<ガルホビッケン山頂にて>
ノルウェー紀行;プロローグ(3);楽しい旅が無事終わった
(アルパインツアー)
2013年8月19日(月)~8月30日(金)
帰国後第1日目;2013年8月31日(土) 晴・蒸し暑い
<無事帰国>
■予定通り帰国
12日間のノルウェーの旅を予定通り終えて,昨日(8月30日),無事帰国した.その間,連続5日間のトレッキングと,北欧最高峰のガルホビッケン山(標高2,469m)に登頂した.
5日間にわたるトレッキングは,ユートゥンハイム国立公園内を巡るコースである.実際に歩いてみると,事前に要していた以上にスリルと変化に富んだコースだった.
成田空港に9時過ぎに到着した私たち一行は,一連の帰国手続きを終えて,預け入れた荷物を受け取ってから流れ解散となる.私は,リムジンバスを利用して,まずは浜シティターミナル(YCAT)へ.丁度昼時だったので浜駅隣接のルミネ地下1階の某寿司店に立ち寄って.海鮮丼を賞味する.店員さんのハキハキ,ニコニコした応対に,まずは感動.久々の美味しい日本料理に大満足.
昼食後,浜駅から横須賀線で大船へ.浜駅構内に入ると,周囲の色彩の華やかさ,明るさに,感動する.何時も海外から帰ってくると感じることだが…日本は平和で笑顔に満ちていることを改めて実感する.
“やっぱり,日本って…本当に良い国だな~ぁ…”
でも,冷涼な北欧の旅を終えたばかりの私には,日本のいきなりの蒸し暑さは身体に大分堪える.電車の中は涼しくて良かったが大船駅に到着した途端に.また,蒸し暑さに悩まされる.何とも言えない疲労感があるので,帰宅する前に行きつけの大船駅構内にあるBecker’sに,フラフラ立ち寄って,ホットコーヒーを所望する.久々の馴れたコーヒーの味を賞味していると,だんだんと緊張もほぐれてくる.そして,やっと落ち着いた気分になる.
私は大きなスタッフバッグを引きずっている.こんな荷物を持ったまま,自宅近くを通る小さなバスに乗るのも記が引けるし,そうかと言って,けちん坊の私のこと,タクシーを利用する気にもなれない.仕方なく湘南モノレールを利用して.近場の駅で下車.そこから先,距離にして約700メートルの坂道を,大きな荷物を引きずって,エッチラ,ホッチラと登る.
自宅に着いたときは,もうヘトヘト.蒸し暑さで辟易.すぐにシャワーを浴びて汗を流す.
さて,暫くすると就寝の時間である.でも,今度は逆時差のため,どうも体調がちぐはぐでよく眠れないまま,帰国後第1日目の今日を迎えてしまった.
そんなわけで,今日は朝の内から,ボ~ッとした気分である.
“それにしても,朝から随分と蒸し暑いな~ぁ!”
<久々の和食;美味しかったなあ!>
■暑さと汗臭さにウンザリ
昨日,放り出したままの荷物を開く.実に雑多なものが乱雑に入っている.トレッキング中に着衣は洗濯をしていたはずなのに,着衣は異臭を放っている.早速洗濯をする.
それにしても,朝からどうも眠くて,だるくて仕方がない.完全な時差ボケである.
でも,まあ,今日の内に,とりあえずのことは片付けなければ…
久々にPCを開く.
不在中にメールが数百通も届いている.もっとも,このうちの少なからずのメールは企業などからのPRである.いちいち開いて読むのも面倒である.ざっと,表題を眺めながら,気になるメールだけを拾い読みしてみる.返事を書かなければならないメールも結構あるが,今日の所は,何とも邪魔くさいので,返信は明日にしよう…何しろ私の座右の銘は
“明日すればいいことは今日はしない…”
だったから…
でも,こんな座右の銘は,決して余所様にお勧めできるものではないことは百も承知である.
■とにかく眠くてだるい
今朝は,6時頃起床した.
7時過ぎに朝食を摂ったが,どうも時差が身体に残っているのかだるくて仕方がない.ここまま起きていないと時差は解消できないとは思いながらも,ついつい居眠りをしてしまう.でも,まあ,ここは逆らわずに居眠りをしながら終日ノタノタと過ごすことにする.
…ま,そんなわけで,今回の旅の記録は,明日から開始することにしようと思う.
