中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルートバーン(7):クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング(1)

2011年03月20日 10時35分10秒 | ニュージーランド;ルートバーン

                           <クイーンズタウンの繁華街>

      ルートバーン(7):クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング(1)
           (湘南カラビナ隊)
     2005年1月28日(金)~2月6日(日)

第2日目:2005年1月29日(土)

 クイーンズタウンとリマーカブルズトレッキング

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2005年1月30日(日),私たちは,クイーンズタウン公園を散策した後,
   近郊のリマーカブルズトレッキングとアロータウンの見学を行った.その
   後,ギブソンワイナリーでワインの試飲を行った.夕方,ボブスヒルの山
   頂で,マオリショーを見物してから,スカイレストランで夕食を楽しんだ.
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<クイーンズタウン近郊地図>


     ※2枚の地図を重ねている.プリント拡大すると綺麗に見える.


<クイーンズタウン市街地図> 

 

6.残照のクイーンズタウン

■ノボテルホテル到着
 私たち一行は,リムジンバスで,今夜の宿泊地であるクイーンズタウン市内のノボテル(Novotel Hotel)へ向かっている.途中,小高い丘の上からワカティブ湖の景観を楽しみ,坂を下って,15時25分に無事ホテルに到着する.
 ちなみにここの標高は325メートルである.どこで宿泊したか定かではないが,私はこれまで外国を旅行したときに,数回,ノボテルチェーンのホテルにお世話になったことがある.
 そういえば,2年前にミルフォードサウンドを訪れたときも,このノボテルホテルに宿泊していた.ロビーは白いパイプを組み合わせたような構造になっている.高い天井と明るい雰囲気が印象的である.
  15時40分,ホテルのロビーの隅っこに集まるように,Sさんが私たちに指示する.Sさんから,今後のスケジュール,夕食,朝食の時間,モーニングコールのこと,部屋割り,明日のトレッキングのための携行品,部屋のバーの使い方,洗濯機の利用法などなど,細々とした説明がある.まるで子供に聞かせるように,懇切丁寧な説明である.私はSさんの説明を聞きながら,
 「パックツアーは本当に楽だな~ぁ・・」
と実感している.
 私こと山欠菌はフクロウと同室である.1階の124号室である.ワカティブ湖に面した条件の良い部屋である.部屋から直接外のテラスへ出ることができる.テラスの先には,湖まで木陰が涼しげな芝生が敷き詰められている.芝生では上半身裸の人たちが日光浴を楽しんでいる.部屋には大きなダブルベッドが2台並んでいる.外に面してテーブルと安楽椅子2脚,テレビ,バストイレ,バーなどの設備が一通り揃っている.広々としていて,気持ちのよい部屋である.
  17時丁度に,私はフクロウを誘って,テラスから芝生へ出てみる.いきなり,
 「山欠菌さぁ~ん・・・」
と呼ぶ黄色い声が聞こえる.私たちの部屋のちょうど真上の部屋を割り当てられたノシイカさんとスケルトンさんが,こちらを見ながら手を振っている.


