<新緑の三ノ塔>
山頂は猛烈な風雨の丹沢:塔ノ岳(今年16回目)
(単独山行)
2010年4月29日(木・昭和の日)
■臨時バスが出た
このところ何かと多忙だったり,天候が思わしくなったりで,10日余り塔ノ岳へ一区ことができなかった.今日の天気予報は余りよくなく,朝の内晴後曇後晴とのことである.でも,“雨さえ降らなければいいや”ということで,急遽出掛けることにした.
5時10分,何時もの時間に家を出る.外気が春らしく生暖かい.スズメが活発に啼いている.季節が進むのは本当に速いもので,曇天ながら,辺りはすっかり春めいている.
早朝まで降り続いた雨のために路面はベットリと濡れているが,辺りはもうすっかり明るくなっている.心地よい朝である.
渋沢発大倉行1番バスに乗車する.不思議なことに,何時も沢山乗車してくる登山客が一人も居ない.“あれ,バスを間違ったかな”と戸惑う.するとバスの運転手が,
「2分前に臨時バスが出たんですよ・・」
と事情を説明する.
やがて韋駄天のTさん,K大Nさん,女性のM田さんなどご常連,山旅スクール7(8?)期のSさんなど顔見知りの方々が乗り込んでくる.臨時バスのお陰で,1番バスの乗客は10数名.座席が空いているのでホッとする.
■歩き出しはユックリと
何しろ10日振りの山行である.私は何時もよりさらに慎重に歩き出しに注意を払う.たまたまバスに乗り合わせたK大Nさんと雑談をしながら,ユックリ,ユックリと登り始める.明け方まで雨が降っていた割には,路面の状態はそう悪くはない.
「この頃,だんだんと体力が落ちてきましてね・・・」
私は柄にもなく(?),ついつい愚痴を言う.
「全くその通りですよ,私も・・」
とK大Nさんが相づちを打つ.
「どうも,年間,(塔ノ岳へ登る所要時間が)2分程度遅くなっているような気がしますよ・・」
これ,本音である.
丹沢ベースを過ぎる辺りから,身体の重さも気にならなくなったので,K大Nさんに,
「そろそろマイペースで登ってみます・・」
と挨拶して,少しピッチを上げて歩き続ける.
観音茶屋を過ぎた頃,先行する数名のグループに追いつく.山旅スクールSさんが所属するミロクの方々である.メンバーの中に塔ノ岳ご常連,茅ヶ崎の外国人の令夫人もいる.一番後ろに居る方が,大きな声で,
「追い越しですよ・・」
とメンバーに声を掛ける.私は恐縮しながら先へ行かせて貰う.追い抜きざま,Sさんに,
「私もその内にミロクに入りたいなと思っていますよ・・」
と軽口を叩く.それを聞いていた先頭の方が,
「是非,是非,お入り下さい・・」
と私を誘う.私,恐縮する.
<ミロクの方々>
■ツツドリの啼き声を聞きながら
観音茶屋付近のトラバース道に差し掛かる.眩しくて透明な朝日が雑木林に輝いている.暑くも寒くもない素晴らしい天気である.
7時44分,見晴山荘を通過する.そして直ぐに急坂に差し掛かる.坂を見上げると,50メートルほど前を,後ろ姿に見覚えのある女性が登っている.ご常連のM田さんである.私は自分のペースを遵守しながら登り続ける.その内に少しずつ,少しずつ,距離が縮まる.
7時58分,一本松を通過する.何時の間にか辺りに霧が立ちこめて,眺望が利かなくなっている.
山麓からツツドリの鳴き声が,濃い霧の中から聞こえてくる.
やがて,駒止茶屋手前の急な階段に差し掛かる.ここでM田さんに追いつく.暫くの間,M田さんと雑談をしながら歩き続ける.
8時12分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから駒止茶屋までの所要時間は1時間05分.やや遅いが,出だしの歩行速度がユックリだったので,まあ,こんなところかと納得する.
やがて,平坦な堀山の尾根に出る.トップギヤー型の歩行をする私は,平坦地だけは全速力で歩きたい.
「平らなところなので先に行かせて貰います・・」
とM田さんに挨拶したあと,先を急ぐ.
