<ツールドモンブランの下絵;描き始めて1時間のところ>
閑話休題:さび付いた頭をどうしよう?
<<某学会に参加して>>
2011年9月10日(土) 晴・蒸し暑い一日
このような内容の文章は,山旅を主体とする当ブログには馴染まな
いことは,百も承知ですが,代替となるブログまたはホームページ
をを立ち上げるまで,同居させることにします.
いずれ,山旅とは違うブログまたはホームページを立ち上げたいと
思っています(仲間だけに公開するものなる予定です).
さて,本来のブログ,つまり日記に戻ろう.
この頃,頭の中の時計が,少し遅い方にずれてしまい,自然に目覚める時間が20分ほど遅くなっている.それで,今日は4時20分頃になって,やっとノコノコと起き出す.もう10日あまりで春分の日である.この頃になると,日の出の時刻がつるべ落としのように,日に日に目立って遅くなる.つい数週間前までは,もうすっかり明るくなっている時間なのに,まだ外は真っ暗である.
実は,ここ数日,迷いに迷っていることがある.それが,今日報告することを約束している某学会の研究会のことである.
この研究会と私のお付き合いは,実のところ,かれこれ10数年前から続いている.今でこそ,ぼんくら頭を首の上に乗せて,天気さえ良ければ丹沢や鎌倉の山野を放浪歩きしているが,この研究会の主査をしていた頃は,必ず1ヶ月に1回は研究会を開催していたし,毎回必ず3人の研究者または実務家に報告をお願いしていた.今考えると,よくもまあ,毎回種切れにならずに続いたものだと,我ながら感心する.
多分,こんなに続けられたのも,生来の私の“凝り性”がなせる業だなと自己分析している.
さて,そこで・・・
私は,今から数年前に,某所を退職してフリーになった.途端に頭の中の振り子が大きく揺れて.興味の対象が山歩きに変わってしまった.そして,さらには2年前から水彩画にもこり出してしまった.
そうなると,あれほど熱を上げていた研究会も,すっかり熱が冷めてしまい,暫くの間,全く学会とは疎遠になっていた.
人誰しも,ウナギやシャケと同じ遺伝子があって(私のホラで,手鱈目な話ですよ!),加齢とともに故郷には帰りたくなるし,昔のことがやけに懐かしくなる.そんなこともあって,ここ何回かは,この研究会に顔を出すようになった.
話が妙な方向に変わるが,私はアルコールが殆ど飲めない.ただお酒やブールが不味いとは思わない.ほんの一口の酒,コップ半分ぐらいのビールは,さすがの私も美味しいなと思う.
さて,前回の研究会のことである.
会費が安い所で懇親会を行うとのことなので,年金暮らしでドケチな私も,
「それでは参加しましょう・・・」
ということで,珍しく参加した.
そして,美味しいビールをコップ半杯を頂戴した.
それがいけなかった.
すっかり,気が大きくなった私は,幹事役のM松さんの薦めに載って,
「・・・良いでしょう,“絆”と情報技術について,何か発表しましょう・・・」
と,いとも簡単に安請け合いをしてしまった.
酔いも覚めて冷静になって青ざめた!
私の心の中に巣喰っているもう一人の私が,盛んに私を責め立てる.
「お前さん~よ!・・・良い年をして,今更,若手の方々が主体の研究会で何をしようと言うんだい・・・年寄りは引っ込んでいるのが1番なんだよ.それに,最近の情報技術になんか,全く分からないし,使いこなせないんだろう・・・」
「う~ん・・実はそうなんだよ・・・フェースシートも億劫だし,ツイッターもどうも気乗りがしないしな・・・・」
「だから言わんこっちゃqない・・・あんたは山の中でも彷徨き廻っているのがピッタリなんだよ・・・で,どうする積もりなんだ!・・・」
「困ったな,でも,いまさらお断りするわけにもいかないし・・・まあ,やるしかないだろう・・」
どうやら,私の頭の中で,ウナギやシャケと同じ遺伝子が,蠢動し始めたようである.
そろそろ,発表が気になり始めた頃,私は大学ノートを1冊,何時も小脇に抱えて出歩くことした.そして,山を歩いているとき,コーヒーを賞味しているとき,さらには海外の山へトレッキングに出掛けたとき,どんなときでも,この1冊の大学ノートを肌身は出さず持ち歩いた.そして,少しでも気がついたこと,閃いたことを,1.5mmφの太いボールペンを使って,ノートに書きなぐった.飽きてくると,目の前のコーヒーカップをスケッチして,脳を休ませる.
<1冊の大学ノートと当日の報告内容>
まあ,こんな馬鹿なことでも続けていると,何となく,何かが見えてくる・・・が,数年間お休みしていた私の脳みそは,すっかりカビが生えてしまい,回路はさび付いて,ところどころが断線したり,ショートしたりしているらしく,なかなか考えが収斂しない.
イライラする.
そんなときは丹沢の塔ノ岳に出掛ける.そして,運が良ければ塔ノ岳山頂の尊仏山荘に巣喰っている雄ネコ,ミー君にお相手して貰う.
