<塔ノ岳山頂>
初夏と真冬が同居;積雪を押して登る丹沢:塔ノ岳(今年9回目)
(単独山行)
2018年3月24日(土) 曇
▇まさかの大雪だ
前日の3月23日,私は,
”明日土曜日は,塔ノ岳に登るぞ…”
と自分自身に言い聞かせる.
暑さ寒さも悲願までというが,確かに僧かも知れないが,皮肉にも今年は春分の日に季節外れの大雪となった.
私は塔ノ岳の積雪が気になって,夕方,インターネットで塔ノ岳のライブカメラを覗く.
”ウェ~…,真っ白だなあ…まあ,雪が少ない途中まで登ってみるか…”
<3月23日夕方の塔ノ岳ライブカメラ>
▇軽アイゼンをリュックに入れて…
そして翌日.つまり今日,3月24日(土).
もちろんリュックの中にはワンタッチの6本爪軽アイゼンが入っている.6本爪とは言いながらも,結構がさばるし,重たい感じがする.
”こんな感じを持つのも,オレが年取った証拠か…?”
<持参した6本爪経アイゼン>
▇夜が明けるのが早くなった
私は何時ものように,4時10分に自宅を出発する.
もう彼岸を過ぎたとはいえ,早朝は結構寒い.ただ,寒いと言っても,一時に比較すると随分楽になった.それに確かに夜明けも早くなった.
上空を見上げると,ちぎれたような綿雲が空いっぱいに広がっている.雲の合間に濃い藍色空が覗いている.もうすぐ夜明けだ.このところ随分と夜明けが早くなったと思う.
大船5時10分発の追う街道本線下り初電に乗車する.何時もの土曜日よりも橋脚の数が少し多いようである.
列車が平塚を過ぎる辺りですっかり夜が明けるが,上空には相変わらずちぎれ雲が一杯である.
小田原駅で小田急電車に乗り換えて,6時10分に渋沢駅に到着する.
まっすぐ御蔵行きバス停へ.今日は前から2番目に並ぶ.
数分して常連のYSさん,ISIさんが現れる.続いて次の下り電車で,毎日登山のTGさん,韋駄天のKMさん,鎌倉のHIさん,IWIさんなど常連が次々に現れる.
▇バス停大倉から歩き出す
臨時バスが出る.
6時55分頃.バス停大倉に到着する.そのすぐ後に定期のバスも到着する.
私は,常連の方々と前後して,7時丁度にバス停大倉から歩き出す.
”どうせ,途中から雪になるに決まっている…今日は萱場平ぐらいまで登っておわりにするか…”
と最初から弱気である.
歩き出してすぐにYSさん,MDさんのお二人に追い抜かれる.
”まあ,いいや…その内に追いつくだろう…”
なにしろ,このお二人はスタートダッシュ型だから…
7時08分,登山口を通過する.今朝方雨が少し降ったためか,足許が応分に濡れている.予想市営田通り,丹沢エースを過ぎた辺りからYSさんの歩行速度が少し遅くなる.申し訳ないが先に行かせて貰う.
▇日の当たる坂道
7時24分,日の当たる坂道に入る.周囲は幾分ガス掛かっているが,いかにも春らしい日差しが柔らかく射し込んでいる.
”ああ,もうすっかり春だな…”
と思いながら,気分良く登り続ける.
7時28分,観音茶屋を通過する.
ここで,歩行速度が遅くなった,MDさんに追いつく.
<日の当たる坂道>
▇見晴茶屋
観音茶屋を過ぎてからジグザグの登り坂になる.この辺りまで登ってくると,体も山道に馴れるので,随分と歩きやすくなる.
7時44分,雑事場ノ平を通過する.先ほど猛烈な勢いで私を追い越していった若い連中が,雑事場ノ平で休憩を取っている.
7時46分,見晴茶屋に到着する.
晴れていれば.見晴茶屋にまぶしい朝日が照りつけている筈だが,今日はちょっと残念.
茶屋前から相模湾を見下ろすと,水平線の彼方で太陽を反射して鈍く輝いている.
”まだ,まだ,陽は低いな…春は浅いな…”
と思いながら,見晴茶屋を通過する.
<見晴茶屋:写真の男性は無関係>
▇見晴階段
見晴階段に差し掛かる.
坂の上の方に登山者数名の後ろ姿が見えている.ここを張り切りすぎて登ると,後でバテてしまうのは必定.心してユックリと登り続ける.
見晴階段を登り切った後,引き続きモミジ坂を登り続ける.ここも”自重,自重”で登る.
8時04分,一般松に到着する.大倉からの所要時間は1時間04分.ちょっと遅いが,まあ,こんなところで良かろうと自己評価する.
<見晴階段>
▇駒止茶屋
駒止階段に差し掛かる.
階段下の土手で,今日初めて残雪を見つける.
”ありゃぁ~…,もう残雪か!”
残雪を気にしながら駒止階段をユックリ登って.8時21分,やっと駒止茶屋を通過する.
駒止階段辺りから,暫くの間,私に追いついたTNさんと一緒に登り続ける.