上空には雨雲が立ちこめている.富士山は残念ながら雲の中.沿道の豆桜がまだ見頃である.満開の豆桜の間から三ノ塔の稜線が見えている.
<山麓の心地よい新緑>
<晴れていれば富士山が良く見えるのだが・・>
■萱場平
相変わらずツツドリが啼いている.
8時29分,堀山の家を通過する.辺りには人気がない.何時も通りに自分の体調を観察しながら無理のない速度で登り続ける.途中で数名の登山者を追い抜くが,逆に若手の登山者に追い抜かれる.ふと後ろを振り向くと,私から50メートルほど後ろにM田さんが居る.M田さんとの距離は,その後もほぼこのまま.
8時46分,萱場平を通過する.誰も居ない.この時期,萱場平は,何時もぬかるんでいるが,今日の状態はまあまあのようである.前方を見上げると,晴れていれば見える筈の花立山が分厚くて真っ黒な雲に覆われている.
<まだまだ豆桜が見事>
<今日の萱場平>
■花立山荘
駆け足組の若い人に,また追い越される.長い階段が終わって岩稜帯に入る.M田さんは,相変わらず,私より50メートルほど離れたところを登っている.
“後7分坂”の直ぐ手前で,臨時バスに乗っていた韋駄天組のお一人が,
「やあ,やあ,・・」
と声を掛けながら下山してくる.“相変わらずお速いですね”とお返事をしてすれ違う.
やがて“後7分坂”にさしかかる.今日も定刻7分で,この坂を登り切る.9時06分,花立山荘の到着する.登り始めてからの所要時間は1時間59分.たった1分とはいえ2時間を切っている.今日は案外体調は良さそうである.
辺りには誰も居ない.富士山も見えない.シ~ンと静まりかえっている.
<枯れ枝が光る>
■韋駄天組と次々にすれ違う
歩き出しをセーブしたためか,身体は全く疲れていない.調子よく登り続けて,9時13分に花立山(花立場)を通過する.気温が一段と下がったようである.半袖シャツだけだと少々寒い.韋駄天組のご常連が下山してくる.
「山頂は風が強かったですよ・・ワッハッハ・・」
と言いながらすれ違う.そして暫くして,また,
「山頂は風が強かったですよ・・ワッハッハ・・」
という声が聞こえてくる.50メートルほど下でM田さんと挨拶している.
9時17分,金冷シを通過する.最初の長い階段を登っていると,三角髭のTさんが下ってくる.
「やあ,ご苦労さん・・」
と私に挨拶する.1番バスでTさんを見かけなかったので,少々怪訝な顔をしていると,
「今日は臨時バスが出たんですよ・・」
と笑いながらいう.
次いで,塔ノ岳を1日3往復駆けっこするお兄さん(名前同忘れ)とすれ違う.
「おや,速いですね」
と彼が私に言う.
「とんでもない・・・相変わらず,やってますね.もう山頂まで行ってこられたんでしょう?」
「ええ,でもあんまり差がないですよ」
と彼は私を気遣いながら言う.お世辞と分かっていても,“速いですね”と言われれば悪い感じはしない.
霧氷なのか良く分からないが,霧の中で枯れ枝が奇妙に光って見える.綺麗だなと思いながら目をこらして見つめるが霧氷ではなさそうである.良く分からないがとにかく綺麗に見えるので,辺りの写真を撮りまくる.そうこうしている内に,M田さんが私に追いつく.
ここから先,山頂はあと僅か.M田さんと一緒に登り続ける.
9時31分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間24分.まあ,まあという所だろう.
山頂は濃い霧の中.結構寒い.霧の写真を撮っても仕方がないが,まあ,儀式として,その辺りの景色を写真に収めてから,尊仏山荘に向かう.
<韋駄天さんが「ワッハッハ」で下る>
<もう一人の韋駄天組が下る>
<霧の塔ノ岳山頂:この後,直ぐに暴風雨になる>
■尊仏山荘で暴風雨
尊仏山荘の前で,丁度山荘から出てきた韋駄天のTと鉢合わせになる.Tさんと入れ替わるようにして,M田さんと一緒に尊仏山荘に入る.山荘の寒暖計によると,9時35分現在の山頂の気温は+7.6℃.やっぱり温かい.