余談だが,このネコ,もう11歳,人間の年に換算すれば、多分,私と同い年ぐらいだろう.“同猫(ドウビョウと読む)相哀れむ”で,おっとりとした猫の背中を撫でていると,とても心が癒される.
<私はメモ魔かな?>
“がんばるぞ・・!”
とその気になって帰宅して,PowerPointを開くのだが,どうも仕事に取り付けない.
そんなときは,どうした訳か,急を要しない水彩画の下絵を書くのに専念してしまう.
その内に,イライラ感が段々と高まってくる.そして,ついに,PowerPointに何かを打ち込み始める.
こうなると,しめたものである.たちまちの内に,20枚程度の粗原稿が出来上がる.こんなときの気分は最高である.私は,仕上がったばかりの粗原稿を,繰り返し,繰り返し眺めて,悦に入っている.
その内に,飽きてくる.そして,また,水彩画の下絵を描き始める.
こうして,現在,二枚の下絵が同時進行中である.1枚は,今年7月に一回りしたツールドモンブランのスケッチから,もう1枚は,8月に訪れた北アルプス燕岳・常念岳縦走のときのスケッチから.いずれも20号の大きさの水彩画に仕上げるつもりである.
実は,今,仮に額にいれてある北アルプスの下絵が先に書き始めたものだが,描いている内に,どうもこの絵には「へそ」がないような気がしてきて中止.今はツールドモンブランで描いた尖鋒の絵に力を注いでいる.
<どうも気に入らない下絵;ゴミが一緒に撮れてしまい,ちょっと変に写っちゃったが・・>
こうして山や絵と試行錯誤を繰り返しているうちに,自分でもどうも納得したような納得しないような報告内容が出来上がる.もう期日もあまりないこともあって,私は,
『××・・×に関する一考察』
というテーマ,つまり「一考察」なので,明確な結論はない.
・・・が,私の報告を聞いて頂いた若手の研究者に,些細なことでも良いから,今後の研究に役立てて貰いたいなと思いながら,原稿を学会幹事にお送りした.
さび付いた頭でも,使えば,少しはさびが取れるかもしれない.
自己評価では,どうもヘンテコ曖昧な報告しかできなかったが,「考える」ことの楽しさを再認識する切っ掛けになったのは望外の幸いであった.
“温故知新”
私は頭の回転や新しい技術については,若手には到底及ばないが,昭和30年代後半からコンピュータに携わってきたという歴史みたいなものが身体に染みついている.これが体内にあるウナギやシャケと同じ遺伝子が蠢き出す切っ掛けを与えている.
「そうだ・・!」
自分が体験した諸々は若い方々にはないものだ.これを,後進に伝えない間は,死ぬに死ねないぞ・・・こんな熱い思いが込み上げてくる.三日坊主かも知れないが・・・
当日(9月10日)の会場は,逗子市にある某有名中高学校のピカピカ施設.随分と沢山の方々にお集まり頂き盛況だった.
※写真はプライバシィ保護のために画素数を落としてある.
なお,写真に写っている報告者は私ではない.
[懇親会で私が紹介した本]
序でながら,私がお気に入りの参考文献;
懇親会の折,雑談で,お伝えしたが,半分,酩酊していたので,間違っていたかも知れないので,もう一度,ここで紹介しておきます(いずれも古典).
これらの本は,いずれも,皆さんが読ん感銘を受けると信じております.
Bertalanffy,L.(1988),General System Theory; Foundation, Development, Application, George Brasiller,(長野敬他(訳),(1973),『一般システム理論;その基礎・発展・応用』みすず書房)
※この本で述べられている「システムの階序」,「総和的システムと構成的システム」に
ついて,紹介しました.システム思考の原点がこの本にあると感じています
Bignel,V.& Fortune,J.(1985),Understanding Systems Failure, The Open University(寺元義也他(訳),(1985),『失敗のシステム』東洋経済新聞社).
※情報システムは,送り手,受け手,チャンネル,情報の4種類の構成要素から成り
立っていて,それぞれがどのようでなければならないかが明快に記述されていると
紹介しました.
Lipnak,J. & Stamps, J, (1982), Networking, Ron Bernstein Ajency(正村公宏(監);社会開発統計研究所(訳),1984,『ネットワーキング』プレジデント社
※ネットワークは「余り上手に編んでない漁網のようなもの」と言っているのが印象的
と紹介しました.絆は,リプナックの言う“ネットワーキング”とほぼ同じ概念だなと
思っています.
中村陽吉,(1964),『集団の心理』大日本図書
※リーダシップには,試みられたリーダシップ,成功したリーダシップ,効果的なリー
ダシップがあり,リーダシップの源泉には,賞基本勢力,罰基本勢力,当然の権利
基本勢力,専門家勢力,同一視勢力の5種類があると記述されていることを紹介し
ました.
市井三郎,(1963),『哲学的分析』岩波書店
※坂本龍馬の偉大さは,来るべき未来のあるべき姿を明確にイメージしていた,それ
を実現するための具体的な手順を想定していた(仮言的法則性),相対立する勢
力にあるべき姿を実現するための具体的な役割を想定していたの3点にあるという
分析結果を紹介した.
プロジェクトリーダーのあるべき姿が見えてくるような気がします.
(おわり)
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