■ダウンタウン散策
 これから,全員ロビーに集合し,歩いて5分ほどのところにあるインフォーメーションセンターへ行く予定である.ここで,明後日から始まるルートバーントラックの説明会がある.
 17時10分,集合時間5分前に,フクロウと私はロビーへ行く.私たちと前後して私たち一行の全員が集まる.皆,なかなか時間厳守なので宜しい.だが,東京組2人と関西組が集合時間に遅刻する.何といっても集団行動で時間厳守しないのは困ったものである.何となく不吉な予感がよぎる.
 Sさんが,全員に今夜の夕食の希望メニューを聞き回る.夕食はこのホテルの2階にあるレストランで摂ることになっている.ただ,レストランが混雑するので,各自お好みのメニューを決めて,あらかじめレストランに注文しておくのだそうである.
 まず前菜.スモークチキン,シーザーサラダパルメサン風,マッシュルームの何とか,トマトスープの4種類から選ぶ.私は何のことかさっぱり分からないシーザーサラダパルメサン風というのを選ぶ.
 次ぎにメインディッシュ.ビーフサーロイン,チキンの腿肉,サーモン,ベジタブルの4種類の中から,私はビーフサーロインを選ぶ.
 最後にデザートである.パブロバ,ホットチョコレート,フルーツゼリー,アイスクリームシャーベットの4種類.田舎者の私にはパブロバなんて,どんなものか想像もつかない.訳が分からないまま,暑いからアイスクリームという単純な発想で,アイスクリームシャーベットを選ぶ.
 Sさんは,みんなの勝手な注文を,上手に表に纏める.そして,
 「しばらくこのまま待っていてください」
と言い残して,どこかへ小走りで行ってしまう.
  17時22分,Sさんが私たちの所へ戻る.そのまま出発する.夕方17時を過ぎているのに,街は昼間のように明るい.湖畔からさわやかな風が凪がれてくる.沢山の観光客が,思い思いの服装で,軽やかに散策している.美しい町並みに青々とした並木,湖の向こうには明日ハイキングするリマーカブルズ山脈が聳えている.
 私たちのホテルは湖畔にある.ここから山側に歩く.深い森林に被われた急傾斜の山の山頂に大きな建物が見える.この建物に向かって,ケーブルカーが一直線に登っている.明日は,あの大きな建物の中にあるレストランで夕食を摂るそうである.

<ホテルからベンローモンド山を望む>

■事前説明会会場へ
  17時32分,交差点を左折するとすぐにインフォーメーションセンターの建物の前に到着する.入口から建物の中に入る.1階のセンターの売店をそのまま通り抜けて,建物の裏手側に出る.そこに小さな事務所がある.私たちはこの事務所を通り抜けて,奥の会議室に通される.


 間もなく,元気な日本人女性が現れる.現地旅行会社の方らしい.
 「みなさま,今日は・・・」
と型どおりの挨拶の後,ルートバーントラックの全行程を簡潔に纏めたスライドを見せていただく.素晴らしい風景が次から次ぎに登場する.トレッカーの写真も出てくる.ちょっと見ると,北アルプス黒部の下の廊下を思わせるヘツリ道も映っている.私は内心,
 「こんな所,大丈夫かな.いや,でも,一般向けのトレッキングコースだから,大したことはないだろう」
不安と楽観が入り交じる.
  17時40分,ルートバーンの説明書と地図をいただく.この地図は,ミルフォードトラックで戴いた地図と同じように,ラミネートされた蛇腹折で,6枚綴りの携帯用である.閉じるとA4の用紙を縦に半分にした大きさになっている.表側にはルートバーントラックとグランドトラバースの全行程の地図が印刷されている.裏側には要所,要所の説明が日本語で書いてある.なかなかの優れものである.
■事前説明会
 17時45分,いよいよ説明会が始まる.
 ルートバーン初日の集合場所と時間,持ち物のチェックなど,マネキンを使いながら,懇切丁寧に行われる.ついで防水用の大きなポリ袋が配られる.日本でザックの内側に何時も使うポリエチレンのゴミ袋に比較すると,厚手でしっかりしている.他のものは要らないが,このポリ袋は,何枚か買って帰りたいと思う.
 「ザック,レインコート,シーツが必要です.ザックとレインコートはレンタルします.シーツと枕カバーはロッジの2段ベッドで使います.最終日に返却してください.」
 私はシーツだけ借用する.もちろん無料.
 説明会は30分足らずで終わる.私たちは,説明会場に隣接した売店を覗く.ここで,サンドフライ用防虫剤,日焼け止めクリーム,そして,日よけのツバのついた帽子と,胸元に「Guided Work」の刺繍がしてあるフリースのチョッキを購入する.
 18時19分,私たちは連れたって,ダウンタウンを散策しながら,ホテルへ引き上げる.途中,スーパーマーケットに立ち寄る.一同,お菓子や果物など,適宜,買い物をする.このスーパーでは2リットルの水が1ドル50セントで売っている.空港では500ミリリットルが2ドルだった.あれは一体何だったのだろうか.
 スーパーマーケットを出た私たちは,そのまま目抜き通りを下り,湖畔に出る.相変わらず観光客で賑わっている.少し暑いが,湖畔から心地よいそよ風が吹いてくる.