今日の小屋番はオーナーのHさん他2人体制.さっそく300円也のお茶を所望する.先客は見知らぬ2人連れとご常連お一人.
小屋番のお一人が,私の顔を見ると直ぐに,
「・・ネコは何処へ行っているのかな・・2階かな?」
と気を遣ってくれる.
お茶を飲んでいると,どこからともなくネコが現れる.小屋番は,
「ああ・・来た,来た・・」
と言いながら私の顔を見る.
早速,デジカメを取り出して写真を撮ろうとするが,カメラが思うように動作しない.知らない間に設定が動いてしまったようだ.カメラをいじっている内に,ミー君はどこかへ行ってしまう.
小屋に着いて15分ほど経った頃,観音茶屋付近で追い越したミロクの方々が山頂に到着する.彼らは尊仏山荘には立ち寄らずに,小休止後丹沢山へ向かうようである.
そろそろ下山しようとしたとき,一天俄に搔き曇り,大粒の雨が降り始める.瞬く間に暴風雨のようになる.途端に沢山の登山客が山荘に入ってくる.たちまちの内に山荘は満員になる.とはいえ,大雨の中を下山するのも嫌なので,暫くの間,山荘に居座っている.
<気ままなミャー公:動き回って写真にならない>
■雨の中を下る
10時12分,ほんの少し雨脚が弱くなったのを見計らって,山荘を出発して下山を開始する.雨具を来ているので,歩きにくいが仕方がない.雨飛沫で眼鏡が曇る.安全のために,下りはストックを使う.雨の中をひたすら下り続ける.寒い.
10時35分,花立山荘を通過する.ここまで下ると気温が高くなるので寒くはないが,強い海風がまともに吹き上がってくる.強風に悩まされながら“後7分坂”を慎重に下る.
堀山の家を通過する頃には,雨脚も弱まり随分と温かくなる.今日が休日のためか,高校生ぐらいの学生のグループが次々に登ってくる.
見晴茶屋を過ぎる頃には,日が差し始める.辺りは陽春そのものの風情に変わる.
13時13分,無事,大倉バス停に到着する.
登山中に携帯に着信があったようだ.開いてみると息子からだ.
「展覧会見ました」
の一言だけ.可愛い孫娘が,私の絵と一緒に写っている写真が添付されている.展覧会を見た後,我が家に立ち寄るようである.それならば,道草せずにサッサと家に帰らなければ・・・
<私の絵と孫娘>
※画像はわざと小さくしてある.
■息子一家が来訪
下界は,すっかり陽春.ぽかぽか陽気である.渋沢から電車に乗った途端に眠くなる.小田原で運良く特別快速高崎行の電車に滑り込む.睡魔と戦いながら大船で下車.14時過ぎに帰宅する.私の帰宅と前後して,息子一家が我が家に到着する.
「おじいちゃんの絵,見てきたよ・・大きい絵だね」
孫娘が可愛いことを言う.小さな絵でも,こどもから見たら大きく見えたのだろう.
「今度,○○ちゃん(孫のこと)と一緒に絵を描こうね・・」
私は嬉しくて堪らない.
息子一家と一緒に我が家で夕食.こんな一日もたまには良いなと思いながら就寝.
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:44 見晴茶屋
8:12 駒止茶屋
8:29 堀山の家
9:06 花立山荘
9:17 金冷シ
9:31 塔ノ岳山頂 着
======================================
10:12 塔ノ岳山頂 発(+7.6℃)
10:24 金冷シ
10:35 花立山荘
11:08 堀山の家
11:21 駒止茶屋
11:46 見晴茶屋
11:57 観音茶屋
12:13 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:07
塔ノ岳 着 9:31
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1269m/2.40h=528.8m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:12
大倉 着 12:13
(所要時間) 2時間01分(2.02h)
下降速度 1269m/2.02h=628.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/19039ce0e2e0ce27dacfe914fcd3c137
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/af59530b057e0bd2199469f0921c0b51
山頂は猛烈な風雨の丹沢:塔ノ岳(今年16回目)
(単独山行)
2010年4月29日(木・昭和の日)
■臨時バスが出た
このところ何かと多忙だったり,天候が思わしくなったりで,10日余り塔ノ岳へ一区ことができなかった.今日の天気予報は余りよくなく,朝の内晴後曇後晴とのことである.でも,“雨さえ降らなければいいや”ということで,急遽出掛けることにした.