大倉からの所要時間は,1時間21分.ここはせいぜい1時間15分程度のラップで歩きたいところである.
<駒止茶屋>
▇駒止茶屋から上は冬だ
駒止茶屋を過ぎると,急に雪が多くなる.
雪が深いところでは,木道が半ば埋まっている.
木道を過ぎて土道に入ると,残雪と泥濘みだらけの道になる.道幅一杯にぬかるみになっているところもあって,泥濘を避けて通ることもままならない.
やがて,晴れていれば富士山が見える場所に到着する.
今日はもちろん富士山は雲の中である.でも,私は敢えて見えない富士山の写真を撮る.同行していたTNさんが,
「富士山見えないでしょう…」
と言って不思議がる.
私が写真を撮っている間に,TNさんは先に行ってしまう.
8時31分,堀山の道標を通過する.
<駒止茶屋辺りから急に残雪が増える>
▇小草平(堀山の家)
堀山の道標から先の下り坂も,残雪のために,何時ものように快速で歩くことができない.もたもたと坂道を下ってから,少し登り返して,8時40分に小草平に到着する.
大倉からの所要時間は1時間40分.残雪のために余計に時間がかかるのは仕方がないが,せめて1時間35分程度で歩きたいところである.
堀山の家の軒下の温度計は3℃を指している.やはり,それほど暖かいとは言えないようである.
堀山の家の前に,KIさんが居る.昨夜から堀山の家に宿泊していたとのこと.
KIさんと雑談.
「…昨日,(塔ノ岳に)登ったよ.雪が多かったですよ…」
とのこと.私は,
「…今日も結構雪が多いですね…,今日は萱場平ぐらいでやめて,下山しますよ」
と答える.これこの時点での本気である.
<小草平の「堀山の家」>
▇萱場平
KNさんとほぼ同時に小草平を出発する.でも,KNさんの後ろ姿が徐々に遠ざかる.
”2~3年前には,KNさんと一緒の速度で登れたのに…”
私は,正直なところ,KNさんと〃速度で登れなくなったことが,とても無念である.まあ,仕方がないことだとは分かっているが…
登るにつれて残雪がますます多くなる.そろそろ軽アイゼンが欲しいなと思い始めるが,もちろんアイゼンなしでも十分に歩けるし,もう少しで,今日の終点である萱場平に到着だ,アイゼンなしで登っちゃおう.
9時04分,萱場平に到着する.
登山者が通る木道には雪がないところもあるが,辺り一面に雪が覆っている.
今日は萱場平を終点にしようかなと思っていたが,周りの雪に阻まれて,何となく萱場平を通過する.
”よおしっ…! いっそのこと花立山荘まで登っちゃおう…”
<残雪の萱場平>
▇花立階段
登るにつれて,ますます残雪が増える.
長い階段道が終わりに近づくにつれて,乱雑な階段の急斜面になる.アイゼンなしでは,歩きにくい.余程,アイゼンを装着しようかとも思ったが,立ち止まるのも面倒なので,そのまま登り続ける.
9時22分,後もう少しで花立階段というおころで,女流韋駄天のNMさんが,
「あら,FHさん!」
と言いながら,私を追い越していく.
9時24分,花立階段に到着する.雪まみれの階段を見上げて,私はため息をつく.
”こんな階段,登りたくないな”
<花立階段>
▇花立山荘
雪で滑りやすい階段を,たっぷり時間を掛けて登り続ける.
9時32分,ようやく階段を登り切って,花立山荘にたどり着く.ちょっと前までは,この階段を7分で登っていたが,今は9分もかかっている.
大倉からの所要時間は2時間33分.
”こりゃ,ダメだな!”
花立山荘前はたっぷりの残雪である.上空には分厚い雲が掛かっている.富士山処か近場の風景も霧の中である.
でも,ここで登るのを止めて,下山する気にもならない.
”序でだから早建て山まで登ろうかな…”
…ということで,ベンチに座って,軽アイゼンを装着する.
丁度そのとき,KIさんとMTさんが花立山荘に到着する.
「あれぇ…,萱場平で下山じゃなかったの…」
私.”えへへ…”
<残雪の花立山荘>
▇眺望ゼロの花立山
私の隣でアイゼン装着を終えたMTさんは,アイゼンなしのKIさんと一緒に,私より先に出発する.
9時41分,私もお二人の後を追うように,花立山荘を出発する.丁度そのとき,私より後のバスで来られたTTさんが,花立山荘に到着する.
暫くの間,TTさんと雑談しながら,花立山を目指す.20~30メートル先に,KIさんとMTさんの後ろ姿が見えている.
花立山山頂間近で下山してくるチャンピョンとすれ違う.
「おや,FHさん.NMさんもTNさんも登っていますよ…」
と教えてくれる.
私内心で,
"皆さんに追い抜かれたんですよ…”
と心の中では思いながら,
「そうですか…」
とお返事する.
辺りはもう完全な冬景色である.
周囲を分厚い雲が覆っていて,景色は何も見えない.面白くも何ともない.
<雪の花立山>
▇塔ノ岳山頂
気がつくと,惰性で花立山を通過して金冷シに向かっている.もうこうなったら塔ノ岳山頂まで登っちゃおうと思う.
