ご本尊は写真撮影禁止なので「古寺巡礼 和辻哲郎」よりの転写です
梅雨にの中、若いころに読んだ和辻哲郎の「古寺巡礼」に憧れて薬師寺に行ってきた。
薬師如来の前に座って,その穏やかなおかを拝顔した。自分には表現できないので
古寺巡礼の文中から一部引用する。
「この本尊の雄大で豊麗な、柔らかさと強さとの抱擁し合った、圓満そのもののやうな美しい姿は、
自分の眼で見て感ずるほかに、何とも云いあらわしやうのないものである。
胸の前に開いた右手の指の、とろつとした柔らかな光だけでも、われわれの心を動かすに十分であるが、
あの豊麗な體躯は、蒼空の如く清らかに深い胸といひ、力強い肩から胸と腕を伝わつて下腹部に流れる
微妙な柔らかな衣といひ、この上體を静寂な調和のうちに安置する大らかな結伽の形といひ、
すべての面と線とから漲々としてつきない美の泉を湧き出させてゐるやうに思われる。
それはわれわれがギリシャ彫刻を見て感ずるあの人體の美しさではない。
(中略)
こゝには彼岸の願望を反映する超絶的な或者が人の姿をかりて現れてゐるのである。」
山門
本殿と東塔
甍
休憩所から本殿を望む
薬師寺改修工事の瓦に「安」の字と名前を書いて寄贈してきた
薬師如来の台座の一部