5時10分,何時もの時間に家を出る.外気が春らしく生暖かい.スズメが活発に啼いている.季節が進むのは本当に速いもので,曇天ながら,辺りはすっかり春めいている.
早朝まで降り続いた雨のために路面はベットリと濡れているが,辺りはもうすっかり明るくなっている.心地よい朝である.
渋沢発大倉行1番バスに乗車する.不思議なことに,何時も沢山乗車してくる登山客が一人も居ない.“あれ,バスを間違ったかな”と戸惑う.するとバスの運転手が,
「2分前に臨時バスが出たんですよ・・」
と事情を説明する.
やがて韋駄天のTさん,K大Nさん,女性のM田さんなどご常連,山旅スクール7(8?)期のSさんなど顔見知りの方々が乗り込んでくる.臨時バスのお陰で,1番バスの乗客は10数名.座席が空いているのでホッとする.
■歩き出しはユックリと
何しろ10日振りの山行である.私は何時もよりさらに慎重に歩き出しに注意を払う.たまたまバスに乗り合わせたK大Nさんと雑談をしながら,ユックリ,ユックリと登り始める.明け方まで雨が降っていた割には,路面の状態はそう悪くはない.
「この頃,だんだんと体力が落ちてきましてね・・・」
私は柄にもなく(?),ついつい愚痴を言う.
「全くその通りですよ,私も・・」
とK大Nさんが相づちを打つ.
「どうも,年間,(塔ノ岳へ登る所要時間が)2分程度遅くなっているような気がしますよ・・」
これ,本音である.
丹沢ベースを過ぎる辺りから,身体の重さも気にならなくなったので,K大Nさんに,
「そろそろマイペースで登ってみます・・」
と挨拶して,少しピッチを上げて歩き続ける.
観音茶屋を過ぎた頃,先行する数名のグループに追いつく.山旅スクールSさんが所属するミロクの方々である.メンバーの中に塔ノ岳ご常連,茅ヶ崎の外国人の令夫人もいる.一番後ろに居る方が,大きな声で,
「追い越しですよ・・」
とメンバーに声を掛ける.私は恐縮しながら先へ行かせて貰う.追い抜きざま,Sさんに,
「私もその内にミロクに入りたいなと思っていますよ・・」
と軽口を叩く.それを聞いていた先頭の方が,
「是非,是非,お入り下さい・・」
と私を誘う.私,恐縮する.
<ミロクの方々>
■ツツドリの啼き声を聞きながら
観音茶屋付近のトラバース道に差し掛かる.眩しくて透明な朝日が雑木林に輝いている.暑くも寒くもない素晴らしい天気である.
7時44分,見晴山荘を通過する.そして直ぐに急坂に差し掛かる.坂を見上げると,50メートルほど前を,後ろ姿に見覚えのある女性が登っている.ご常連のM田さんである.私は自分のペースを遵守しながら登り続ける.その内に少しずつ,少しずつ,距離が縮まる.
7時58分,一本松を通過する.何時の間にか辺りに霧が立ちこめて,眺望が利かなくなっている.
山麓からツツドリの鳴き声が,濃い霧の中から聞こえてくる.
やがて,駒止茶屋手前の急な階段に差し掛かる.ここでM田さんに追いつく.暫くの間,M田さんと雑談をしながら歩き続ける.
8時12分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから駒止茶屋までの所要時間は1時間05分.やや遅いが,出だしの歩行速度がユックリだったので,まあ,こんなところかと納得する.
やがて,平坦な堀山の尾根に出る.トップギヤー型の歩行をする私は,平坦地だけは全速力で歩きたい.
「平らなところなので先に行かせて貰います・・」
とM田さんに挨拶したあと,先を急ぐ.
