おでこ」から血がにじんでる.眼鏡がひん曲がる.
“あ,痛あ~っ・・”
前回衝突したときは,「おでこ」に5ミリほどの傷ができて,ビックリするほど出血した.今回は幸いなことに,「おでこ」に触った手のひらに血が付く程度で済んだ.でも,私は自分のそそっかしさと痛さで,何とも情けない気分になる.痛いおでこをさすりながら,帰宅する.
帰宅すると,北鎌倉に住んでいる長女の娘,つまり私の孫が我が家に来ている.孫と一緒に,昼ご飯を食べる.
私が,電信柱に衝突したと話すと,家内と孫が笑いこける.私も苦笑い.
■ウッカリ,間尺の合わない物を買ってしまった!
渡米に必要な小物を買い足すために,午後から大船へ出る.当初,大船駅まで歩いて行こうかと思った.でも,今日も猛暑.めったやたらに蒸し暑いので,意気消沈.歩くのを止めて,久々にバスを利用する.
シークレットベルト,メモ用ノート,ボールペン,デジカメ用乾電池,ヘッドランプ用の電池など,面倒臭い小物ばかり.
序でに,大船駅前のY電気の店内を一回りする.
パソコン売り場を覗く.使いやすそうなネットブックが並んでいる.HDDの容量も結構大きい.一昔前のノートPCよりずっと性能は上だ.1台欲しいな.これならば旅行に持って行けるな・・と思うが,今の私には衝動買いするだけの余裕がない.
・・・ま,それはともかく,2GBのSDカードを2枚購入する.
帰途,大船駅に立ち寄る.成田エキスプレスの特急券を購入しようかと迷うが,時間が拘束されるのも嫌だし,特急料金も払いたくない.成田エキスプレスに乗るんだったら,横須賀線直通の普通電車のグリーン車に乗った方が安いし楽かなと迷った末.成田エキスプレスはやめた.
帰宅後,携行品で自分の名前が書いてないものには,修正液(白い字が書ける)を使って,自分の名前を書き込む.買ったばかりのシークレットベルトにも名前を書く.
夕方になって,今日買ったシークレットベルト装着してみる.
「・・・ナント! まあ!・・・ブカブカ.」
ベルトにサイズがあるなんて知らなかった!
何気なく購入したベルトのサイズは“L”だった.私は決して痩せている方ではない.腰回りは76センチメートルで標準.でも,私が間違って購入したベルトは,私の腰を一回り半もしてしまう.当然,紐の両端に付いている面ファスナーの部分は通り過ぎてしまい重ならない.もう,デカデカと自分の名前を書いてしまったので返品できない.後は,自分がベルトに合うまで肥るか,それとも,ベルトを縫い縮めるかのどちらかである.それともリボンのようにヘソの前で花結びにするか.
<携行品をチェックする>
結局,今回の旅の携行品をリストに纏めると以下の通りとなった.
これまでの海外の山旅は,やや本格的な登山だったので,12本アイゼン,ピッケル,カラビナ,ヘルメット,シュラフ,スリングなどを持参していた.そのために,どうしても荷物が多くなった.でも,今回は標高は高いものの,難度の高いルートはなく,単なるトレッキングである.その分,随分と荷物が少なくて済むのが有り難い.
※パスポート,現金,TC,カード類は,下記の一覧表から除く.
■鞄・リュック類
スタッフバッグ 1個
リュックサック(GREGORY Z35)35リットル 1〃 モニター使用
ナップザック 1〃
シークレットベルト 1〃
■登山用品
コンパス 1個
地図ケース(自作の物) 1枚
地図 1式
ヘッドランプ 1個
予備電球(2個) 予備電池(1個)
レスキューシート 1枚
サングラス 2個
登山用時計(気圧計付) 1〃
予備の腕時計 1〃
非常食 1式
カラビナ×2およびロープ(8mmφ×5m)
(使用する予定はないが万一に備えて)
ハイドレーションシステム 1個
ストック 1本
■装備品
雨具兼ウインドウブレーカー(上下) 1セット
ザックカバー 1枚
スパッツ 1式
軽登山靴 1足
手袋 薄手インナー 1組
毛 1〃
予備 1〃
オーバーミトン 1〃
帽子 つば付キャップ 1個
防寒帽 1〃
バンダナ 3枚
手拭い 2〃
靴下 薄手 2足
厚手 3〃
予備眼鏡(落下防止紐付き) 1個
■補用品
結束バンド(大) 数本
ボンド 1本
ビニール紐 数メートル
登山ナイフ(はさみなど) 1本
靴紐 1組
たわし(小) 1個
小型の鍵 2個
■衣類(すべてポリエステルまたは化繊製)
※出発時着用している物を除く
半袖シャツ 3枚
長袖シャツ 2〃
パンツ 3〃
タイツ(CWXと防寒用) 2〃
フリース(防寒用) 1〃
水泳パンツ 1〃
■文房具
ノート(大) 3冊
〃 (小) 3〃
小型スケッチブック 1冊
色鉛筆(12本セット) 1式
ノートカバー(小) 1セット
ボールペン(1.6mmφ) 数本
〃 替え芯 〃
ボールペン(0.5mmφ) 〃
シャープペン(0.5mmφ) 〃
〃 替え芯 1包
小型電卓 1台
■医薬品・衛生用品
※(*)印は医師の処方箋に基づいて購入
ダイヤモックス(高山病対策) 7日分(*)
テイコクゴレイサン(漢方:胃腸薬) 〃(*)
テイコクシャクヤクカンゾウトウ(筋肉痛) 〃(*)
うがい薬 1本
目薬 2本 (*)
マスク 数枚
防虫剤 1本
日焼け止め 1〃
リップスティック(日焼け止め) 1〃
除毒器 1個
爪切り・ひげ剃りなど 1式
絆創膏・包帯類 1式
歯磨き・歯ブラシ 1式
ウエットティッシュ 1〃
膝サポーター 1組
洗濯・石けん 数袋
ちり紙(水溶性) 1巻
日赤救急セット(三角巾,包帯など) 1式
いちぢく浣腸 数個
■食器類
魔法瓶(500ml) 1個
コップ(チタン製) 1個
箸・スプーン類 1セット
■嗜好品
醤油(小型) 1本
お茶パック 若干
インスタント味噌汁 〃
梅干し 〃
塩 〃
菓子類 〃
■その他
折りたたみ傘 1本
スリッパ 1組
デジカメ 2台
針・糸セット 1式
SDカード(2GBほか) 数枚
乾電池 数本
小型たわし 1個
防水袋 若干枚
暇つぶしのための日本語の本 数冊
小型時刻表 1冊
<リュックとスタッフバッグへの仕分け>
一応,携行する物が揃ったので,リュックとスタッフバッグへ仕分けて入れて見る. 最近,液体の機内持込がきわめて厳しくなったので,液体類はすべてスタッフバッグに入れて,携行品扱いにする.
機内にはリュックだけ持ち込む.
リュックには防寒具,デジカメ一式,肌着類1式,貴重品,洗面用具,筆記用語若干だけを入れる.万一,携行品扱いのスタッフバッグが途中で行方不明になっても,数日間は辛抱できるだけの洋品を持って搭乗すべきだと思う.
私のとぼしい海外渡航経験から,飛行機に預けた携行品が,行き先を間違える頻度はかなり高いように思えるからである.
こうして,慌ただしいような無駄なような一日が終わった.
<すべてを防水袋に入れてから収納>
(つづく)
「ロッキー山脈の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8e2862a3917d4ece3709e3ff600dbb59
「ロッキー山脈の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b8a01da838d3d7a031ca38ccf6078f4c
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