佛暦2562年 7月23日
深夜未明。
国道2号線を疾駆する各種トラック達に紛れながら、尾道市歌港フェリー乗り場付近の砂浜に無事到着。
やがて日の出と共に鳥達が舞い、潮のうねりが力を増し、白く泡立つ波枕が水面に漂うクラゲくんを砂浜に押し上げていました。
みんな おはよ。
これから行くのは、かつて瀬戸内海最強の「村上水軍」が勇壮な海のロマンを繰り広げた芸予諸島の島々を縫う、46.6kmの有料道路です。
国土交通省が整備した生口島道路(6.5km)及び大島道路(6.3km)と直結した全長59.4kmの自動車専用道路は「瀬戸内しまなみ海道」の愛称で親しまれています。
新尾道大橋以外の各橋には尾道から今治に至る原動機付自転車・歩行者専用の道路も併設され、本州と四国を結ぶ連絡道路としての役割はもちろん、島々に住む人々にとっての生活道路としても大きな役割を果たしています。
(JB本四高速 - 本州四国連絡高速道路株式会社 - © 2005 Honshu-Shikoku Bridge Expressway Company Limited. より抜粋)
──ということで、この日はしまなみ海道の原付バイク、自転車専用道路と島の海岸沿いをPCXでひた走って参りました。
この原付、自転車専用道路とは基本的に各橋の袂に専用の出入り口が設けられているのですが、下調べやナビ、案内板等をよく確認しながら行かないと、存外簡単に迷子になる(いや、なったw)ので要注意です。
ともあれ最初は何事もなく専用道路、因島大橋の入り口に到達。
狭い。実に狭い入り口です。あまりの狭さになんだか楽しくなって参ります。では、いざ、突入。
(↑この画像は帰り道に撮った画像です)
狭く曲がりくねったワインディングを、強い木洩れ日の中、トコトコと駆け上がり、ふと木立が途切れたかと思えば眼前にパノラマが広がっていて……と、最初の登坂では写真を撮ることなどすっかり忘れ、夢中になって走っていました。
そして料金所に到達。
んん?……お賽銭箱? ではなくて、れっきとした料金箱に用意済みの五十円玉を投下。そして……
早朝からSF的な滑走路にも見える専用道路を、ほぼ貸し切り状態にてノンビリと通過。
ここから昼過ぎまでを目安に島巡りと洒落込みます。
生口大橋に乗り入れる専用道路に進入すると。
先日の西日本豪雨の影響で路面が砂まみれと化しているポイントがチラホラと、そして!
派手に土砂崩れを起こしているポイントもありました。
幸い迂回路が生きていた為、通行に支障は無いものの、やはり少々ゾッとしながら次の大橋へ。
いわゆる、しまなみ海道から少し外れた連絡橋となる高根橋に進入すると。
目視でおよそ幅1メートルに満たないような、縁石にも似た歩道を、チビッコ達が真っ直ぐに一列縦隊を維持しながら渡っています。
私も思わずPCXから降りて「こっから落ちたら死ぬゾー!」とか言いながら一緒に歩いてみたくなったのです、が。
だがしかし、私がそれをやっちゃあ、通報待ったナシの不審者っぽくなることは十分自覚しておりますので、ここは素直に諦めましたw。
ちょっと休憩に立ち寄ったサービスエリアっぽい施設は、まだ開店していない模様ですが。
生け簀のお魚さん達を眺めつつ自販機のお茶で喉を潤します。
何にしようかな。と、選んでいると……やけにお高い数字が目につきました。
さすがに原付バイクや自転車の聖地を謳うだけあって、まさかの交換用チューブが自販機に並んでいるとは、恐れ入ります。
というワケでこの仮称サービスエリアっぽい施設で小一時間の休憩を挟んだのですが、ここで今回のツーリングで役立ったいくつかのグッズを紹介したいと思います。
先ずはコレ。
ブレーキレバーの簡易ストッパーですね。
一部の車種を除き、普通のバイクやスクーターにはパーキングやバックのギアはついていません。
なのでちょっとした坂道等である程度の時間、停車しなければいけない場面でコイツがかなり役立ってくれました。
特に走っている最中に「(一枚撮りたい!)」というような場所が坂だった場合等で、かなりの手間を省いてくれました。
また、信号待ちで照りつける太陽光線にジリジリと炙られながら「(の、の、飲み物を……)」という局面は幾度もあって、そのたびにこのストッパーくんが何度となく役立ってくれました。
停車中、両手がフリーになる素晴らしさを改めて認識させてくれた一品ですね。
そしてもう一品。
私のスマホとスマホホルダーに貼り付けた黒いテープなのですが、これは沖電線社製の放射性放熱板シートになります。
中には銅箔が仕込まれている為、電子機器の放熱性が高まる事は確実そうには思えたのですけれど、やはり各種通信を阻害しないかといった不安を抱えつつ「イエアァァァァーッ!」と、気合いでポチった一品となります。
んで、「イエアァァァァーッ!」と使用してみた結果ですが、何ら通信を阻害する様子もなく(あくまでも私のスマホの場合は、です)、今回およそ8時間の走行中に熱暴走、オーバーヒート、シャットダウンする様子はありませんでした。
とは言え、今回はほぼ8時間もの間、常に充電をしながらGPSとナビを起動させっぱなしという過酷な使用状態だったので、時折スマホの異常な加熱を知らせるアラートはどうしても出るのですが、そんな時は(道が空いていれば、ですけれど)ある程度スピードを上げて2、3分も走れば、走行風が端末を効率的に冷却しているようでして、アラートもすぐに解除されていました。
正確な検温などはしていませんけれど、このシートを貼る以前とは明らかに放熱効果は高まっている模様ですね。
ともあれ今回この二品にはずいぶんと助けられました。
まあこんな感じで因島大橋、生口大橋、高根橋、多田羅大橋と、4つの橋を走破したあたりで予定の時間となりました。
ここで島巡りは一旦終了して、先日の西日本豪雨で大変な被害を被った倉敷界隈へとPCXを走らせます。
(あまりにも凄惨な光景にはレンズを向ける事を差し控えています)
異臭の立ち込める真っ白な世界。
数十キロメートルに渡って鉄道沿いに積み上げられていた廃材の壁。
数キロメートル置きに未だ復旧していない交差点の信号。
田畑にひっくり返っている車。
数メートルの高さにまで浸水したことを伺わせる家屋の壁についたシミ。
こうした被災後の世界でもたくさんの人々が、カンカンと照りつける太陽にも負けず、時々笑顔を見せながら汗みずくになって働いていました。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
230 拝