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三日月と笠雲の富士山,それに残雪の丹沢;塔ノ岳(2018年4回目)
(単独山行)
2018年2月10日(土) 晴
■三日月の影を踏んで…
一昨日,お伊勢参りから帰宅したばかりである.
お伊勢参りは一泊二日の旅だった.特に山に登ったり,長時間歩いたわけでもないのに,2日後の今朝も何だか疲労感が残っている.
今日は土曜日.特別な用事がない限り,私はできるだけ塔ノ岳に出掛けるようにしている…が,今日は早朝から何となく体が重い.旅行中贅沢な食事を腹一杯食べ続けた付けが回ってきたのだろうか.とにかく気が乗らない.
”今日は,もう,塔ノ岳詣ではやめようかな…”
”いやだめだ! そんなことしていたら,早晩,塔ノ岳に登れなくなるぞ…”
出発時間ぎりぎりまで私は心の中で”行く,行かない”を繰り返していたが,4時10分,遂に意を決して自宅から出発する.
”相変わらず寒いなあ~…,ン…そう寒くもないか!”
”そりゃあ~…,あの伊勢,志摩の寒風に較べたら,湘南の風の冷たさなど多寡が知れているなぁ~”
私は独り言のように,頭の中だけでブツブツ言いながら,真っ暗な住宅地の大船駅に向けて歩き続ける.
たまたま,南東の空に,三日月がキラキラと冴え渡るように輝いてる.
”これは凄い!”
私は,デジカメを電信柱に押しつけて固定しながら,三日月の写真を撮る.
ところが,なぜか三日月が満月のように撮れてしまう.何でだろう?
<三日月が満月のように写る>
■大倉から歩き出し;路面は良く乾いている
何時ものように大船駅から5時10分発東海道本線下り初電に乗車する.今朝はなぜか何時もの土曜日と比較すると電車が空いている.
小田原で小田急電車に乗り換える.車内の暖房がまだ良く利いていないので,とにかく寒い.体中の筋肉を硬くして寒さに耐え続ける.6時11分,渋沢駅に到着する.
すぐに大倉行バス停へ.私は前から2番目.
バス停近くの大きな柱の陰で,ストレッチを開始する.手足を動かしている内に,体がだんだんと暖かくなる.
やがて,土曜日の常連,KM夫妻が現れる.続いて下り電車が到着する度に,バス待ちの列が長くなる.でも姿を現した常連はTNさん,YDさん,KMさん,KIさんの3人だけ.お伊勢参りに参加した常連の大半は姿を見せない.
私たちを乗せたバスは,7時丁度にバス停大倉に到着する.
身支度を調えて,7時09分,大倉から歩き出す.もちろん,単独行である.
今日は体調が重たいので,出だしは何時もよりさらにゆっくりペースにする.次から次へと登山者に追い越されるのは承知の助である.
まずは,TNさん.
ほぼ私と同時に歩き出すが,とてもではにが,私はTNさんの歩行ペースにはついて行けない.
「どうぞ,お先に…」
ということにして,先に行って貰う.TNさんと私との間はみるみるうちに広がっていく.
続いて,女流韋駄天のYDさんが私を追い抜いていく.
寂寥感.
私は1人トボトボ.ゴーイングマイウェー.
このところ雨が降っていないためか,足許はカラカラニ乾いている.
<路面は良く乾いている>
■日の当たる坂道
7時26分,丹沢ベースを通過する.
やっぱり,今日は体が重い.とてもではないが,せいぜい小草平ぐらいで引き返そうかなと思い始める.
やがて,日の当たる坂道に差し掛かる.
今日の天気は晴.
柔らかい冬の日差しが射し込んでいる.ここまで来ると,なんだかホッとした気分になる.
7時35分,観音茶屋に到着する.
強雨は意外に気温が高そうなので,観音茶屋で衣服調整.ロスタイム2分.
<日の当たる坂道>
■見晴階段
7時57分,見晴茶屋に到着する.