上空には雨雲が立ちこめている.富士山は残念ながら雲の中.沿道の豆桜がまだ見頃である.満開の豆桜の間から三ノ塔の稜線が見えている.
<山麓の心地よい新緑>
<晴れていれば富士山が良く見えるのだが・・>
■萱場平
相変わらずツツドリが啼いている.
8時29分,堀山の家を通過する.辺りには人気がない.何時も通りに自分の体調を観察しながら無理のない速度で登り続ける.途中で数名の登山者を追い抜くが,逆に若手の登山者に追い抜かれる.ふと後ろを振り向くと,私から50メートルほど後ろにM田さんが居る.M田さんとの距離は,その後もほぼこのまま.
8時46分,萱場平を通過する.誰も居ない.この時期,萱場平は,何時もぬかるんでいるが,今日の状態はまあまあのようである.前方を見上げると,晴れていれば見える筈の花立山が分厚くて真っ黒な雲に覆われている.
<まだまだ豆桜が見事>
<今日の萱場平>
■花立山荘
駆け足組の若い人に,また追い越される.長い階段が終わって岩稜帯に入る.M田さんは,相変わらず,私より50メートルほど離れたところを登っている.
“後7分坂”の直ぐ手前で,臨時バスに乗っていた韋駄天組のお一人が,
「やあ,やあ,・・」
と声を掛けながら下山してくる.“相変わらずお速いですね”とお返事をしてすれ違う.
やがて“後7分坂”にさしかかる.今日も定刻7分で,この坂を登り切る.9時06分,花立山荘の到着する.登り始めてからの所要時間は1時間59分.たった1分とはいえ2時間を切っている.今日は案外体調は良さそうである.
辺りには誰も居ない.富士山も見えない.シ~ンと静まりかえっている.
<枯れ枝が光る>
■韋駄天組と次々にすれ違う
歩き出しをセーブしたためか,身体は全く疲れていない.調子よく登り続けて,9時13分に花立山(花立場)を通過する.気温が一段と下がったようである.半袖シャツだけだと少々寒い.韋駄天組のご常連が下山してくる.
「山頂は風が強かったですよ・・ワッハッハ・・」
と言いながらすれ違う.そして暫くして,また,
「山頂は風が強かったですよ・・ワッハッハ・・」
という声が聞こえてくる.50メートルほど下でM田さんと挨拶している.
9時17分,金冷シを通過する.最初の長い階段を登っていると,三角髭のTさんが下ってくる.
「やあ,ご苦労さん・・」
と私に挨拶する.1番バスでTさんを見かけなかったので,少々怪訝な顔をしていると,
「今日は臨時バスが出たんですよ・・」
と笑いながらいう.
次いで,塔ノ岳を1日3往復駆けっこするお兄さん(名前同忘れ)とすれ違う.
「おや,速いですね」
と彼が私に言う.
「とんでもない・・・相変わらず,やってますね.もう山頂まで行ってこられたんでしょう?」
「ええ,でもあんまり差がないですよ」
と彼は私を気遣いながら言う.お世辞と分かっていても,“速いですね”と言われれば悪い感じはしない.
霧氷なのか良く分からないが,霧の中で枯れ枝が奇妙に光って見える.綺麗だなと思いながら目をこらして見つめるが霧氷ではなさそうである.良く分からないがとにかく綺麗に見えるので,辺りの写真を撮りまくる.そうこうしている内に,M田さんが私に追いつく.
ここから先,山頂はあと僅か.M田さんと一緒に登り続ける.
9時31分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間24分.まあ,まあという所だろう.
山頂は濃い霧の中.結構寒い.霧の写真を撮っても仕方がないが,まあ,儀式として,その辺りの景色を写真に収めてから,尊仏山荘に向かう.
<韋駄天さんが「ワッハッハ」で下る>
<もう一人の韋駄天組が下る>
<霧の塔ノ岳山頂:この後,直ぐに暴風雨になる>
■尊仏山荘で暴風雨
尊仏山荘の前で,丁度山荘から出てきた韋駄天のTと鉢合わせになる.Tさんと入れ替わるようにして,M田さんと一緒に尊仏山荘に入る.山荘の寒暖計によると,9時35分現在の山頂の気温は+7.6℃.やっぱり温かい.
