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<暗雲>
夜の風を切り馬で駆けて行くのは誰だ?
それは父親と子供
父親は子供を胸にかかえ
しっかりと抱いて温めている
「息子よ、何を恐れて顔を隠す?」
「お父さんには魔王が見えないの?
王冠とシッポをもった魔王が」
「息子よ、あれはただの霧だよ」
魔王:「可愛い坊や、私と一緒においで
楽しく遊ぼう、キレイな花も咲いて、
黄金の衣装もたくさんある」
「お父さん、お父さん!魔王のささやきが
聞こえないの?」
「落ち着くんだ坊や、枯葉が風で揺れているだけだよ」
魔王:「素敵な少年よ、私と一緒においで
私の娘が君の面倒を見よう、
歌や踊りも披露させよう」
「お父さん、お父さん!
あれが見えないの?
暗がりにいる魔王の娘たちが!」
「息子よ、確かに見えるよ
あれは灰色の古い柳だ」
魔王:「お前が大好きだ。可愛いその姿が。
いやがるのなら、力ずくで連れて行くぞ」
「お父さん、お父さん!
魔王が僕をつかんでくるくるよ!
魔王が僕を苦しめる!」
父親は恐ろしくなり、馬を急がせた
苦しむ息子を腕に抱いて
疲労困憊で辿り着いた時には
胸の中の息子は息絶えていた
「魔王」
詩:ゲーテ
曲:シューベルト
コロナ新規感染者の第5波が来て
大阪は緊急事態宣言のため外出も
ままならず、さらに連日続く豪雨と土砂災害。
この鬱陶しい時期にフト若い時に読んだ
ゲーテの詩を思い出した。