■初めての夕食
 19時25分,再びホテルのロビーに集合する.また東京組2人が少し遅刻する.19時31分,1分遅れで全員集合.そのままホテル2階のレストランへ行く.
 私たちの席は,階段を登って,ななめ右に行ったところである.1列に長い机に向かい合って座るように配置されている.
 最初に,香ばしいパンが配られる.バターが添えられている.ついで,飲み物である.私をはじめ多数の方が地ビール(SPEIGHT’s Gold Medal Ale)を注文する.強い胃袋を持つ仁王様は,まず赤ワインをオーダーする.一同,乾杯する.地ビールは黒い色をしている.とても口当たりがよい.仁王様は,続いて白ワインを所望する.とにかく仁王様の胃袋は凄い.
 私の前菜はシーザサラダである.大きな皿に青い葉っぱ(食べ物おんちの私には,この葉っぱが何だか分からない)が山盛り,その上にカリカリ歯ごたえのあるものがトッピングされている.少々塩辛いものが入っている.なかなか美味である.
 斜向かいの席では,消防署長が,ビールをグイと飲み干している.その隣のスケルトンさんは白ワインを注いだワイングラスをテーブルに置いたまま,楚々と前菜を賞味している.その横で東京組が山登りの蘊蓄を披露しているらしい.
 次いでメインディッシュである.大きな皿の上に,まず四角く切ったパンを置き,その上にゲンコツほどの大きさのサーロインステーキ,さらにその上に輪切りにしたタマネギが乗っている.
 「でかいな~ぁ・・」
とため息が出る.でも食べてみると,柔らかな赤肉で,脂気がないので,すんなりと胃袋に収まる.

<前菜とビール>


<メインディッシュ>

 最後にデザートである.大きな皿に黄色,桃色のアイスクリーム,それに赤いシャーベットが三角形に並べられている.大変な量である.日本流に考えれば3人前の量は十分ある.これも平らげてしまった.


■夕暮れの湖畔
  21時30分に漸く夕食が終わる.まだ,外は明るい.このまま寝てしまうのはもったいない.フクロウ,バーダー,仁王様と連れたって,ホテル近くの湖畔に出てみる.夕暮れの湖面に沈む夕日を眺める人たちがシルエットになって見える.対岸の遠くに見える山々の残雪が夕日に染まって紅に光っている.湖面で紅色の残照が幾重にも揺らいでいるのが見える.
 私たちは暫くの間,美しい光景に見入っている.湖の向こうに夕日がゆっくりと沈む.すばらしい夕焼けである.明日のお天気も上々に違いない.黄金色に光る湖面に数羽の鴨がゆらゆらとシルエットになって浮かんでいる.子供達が水浴びをしている.私たちは,湖畔に座り込んで,沈み行く夕日をじっと眺める.涼しい風が湖面に吹き渡る.


■南十字星
 21時50分,夕闇が迫る頃,私たちは部屋に戻る.そして,明日のリマーカブルズ山脈トレッキングに備えて荷物の整理をする.心なしか,持ち物が増えてしまったような気がする.
 22時30分頃,テラスから中庭に出てみる.南十字星(The Southern Cross)(注1)が見たい.
 2年前にミルフォードトラックを回ったときにも,深夜に南十字星を見た筈である.ただ,帰国後,いろいろな方の話を伺う内に,私が見たと思った南十字星は,どうやら贋南十字星らしいことに気がついた.あのとき,きらきらと光り輝く4個の星を勝手に南十字星だと思いこんでいたようである.
 中庭にはSさん,ノシイカ,それにフクロウと私が集まる.他の人たちは,早々と寝てしまったらしい.
 Sさんの説明で,やっと南十字星の位置が分かる.天空に輝く南十字星の内,3個の星はすぐ分かるが,斜め上の星は暗くて分かりづらい.さらに,十字の交点から下に少し外れたところにある星はもっと暗いので,目の悪い私には,何とかやっとあるのが分かる程度の星である.
 2年前に,南十字星だと思っていた星は,やはり別物である.今回,本物の南十字星が確認できたのは望外の幸いである.
 