茶屋前から眼下に広がる風景を眺める.相模湾が日光を反射して鈍く光っている.
”海が鈍く光っている内は,まだ春は遠いな…”
私は,立ち止まって,光る海の写真を数枚撮るが,どれもこれもどうも上手く撮れていない.残念.
すぐに見晴階段に差し掛かる.
階段下から,坂を見上げると,何時ものように何人かの登山者の後ろ姿が見えている.
最近,めっきり体力が弱くなった私には,この坂道を登り続けるのも大変である.超スローペースで,ウンサ,ウンサ,…と登り続ける.
<見晴階段>
■一本松から先は雪道
ようやくの思いで,見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.
ここはそれほどの急坂ではないが,結構,長い坂道が連続する.ジャストマイペースでエッチラホッチラ登り続ける.
8時16分,漸く一本松に到着する.
大倉から一本松までの所要時間は1時間07分.途中に残雪があったわけでもないのに.とんでもなく時間が掛かっている.
”こりゃあ~…,今日はダメだな!”
一本松をちょっと過ぎると堀割には,かなりの残雪があって,結構滑りやすい.
<一本松から先は急に残雪が多くなる>
■駒止茶屋
堀割の残雪を通過すると,日当たりの良い平坦道になる.さすがこの辺りには残雪はない.平坦道を,まあ,まあ,調子よく歩き続ける.
やがて,駒止階段の近くに差し掛かる.
この辺りから残雪が一層多くなる.階段前の上り坂には,踏み固められたコチコチの残雪がべったりである.もうアイゼンなしでは,とてもではないが歩きにくい.私は意を決して,駒止階段下で6本爪軽アイゼンを装着する.
前回,塔ノ岳に登ったときには4本爪軽アイゼンを持参したが,塔ノ岳山頂付近の急坂を上り下りするのには少々物足りなかった.そこで,今回は6本爪軽アイゼンを使用することにした.その差は歴然.
物凄く時間を掛けて,駒止階段を登る.
8時40分,ようやく駒止茶屋前を通過する.
大倉からの所要時間は,1時間31分.もう目も当てられない鈍足である.実に情けない.
<駒止茶屋>
■堀山の雪道
堀山の尾根道に入る.
踏み固められた雪が切れ目なく続いている.ここは何時も警戒に歩くところだが,今日は軽アイゼンを装着しているので,そんなに早くは歩けない.
8時49分,下山してくるKSさんにバッタリ.
「…やあ,FHさん…!」
で何時ものように握手.
「山頂の気温はマイナス6℃でしたよ…」
と教えてくれる.
KSさんから勇気を分けて貰って,いくらか明るい気分になる.
<堀山は雪道>
■久々の富士山
やがて富士山が良く見える場所に到着する.
”今日は富士山を拝めるかな…”
と期待しながら,木の間から富士山を望む.
今日は,山麓まですっかり雪に覆われた富士山が良く見えている.
”ラッキー…!”
私はここで立ち止まって富士山の写真を何枚も撮り続ける.
8時55分,堀山の案内板の前を通過する.
<堀山から富士山を望む>
■小草平
堀山の下り坂を慎重に下りる.そして,少し登り返して,9時08分,やっと小草平に到着する.まだ時間が早いので,堀山の家は閉まったままである.
堀山の家の玄関にぶら下げてある温度計はマイナス1℃.今日は比較的暖かなようである.
大倉からの所要時間は,1時間58分,いくら雪道とはいえ,何とも情けない.
<堀山の家>
■富士山に笠雲が掛かっている
小草平からも富士山が良く見えている.
富士山には,どうやら,笠雲が掛かっているようである.
”明日の天気は下り坂かな…”
富士山の写真を2~3枚撮っただけで,休憩は取らずに,そのまま長い坂道を登り始める.
<小草平から富士山を望む>
■萱場平
長い坂道を,超ユックリペースでひたすら登り続ける.
坂道を登りながら,
”なんで,こんなにシンドイんだろう…!”