今日の小屋番はオーナーのHさん他2人体制.さっそく300円也のお茶を所望する.先客は見知らぬ2人連れとご常連お一人.
小屋番のお一人が,私の顔を見ると直ぐに,
「・・ネコは何処へ行っているのかな・・2階かな?」
と気を遣ってくれる.
お茶を飲んでいると,どこからともなくネコが現れる.小屋番は,
「ああ・・来た,来た・・」
と言いながら私の顔を見る.
早速,デジカメを取り出して写真を撮ろうとするが,カメラが思うように動作しない.知らない間に設定が動いてしまったようだ.カメラをいじっている内に,ミー君はどこかへ行ってしまう.
小屋に着いて15分ほど経った頃,観音茶屋付近で追い越したミロクの方々が山頂に到着する.彼らは尊仏山荘には立ち寄らずに,小休止後丹沢山へ向かうようである.
そろそろ下山しようとしたとき,一天俄に搔き曇り,大粒の雨が降り始める.瞬く間に暴風雨のようになる.途端に沢山の登山客が山荘に入ってくる.たちまちの内に山荘は満員になる.とはいえ,大雨の中を下山するのも嫌なので,暫くの間,山荘に居座っている.
<気ままなミャー公:動き回って写真にならない>
■雨の中を下る
10時12分,ほんの少し雨脚が弱くなったのを見計らって,山荘を出発して下山を開始する.雨具を来ているので,歩きにくいが仕方がない.雨飛沫で眼鏡が曇る.安全のために,下りはストックを使う.雨の中をひたすら下り続ける.寒い.
10時35分,花立山荘を通過する.ここまで下ると気温が高くなるので寒くはないが,強い海風がまともに吹き上がってくる.強風に悩まされながら“後7分坂”を慎重に下る.
堀山の家を通過する頃には,雨脚も弱まり随分と温かくなる.今日が休日のためか,高校生ぐらいの学生のグループが次々に登ってくる.
見晴茶屋を過ぎる頃には,日が差し始める.辺りは陽春そのものの風情に変わる.
13時13分,無事,大倉バス停に到着する.
登山中に携帯に着信があったようだ.開いてみると息子からだ.
「展覧会見ました」
の一言だけ.可愛い孫娘が,私の絵と一緒に写っている写真が添付されている.展覧会を見た後,我が家に立ち寄るようである.それならば,道草せずにサッサと家に帰らなければ・・・
<私の絵と孫娘>
※画像はわざと小さくしてある.
■息子一家が来訪
下界は,すっかり陽春.ぽかぽか陽気である.渋沢から電車に乗った途端に眠くなる.小田原で運良く特別快速高崎行の電車に滑り込む.睡魔と戦いながら大船で下車.14時過ぎに帰宅する.私の帰宅と前後して,息子一家が我が家に到着する.
「おじいちゃんの絵,見てきたよ・・大きい絵だね」
孫娘が可愛いことを言う.小さな絵でも,こどもから見たら大きく見えたのだろう.
「今度,○○ちゃん(孫のこと)と一緒に絵を描こうね・・」
私は嬉しくて堪らない.
息子一家と一緒に我が家で夕食.こんな一日もたまには良いなと思いながら就寝.
<ラップタイム>
7:07 大倉歩き出し
7:29 観音茶屋
7:44 見晴茶屋
8:12 駒止茶屋
8:29 堀山の家
9:06 花立山荘
9:17 金冷シ
9:31 塔ノ岳山頂 着
======================================
10:12 塔ノ岳山頂 発(+7.6℃)
10:24 金冷シ
10:35 花立山荘
11:08 堀山の家
11:21 駒止茶屋
11:46 見晴茶屋
11:57 観音茶屋
12:13 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間
大倉 発 7:07
塔ノ岳 着 9:31
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1269m/2.40h=528.8m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:12
大倉 着 12:13
(所要時間) 2時間01分(2.02h)
下降速度 1269m/2.02h=628.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/19039ce0e2e0ce27dacfe914fcd3c137
「丹沢の山旅」の次回の記事
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