…で,今日の所は旅の概要と感想だけをちょっとだけ記述するに留めよう.
<旅の様子を振り返る>
■スリルに満ちたトレッキング5日間
既に予稿でも記したように,トレッキング開始はノルウェー到着後3日目から始まる.
第1日目はイェンデスハイムからメルムブーまでの約13.5キロメートルである.事前に資料などで調べていたので,ある程度の岩稜歩きは覚悟していたが,実際に現地で歩いてみると,まるで中央アルプスの宝剣の規模を大きくしたような急峻な岩稜歩きや,鎖場が何カ所もあるスリル満点のコースだった.その反面,牧場内の牧歌的な風景や,尾根道からの素晴らしい展望を満喫することができた.
第2日目は,当初予定されていた川沿いのコースではなく,現地案内人が推奨する尾根沿いのコースを歩いた.稜線沿いに並ぶ沢山の湖と,残雪の山脈を眺めながら歩く展望絶佳のコースである.正確な歩程はまだ調べていないが,約12キロメートルのコースだった.2日目のコースも,素晴らしい眺望を楽しめる一方で,危険で急な岩場下りがあって,随分と緊張を強いられた.やっとイェンデ湖畔まで降りても,その先は石ころと泥濘の難路が1時間余り続いた.
第3日目は休養日だった.連続2日間にわたるトレッキングの骨休みの日である.ただし,希望者は近くにあるイェンデストゥンカ峰(標高1,510m)まで軽くハイキングするということだったもので,結局は全員が参加した.ところがこのコースは,軽いハイキングなどではなく,途中から本格的な岩登りになる.“こんな筈ではなかった”と思いながら,真剣かつ本気になって岩登りに挑戦する.スリル満点である.下山時にこの岩場どうなることかと思ったが,下山のコースは岩場を避けたノンビリコースだった.
第4日目のコースはイェンデブーからライルバスブーまで,氷河で削られてできたU字谷,ストラー谷沿いの道を辿る.急な登り下りはないが.巨石や礫混じりの道が連続する.決して歩きやすい道ではない.特に大きな石を辿りながらの道はバランスを崩しやすくて怖い.歩程距離は約18.7キロメートル.かなり草臥れた.
第5日目は,ピス谷を通ってスピターストゥレーンまでの約15.7キロメートルの道程.途中緩やかな登り坂を6キロメートル歩いてから,ごく緩やかで長い下り坂が連続する.比較的単調な道である.
こんな毎日を過ごして,参加者全員が無事トレッキングを終える.
<急峻な登り下りもあるトレッキングコース>
<素晴らしい眺望を楽しみながらのトレッキング>
■結構大変なガルホビッケン登頂
5日間のトレッキングを終えた翌日がガルホビッケン登頂日である.
登山口のスピターストゥーレンとの標高差は約1360メートルである.当初,私は地図を見ながら,
“せいぜい(丹沢の)大倉から大倉尾根経由で丹沢山を往復するぐらいだな”
と多寡をくくっていた.
ところがドッコイ! 飛んでもない山である.ガレ場,巨石の上の伝い歩き,岩稜の急坂,いくつかの雪渓の登攀などが連続する.とても,とても丹沢山往復所の話ではない.難行苦行の連続である.とはいえ長さ百メートルほどの雪渓尻制動下りがあるし,スリル満点の徒渉も何回もあるし,長閑な牧場歩きもある.とても変化に富んだ楽しい山行だった.
<ガルホビッケン山頂からの素晴らしい眺望>
■オスロ観光とクルーズ
旅の10日目は終日オスロ観光を楽しんだ.
午前中は,リーダーの案内で,市内観光を楽しんだ.まずはオスロパスを購入する.有効期間は1日.シニア料金は120クローネと格安.
市役所,コンチキ号博物館,フラム号博物館.ユング博物館,王宮の衛兵交替式などを見学した.
私は有志4人と一緒に,ナイトクルーズに参加.船上からオスロの夜景を楽しむ(実際は日が長いので夕景といった感じだが…).夕食はエビをたらふく平らげる.大満足.
<ユンク博物館>
<コンチキ号>
<…で,旅の感想は>
■コースの感想
今回のコースは,アルパインツアー社の難易度表示では靴の印が4個である.まあ,今回のコースは難コースの部類に入ると思われる.それにもかかわらず参加者21人が全員踏破したのは素晴らしいと言えよう.ちなみに参加者21人の内,男性はたった6人だけ.相変わらず女性が多かった.