■漸く就寝
 22時50分,私は満ち足りた気持ちになって,部屋に戻る.夕食でコーヒーを何杯もお代わりしたためか,なかなか寝付かれない.
 こうして,ニュージーランド訪問の初日は終わった.

(注)
1.南十字星は南天の天の川の中に位置している.三個の一等星と一個の三等
 星が十字形を描いている.南十字星の写真は次のサイトで見ることができる. 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%BF%E3%81%98%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%98%E5%BA%A7

                                   (つづく)

「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/31e5415814bff6d52bd6706fee1f9b53
「ルートバーン」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/632d7f1862e41ae322abadc2a635a8b8


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[編集後記]

2011年3月18日(金)

 昨日,ほんちょっと長めに歩き回ったので,今日の体調はとても良い.
 午後から,ヤボ用があるので,山を下って大船まで速歩で歩く.駅ビルにあるルミネは平常通り営業している.一見,何時もと変わらないように見えるが,パン屋の前だけ異常なほど沢山の人たちが行列を作っている.計画停電に備えて,すぐに食べられる食パンの需要が高まっているとのことである.
 駅のコンコースから駅を眺めると,先日,同じ場所から見たときと違って,今日は駅側が暗くてルミネ側がとても明るく感じる.
 駅の掲示板で,列車の運行状況を確かめる.2~3日前に比較すると,JRの列車の運行状況は大分落ち着いてきたようである.ただ,小田急線の秦野と新松田間の列車の運行はかなり不安定なようである,丹沢の塔ノ岳に登るには,秦野と新松田の間にある渋沢駅で乗降しなければならない.まだまだ塔ノ岳へ安心して出掛けられる状況ではなさそうである.
 福島原発では自衛隊と警視庁による放水作戦が始まったようである.
 何の特技も取り得もない私は,何か被災地に貢献したくても,何もできない.せいぜい暖房を我慢したり,早朝4時に起きるのを,5時半まで遅らせて,暖房や照明に使う電力を削減するぐらいである.
 今日も相変わらず余震が続いている.
 一方,リビア情勢も気がかり.随分ときな臭くなり始めた.戦争は実に馬鹿馬鹿しい.石油はどうなることやら.

2011年3月19日(土)

 ヤボ用で,山を下って,大船まで出掛ける.昨日の寒い1日とと一転して,今日は春らしい暖かさである.
 途中,鎌倉中央公園を抜けた.広場では,沢山の幼児達が遊び戯れている.可愛い,久々に公園が賑わっている.なんだかホッとする.
 駅に向かう途中,ガクブチ屋の前に「大売り出し」と書いた赤色の幟旗が立っている.釣られるようにしてお店に入る.店に陳列されている額縁や画材を見ているうちに,買いたくなってくる.これはまずいなと思って,すぐに店を出る.
 大船駅で列車の運行状況を調べる.総じて言えば,大分正常に近付いている.この分だと,来週辺りは,通勤客に余り迷惑を掛けずに塔ノ岳へ行けそうである.
 鎌倉美術家協会から手紙が届く.今年の公募展の報せである.入線するかしないかは別として,この公募展を目指して,現在仕掛かり中の水彩画を仕上げようと,決心する.すると身体の中から「やるぞ!」という気持ちが湧いてくるから不思議である.
 “人間,幾つになっても,何か目標がなければ・・・”
と,少し気取った台詞が頭の中を過ぎる.

                              (ぼやきおわり)



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