花立山から先は,さらに雪が深くなる.馬瀬付近は深い雪の中に溝のようにできあがった踏み跡道を辿る.
9時51分,金冷シを通過する.
金冷シから先は,それこそ真冬並みの残雪である.階段道はほぼ雪に埋まっている.雪の下の状況が分からないので,慎重に時間を掛けて登り続ける.
三棟直下の坂道で下山してくるNMさんとすれ違う.
10時21分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.
大倉からの所要時間は3時間23分.いくら雪の登山とはいえ,なんとも不本意なラップである.
山頂の気温は5℃.意外に高い温度だが,日が当たっていないためか,体感温度はかなり低い.
<塔ノ岳山頂>
▇早々に下山
何も見えない風景の写真を撮ってから,近くのベンチに座り込んで,オニギリを1個だけ食べる.
”こんな消しも見えなくて寒いところに長居は無用だ…”
ということで,10時28分に下山開始.
山頂直下の階段道で,ISIさんとすれ違う.
山頂直下の急斜面は,軽アイゼンを装着していても,結構緊張する.
さらに,金冷シ手前の階段でYSさんとすれ違う.
10時24分,金冷シを通過する.こもから先もシンドイ思いを為ながら慎重に下り続ける.
11時04分,ようやく花立山荘を通過する.そして,花立階段を実に慎重に下り続ける.
階段を降りきって,ガレ場から階段道に差し掛かるところで,下りがめっぽう速いISIさんが私を追い抜いていく.
▇アイゼン脱着
11時29分,やっと萱場平を通過する.
階段道を降りながら,そろそろアイゼンを脱着しようと思い始めたが,適当な場所がないので,階段が終わるところまで我慢する.
階段道が終わるところで,アイゼンを脱着する.
丁度そのとき,後かが下山し始めたTNさんが私に追いつく.
「わたし,萱場平でアイゼン外したよ…先に行っています」
ということで私を追い越していく.
11時48分,漸く小草平の堀山の家に到着する.ベンチは登山者で満杯.
”おや,おや,…随分と時間が押しているな”
ということで,小草平から先は歩行ピッチを上げる.
12時08分,駒止茶屋を通過する.
▇13時11分のバスに合わせて下山
駒止階段は慎重に下るが,そこから先は更にピッチを上げる.
12時46分,観音茶屋の女主人に,
「今日は時間が押しているので通過します…」
と挨拶して通過する.
茶屋の中では,見晴茶屋の主人が居られるようだった.
私は13時05分に大倉に到着するように,時計を眺めながら,下山し続ける.そして,ほぼ予定通り,13時04分にバス停大倉に到着する.
下り所要時間は2時間46分.今年の最低記録である.
▇ミスタードーナッツでお茶
バス停大倉の待合室には,MGさん,NMさん,ISいさん,TNさんの他に,途中まで登ったTGさん,SSKさん,AIさんが居られる.
一同,大倉発13時11分のバスに乗車する.そして渋沢駅ビル1階のミスタードーナッツで,コーヒーブレークを楽しむ.270円也のブレンドコーヒーを3杯お替わりして,90円・杯に単価を下げる.
<ミスタードーナッツのコーヒー>
▇無事帰宅
14時過ぎにお開き.
3月中旬に小田急線のダイヤが大幅に改訂されたので,電車の時刻表がまだ頭の中に入っていない.電車の時刻を調べるのも面倒なので,適当に下り電車のホームへ.
うまい具合に急行電車が到着したので,シメシメと思いながら乗車する.ところがこの電車は新松田止まり.新松田から各駅停車の電車に乗り換える.
小田原からは特別快速高崎行とやらの電車に乗車して,16時過ぎに武器帰宅.
今日は雪中行軍となったために,何時もの塔ノ岳詣でより大分疲れた感じである.でもまあ無事に下山できたので”良かった,良かった”である.
<ラップタイム>
7:00 大倉歩き出し
7:28 観音茶屋
7:46 見晴茶屋
8:21 駒止茶屋
8:31 堀山の家
9:33 花立山荘(9:41までアイゼン装着)
9:58 金冷シ
10:27 塔ノ岳着
10:28 〃 発
10:44 金冷シ
11:04 花立山荘
11:48 堀山の家(堀山の家手前でアイゼン脱着;ロスタイム7分)
12:08 駒止茶屋
12:33 見晴茶屋
12:46 観音茶屋
13:08 大倉
[山行記録]
▇水平歩行距離 7.0km(片道)
▇累積登攀下降高度 1,269m
▇上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:00
塔ノ岳着 10:27
(所要時間) 3時間27 分 (3.45 h)
水平歩行速度 7.0km/3.45h=2.03 km/h
登攀速度 1,269/3.45 h=368m/h
▇下り所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳発 10;30
大倉着 13:04
(所要時間) 2時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7.0km/2.77h=2.53 km/h
下降速度 1,269m/2.77h=458m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/309c4be82381c04155b39cb208963e2d
「丹沢の山旅」の次回の記事
https://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4ee21db41e08c2069e295fa00057b2db
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
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