と思い続ける.
登っている途中で,実に沢山の登山者に追い抜かれる.実に情けなく口惜しい.
”もう,オレも年貢の納め時かな…”
と心が沈む.
9時31分,ようやく萱場平に到着する.ほんの3~4年前ならば,すでに金冷シを通過している時間である.
”オレも老いぼれたもんだなぁ…本当に情けない!”
私は,定点観測用に写真を撮ろうとする.ところが,丁度このとき,デジカメの電池が切れてしまう.私はベンチに座り込んで,リュックから乾電池を取り出して,デジカメの電池を入れ替える.そしてベンチに座ったまま,萱場平の写真を撮る.
写真を撮り終えてから,何となく小腹が空いているのに気がつく.
朝,東海道本線の電車の中でオニギリ2個食べたのに!
私はそのままベンチに座り込んで,昼食用のイニギリを1個食べる.すると不思議にも,もう少し登ろうかなという気持ちになる.
<萱場平>
■花立階段下からの富士山
小腹を満たしてから,9時41分,萱場平から歩き出す.
いくら小腹を満たしたとはいえ,急な上り坂はシンドイ.私の足取りはますます遅くなる.
萱場平から花立山荘までの距離を3分の1ほど登ったところで,下山してくるKIさんとすれ違う.
「…花立山荘で降りてきちゃった…」
とKIさんが言う.
私も,この言葉を聞いた途端に,山頂まで登ろうという気分が完全に失せる.
「私も花立山荘まで行ってすぐに下山します…」
と即座に答える.
更に登り続けて,もう少しで花立階段という場所で,下山してくるYDさんとすれ違う.
「…花立山荘で,登のやめました…」
とYDさんが言う.
”女流韋駄天のYDさんが花立山荘で下山するなら,しがない私が花立山荘で下山してもおかしくないな…”
と私は内心で安堵する.
やがて,花立階段下に到着する.
ここからの富士山の眺めも最高である.
私は階段下で立ち止まって,富士山の写真を何枚も撮る.
どうやら富士山の上に掛かる笠雲が,はっきりと姿を現したようである.
<花立階段下からの富士山>
■長い花立階段
富士山の写真を撮り終えて,花立階段を登り始める.
ウンザリ.
何も考えずに,ただ,ただ,ひたすらに登り続ける.まるで機械のように…
階段を3分の2ほど登ったところで,下山してくるMGさんとすれ違う.
”こんな下の方で,山頂まで行ったMGさんとすれ違うとは…オレもこれで終わりだな”
と心の中で思う.
”やっぱり年貢の納め時だな…塔ノ岳登山も今年いっぱい続けられれば御の字だな…”
と思いながら,足を引きずるようにして登り続ける.
<長い花立階段>
■本日の終点;花立山荘
花立階段をやっと登って,10時14分に花立山荘に到着する.気温マイナス1℃.
大倉からの所要時間は,なんとまあ,3時間05分.こりゃもう完全にアウト.
花立山荘の小屋番,カナブン氏が私を見つける.しばらく雑談.
上空には雲が多いものの,相変わらず富士山が良く見えている.相変わらず笠雲が見えている.
富士山の写真を撮りながら,しばらく休憩.
<花立山荘前から富士山を眺める>
■素晴らしい眺望
休憩を終えて,10時17分,下山開始.
下山口に立つ.眼下に駿河湾,その手前に秦野の市街地が見えている.素晴らしい眺望が楽しみながら,ユックリと下山し始める.
今日は塔ノ岳山頂まで登らなかったので,何となく敵前逃亡してしまったような,後ろめたい気分が付きまとう.
でも,まあ,これも人生と悟るしかない.
雪が溶けている場所をある国はアイゼンは邪魔もの.アイゼンの刃が小石に当たって”ガリガリ,ジャリジャヤリ”ときしんだ音を出す.でも,所々にアイゼンが必要な場所があるので,アイゼンを装着したまま下山し続ける.