今回のコースを歩いた感想を列挙すると以下の通りである.
1.毎日がロングコースであり,結構大変である.
2.牧歌的な雰囲気の所も多いが,大きな石伝いに歩くところ,結構長い徒渉,ガレ場,
幾つものクサリ場が連続するところもあり,変化に富んでいる.
3.休養日の3日目のオプション,イェンデストゥンカ峰は難易度の高い岩山である.
4.ガルホビッケン登頂は,クサリ場はないが,累々と重なる石の上を伝ったり,急な岩山,
ガレ場,岩登り.雪渓の登り下りなどがあり,結構大変だった.
<クサリ場を何回も下る>
■宿泊施設
オスロで宿泊したホテルは,勿論,一流ホテルなので.設備,広さなどには全く問題はない.
トレッキング中に宿泊した山小屋はイェンデスハイム,メムルブー,イェンデブー,ライルバスブー,スビダーストゥレーンの5ヶ所である.
何れの山小屋も,日本の山小屋とは,全く比較にならないほど快適であった.
これらの山小屋の快適さに比較すると,日本の山小屋は絶望的になるほど貧弱だと言わざるを得ない.この落差の大きさに愕然とする,富士山の山小屋がこのレベルまで改善されることは不可能に近いのではないかと絶望的になる.
以下がトレッキング中に利用した山小屋の感想である.
1,どの山小屋にもお湯がタップリ出るシャワーがある.
2.トイレは1ヶ所を除き全て水洗で,全く臭気などなく,ちり紙も充分あり流すことができる.
3.私が宿泊した部屋は2人部屋か4人部屋を2人で使用した.2段ベッド,あるいはシン
グルベッドが置かれていて,1人ひとりのスペースが完全に確保されている.
4.どの小屋の乾燥室も広くて機能的である.
5.食事の内容もちょっとしたホテル並みのバイキング方式だった.
5,ホテル,山小屋を問わず,水道の水はそのまま飲める.
6.どこの宿泊施設でも,前日夜にテルモスを出しておけば,行動中に必要なコーヒー,ブ
ラックティーなど数種類の飲み物を無料で提供してくれる.
7.どこの山小屋でも,行動中に出たゴミを捨てることができる.
8.どこの山小屋でも,個人用のシーツ,枕カバー,バスタオル,タオルを貸し出してくれる.
<山小屋の美味しい食事;デザートもある>
■高福祉の陰に高い物価
ノルウェーが高福祉の国であることはおぼろげながら私も知っている.それだけに日本とは比較にならないほど税金も高い国である.
現地通貨はクローネ.円との換算レートは,成田空港の銀行で交換して
1クローネ=18.65円
であった,まあ,ざっと言えば1クローネは約20円と考えればよいだろう.
でも,現地で物品を購入しようとして円に換算してみると,余りの物価高でただただ驚くのみである.ほとんどの場合,買おうと思っても手が引っ込んでしまう.身近な例で言えば,日本で150円ほどで買えるオレンジジュースが35クローネ,つまり約700円という高さである.一寸した軽食でも,すぐに3000円程度になる.とにかく物価が高いの何のって…とてもじゃないが,私などはこの国で暮らしていける自信はない.
とはいえ,一方では学校,医療はタダ,老後は貧富の差なしに平等に施設で余生を送ることができるというので,ベラボーな物価高もうなずける点も多い.要は生き様の違いだろう.
…ま,それにしても一寸した買い物で,ドンドン減っていく手許の通貨にハラハラし通しの旅行だった.
「いちいち円に換算していたら何も買えないよ…円など考えずに買わなければダメだよ」
と同行者の誰かが言っていたが,その通りかも知れない.
帰国後第2日目;2013年9月1日(日) 晴・朝から蒸し暑い
まだ時差が完全に残ったままである.
昨夜は,夜中になっても中々寝付かれないまま,どうなることかと思っていたが,何時の間にか寝てしまったらしく,気がつくと朝8時を過ぎていた.
“そろそろ,シッカリしなければ…”
と自分に“喝”を入れる.
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ということで,プロローグはこのあたりで終わりにしよう.
次回からは,旅の詳細を記録していくことにしよう.
(つづく)
前の記事(プロローグ)
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後の記事
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