<吊り橋からルートバーン川を覗く>
ルートバーン(29):ルートバーントレッキング第3日目(4)
(湘南カラビナ隊)
2002年1月25日(金)~2月5日(日)
第7日目:2005年2月2日(水) (つづき)
29 ロードエンド
<怖い吊り橋>
■ルートバーン川沿いの山道
12時40分,ルートバーン川の河原で昼食を終えた私たちは,ガイドのサラさんを先頭にして出発した.外国人グループは,私たちよりも先に出発したらしい.タッチの差で,東京組の2人が私たちの前に進む.もちろん,私たちの前に出ても一向に構わない.ちゃんと歩いてくれれば,である.しかし,2人は山歩きになれていないらしくて,カチカチとストックを振り回すだけでなく,とにかく歩きが遅い.私たちも,特段に急ぐ必要はないが,やたらに遅くても困る.せっかくだから,快適な速度で歩きたい.
私たちが後ろでジリジリしている.足の速い人に道を譲るのは常識なのに,2人は一向に道を空ける気配がない.事実,私たちも,何時も早く歩く人には,進んで道を空けて,先に行って貰っている.このお2人は「元山岳部だ」と自称しているのに,この山の基本的なマナーすらご存じない.焦れ始めた私たちは,この2人に,
「先に行かせてください」
と声を掛ける.
フクロウ,私,バーダーの3人が,まず2人を追い越す。すると他の仲間も,次々に2人を追い越す.
道は小さな上り下りを繰り返しながら,ルートバーン川の畔を,次第に下流に向かっている.広い河原の両側には雪を戴く山稜が連なっている.フクロウが,
「ここは,まるで上高地のようなところですね」
という.なるほど,言われてみれば,上高地をいくつも繋げたようなところである.ここでは,上高地よりもずっと大規模な谷間が長く,長く,続いている.
■次々に吊り橋
13時02分,出発点から約26.5キロメートル付近でまた橋である.幸いなことに,ここは吊り橋ではない.手すりがちゃんと付いている木製の橋である.この橋は,丁度滝の上に懸かっている.橋の下,2~3メートルの所を,滝が白い泡を立てながら激しく流下している.
<立派な木製の橋>
※ここ以外の橋は怖い吊り橋が連続する.
■ウオータースライド
橋の上流では,岩の割れ目を伝わって,三方から流れ落ちている.沸き上がるような泡を激しく立てながら滝壺で合流している.
橋から下流を眺める.ヌメヌメとした岩肌を曲がりくねりながら,大量の水が流下していく.
サラさんの説明によると,
「ここで,ウオータースライドをして遊べます」
とのことである.何だか怖そうである.
■次々に吊り橋が・・
13時05分,また恐怖の吊り橋がある.怖いが渡らなければ先に進めない.おっかなびっくり慎重に渡る.その後,何回も吊り橋に出くわす.その都度,私は肝を冷やす.私が屁っぴり腰で渡るのを見ていたフクロウが,
「橋の真ん中を,サッサと渡れば揺れませんよ」
と呑気なことを言う.
やがて,だんだんと川の音が遠ざかる.
13時22分,サラさんを先頭に,フクロウ,私,バーダーの3人が一緒に進む.仲間の連中は,私たちよりも大分遅れているようである.
■大きな枯れ木
右手に腐り果てた大きな枯れ木が立っている.私の身長よりもちょっと高いところで折れていて,上の部分はなくなっている。幹の中は大きなウロになっていて,大人1人が悠々と入れるほどの空間になっている.
サラさんが,このウロに入って写真を撮れと勧める.
3人が交代,交代に写真を撮りあう.
サラさんと雑談しながら,先へ進む。
<人がスッポリ入る洞の木> <ルートバーン川の川幅が広くなる>
※人物は無関係
<間もなく終点>
■サラさんと雑談しながら・・
片言ながら,出鱈目な英語を話す私に対して,
「アナタ,普通の日本人に比較すると英語が上手ですね.どこで習ったの・・・」
と聞く.このときサラさんが,「come from your English」という言い回しをしたので,私は一瞬「おゃ」と思った.
上手だと言われても,田舎高校で大学受験のための英語しか勉強したことがない.しかも,戦中戦後の混乱期に,旧制中学の学生だった私たちの年代の人間は,終戦前後の1~2年間は,ほとんど勉強していない.
余談だが,その頃,いつの間にか,通っていた旧制中学が新制高校になって,各県に駅弁大学が誕生した.何しろ当時は英語など勉強などする雰囲気でもなかった.まあ,強いて言えば,仕事の関係で,外国へ行った回数が,平均的な日本人より多少多いだけだ.その旅行の過程で何となく片言英語を覚えたに過ぎない.
でも,こんなややこしいことを説明するのは面倒なので,
「時々,外国へ行くからでしょう」
と,簡単に答える.
■ルートバンロードエンド
13時12分,ルートバーン最後の吊り橋を渡る.やけに長い.長いだけあって,特段にゆらゆら揺れる.怖い.橋を渡ると広い原っぱになっている.原っぱの真ん中に,バスが「ぽつん」と停まっている.原っぱが広いので,バスがやけに小さく見える.
<原っぱの真ん中に送迎バスが停まっている>
■完全走破した・・
13時39分,ルートバーンのエンドポイントに無事到着する.
サラさんが,
「皆さんのチームは,私が今まで案内した日本人の中で,一番,速く確実に歩いていましたよ」
と褒めてくれる.
昨日,チャドからも同じことを言われた.率直に嬉しい.
「これは嬉しい言葉だ.帰国したら,是非,山学校の師匠,N方さんに報告しなければ」
と思った.
■終着点の看板
ルートバーントラックの終着点に,立派な看板が立っている.この看板の前で,完歩記念の写真を交代で撮る.
撮影をし終えてから,トレッキング中に拝借したシーツ類を,主宰者に返却して,送迎バスに乗り込む.
「・・これで,念願のルートバーントレッキングも無事終わったな・・」
感一入である.
<ルートバーントラックの看板>
(つづく)
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[編集後記]
2011年5月3日(火) 曇
昨日(5月2日),2人の散策仲間と一緒に,藤沢のフジロードを散策した.天気にも恵まれ,素晴らしいコースを経験した.歩行記録は,別途,このブログで掲載する積もりだが,立派な公園が沢山整備されている藤沢市民がとても羨ましく思えた.
数日前に自覚した目眩が,まだ少し残ったまま歩いたが,歩きながらもだんだんと症状が軽くなっていくのが分かった.やっぱり,適度に身体を動かすのが,一番だと言うことを実感した.
6時現在,残念ながら天気は曇.少しヒンヤリしている.でも,陽春の時期ともなると,気温は寒くも暑くもなく,実に心地よい.
こんな素晴らしい季節に,終日家に籠もっているのは勿体ない.今日も午前中にいろいろな雑務を済ませ,午後から,鎌倉のどこかを散策しようと思っている.
(愚痴おわり)
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