<花立山荘前からの眺望>
■観音茶屋のお汁粉
下りは,まあ,まあ,順調である.
目標のバスは大倉12時41分発である.その時間に合わせて,ゆっくりペースである.
10時41分,小草平に到着する.
堀山の家に立ち寄ろうかとも思ったが,先週日曜日に立ち寄ったばかりなので,迷いながらもパス.
順調に下って,12時00分に観音茶屋に到着する.
まだ十分に時間があるな…”
と確かめてから,観音茶屋に立ち寄る.女主人が愛想良く迎え入れる.
「つい先ほどまでMGさんが居られました.その少し前にYDさんも立ち寄ってくださいました…」
とのこと.
一杯300円也のお汁粉を所望する.
疲れた体には,お汁粉が何よりである.
<観音茶屋のお汁粉>
■無事下山;渋沢でコーヒーブレーク
12時15分,観音茶屋を出発する.
後はダラダラと下るだけ.全くのマイペース.
途中,克董窯付近で,突然,
「…FHさん…」
と後ろから声を掛けられる.
TNさんである.
ここからバス停大倉までは,TNさんと一緒に下山する.
12時27分,無事,バス停大倉に下山する.下り所要時間は休憩時間込みで2時間10分.
すぐにバス待ちの列に並ぶ.前から6~7人目.先に下山したMGさん,YDさんも同じバス.
バスは13時07分に渋沢に到着する.
「…お茶しましょう…」
ということで,MGさん,TNさん,YDさん,AIさんの4人と一緒に,渋沢駅ビル1階のミスタードーナッツに立ち寄る.
270円也のコーヒーを所望する.一回コーヒーのお代わりして,1杯135円にする.みみっちい話である.
<ミスタードーナッツでコーヒーブレーク>
■無事帰宅
私は皆さんより一足先にミスタードーナッツを後にする.
渋沢発13時32分快速急行小田原行に乗車する.小田原でうまい具合に14時04分発特別快速高崎行に接続する.例により4人掛けワンボックスを1人で占有する.
途中で眠くて仕方がなかったが,何とか寝過ごさずに大船で下車.バスの接続も良くて.15時前に無事帰宅する.
今回は,塔ノ岳山頂までは登らなかったが,まあ,こんなものだなと納得する.
<ラップタイム>
7:09 大倉歩き出し
7:35 観音茶屋(7:37まで衣服調整)
7:57 見晴茶屋
8:40 駒止茶屋(一本松でアイゼン装着)
9:07 堀山の家
10:14 花立山荘着
10:17 〃 発
11:51 堀山の家
11:29 駒止茶屋(駒止階段下でアイゼン脱着)
11:42 見晴茶屋
11:57 観音茶屋(12:11まで休憩)
12:27 大倉着
[山行記録]
■水平歩行距離 5.4km(片道)
■累積登攀下降高度 1,059m
■上り所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:09
花立山荘着 10:14
(所要時間) 3時間05 (3.08 h)
水平歩行速度 5.4km/3.08h=1.75 km/h
登攀速度 1,059m/3.08 h=344m/h
■下り所要時間(休憩時間込み)
花立山荘発 10:17
大倉着 12:27
(所要時間) 2時間10 分(2.17h)
水平歩行速度 5.4km/2.17h=2.49 km/h
下降速度 1,059m/2.17h=487m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」(塔ノ岳)の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3595c423564cc315ce74a6ddfbeb2289
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/06856158f0b10e371e66764f6fca0acbt(丹沢山麓)
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/a4b23e5dd90ba8e801708d45f6477762
お断り;
これらの記事は,私の趣味仲間を読者対象としたものであり,一般の読者を対象としていません,したがって,まったく個人的なものです.また十分に時間を掛けて編集していませんので,記事は正確とは言えないし,誤字脱字転換ミスも多々あると思います.このことを前提にしてご覧下さい.
また,当ブログ記事を読んで,不快になられた方は,以後,当ブログへアクセスされないようにお願い致します
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