西へ研修旅行 2 より続く
この旅行の最後を締めくくるのが、トヨタテクノミュージアム産業技術記念館。
トヨタの技術に対する自信をたっぷり感じてきた。
トヨタテクノミュージアムは繊維機械館と自動車館に分かれている。
福野礼一郎の 『車はかくして作られる』 を読んだりしたから自動車に興味が全くないということはないけれど、
やっぱりわたしのお目当ては繊維機械でしょう!
広い館内、まるで本当の工場のように整然と機械が並び、なかなかの騒音の中、
黄色い帽子をかぶった社会科見学の子どもたちがいっぱいいた。
そこここに制服のおねいさんと作業服のおじさんがいて、待ってましたとばかり機械を動かしては説明してくれる。
名古屋は三河で木綿が盛んだったから、ガラ紡の機械が置いてあった。
ちゃんと動かして紡げる。
ああ、ガラ紡! どこかで細いガラ紡の糸を手に入れたい、と思っているのだが、いったいどこに行けば手に入るんでしょう?
知っている方がいたら教えてください。
木綿の最新式の紡績方法に至るまで、たくさん展示してあるのが面白い。
やっぱり木綿だよ、と木綿を織るわたしは意を強くする。
自動織機のおかげで糸が足らなくなったから、機械で紡ぐ技術も進む、という順序が面白いと思った。
豊田佐吉といえばG型自動織機。 (いやこういうのも見つけたけど。)
緯糸 (よこいと) がなくなるまえに自動的に 杼 (ひ) が交換され、経糸 (たていと) が切れたら自動的に止まる。
しかしそこに至るまで、明治に入ってきた飛び杼を筬を動かすだけで飛ばせるようにしたところから始まる機の改良の変遷が
見て取れるようになっているのが面白かった。
あ、飛び杼って世界史の産業革命で必ず出てくるが、それが一体どういう発明か普通は分からないと思う。
機織りをするとき杼を右手から左手、今度は逆に左手から右手に投げなくっちゃいけない。
杼を投げた手で筬をつかんで緯糸を布の方に打ち込むんだけれど、
飛び杼は筬かまちにぶら下がった紐を引っ張るとハンマーに打ち出されて杼が飛ぶようになっているので、
筬を持つ手を放す必要がない。 その分、早く織れる。
その紐を引っ張る動作を筬の前後運動だけでできるようにしたのが、豊田佐吉の最初の特許なんだそうだ。
トヨタ式木製人力織機 ←おねいさんの実演のYouTube
これはY式織機。 ゆかた生地などを織るらしい。
これと同じような機が動いているのを、いぜん秩父の土産物屋で見た。
G型に比べると小型で、なんだかかわいらしいのだ。
Y式については、読売オンライン三重、産業技術館のメルマガ の記事が面白かったのでリンクする。
トヨタの機のほかにも、古い海外の機もあった。
これはカールツアングス縫取織機。
上に糸がいっぱいあるのがジャカード装置。
織り出した柄はテクノミュージアムのマークだったりする。
また環状織機に戻る。
杼が往復する、つまり飛ばして、それを止めて、今度は反対に飛ばして、という運動を円状にしたら
ずいぶんロスが少なくなるし騒音も減るのではないか、という発想だそうだ。
ロータリーエンジンに似ているね。
経糸は下に巻いてあって、上に向けて織りあげていく。
2枚ある金属の櫛目の円盤状のものが綜絖 (そうこう) で、その上の斜めになっている茶色のものが、筬だ。
傾いた下側のところに杼がのっていて、傾いた上側のところで打ち込んでいく。
普通の機と違って、緯糸を入れる動作と筬打ちが連続して、うねうねと動いて不思議だ。
Circularity Weaving machine at Toyota Techno MUseam ←YouTube
これがその杼。 ちなみにこれはもっと小さい環状織機。
何ともユニークなのだが、環状織機は残念ながら実用化しなかったらしい。
作業服のおじさんがいくつか理由を教えてくれたが、
緯糸がなくなったときの補給がいちいち面倒だ、というのだけ覚えている、すみません。
そういえば、みんぱくでも似たようなものを見たよ!
そう、環状の織物です。
ということは、経糸は奇数本なのでは? とおじさんに訊いたら、
ご名答! ほらここに同じ開口で筋になっているところがある、と織り上がった布を示してくれた。
イエーイ! 写真はない、すみません。
(あれ? 奇数ならそういう段ってできるんだろうか? ううむ…。)
そうそう、「織る」 と 「編む」 がごちゃごちゃになっている人がいるので敢えて書くが、
環状に編むのはよくあることです、というか普通。
環状の織りが、珍しいのです。
もっともっとアップしたいけれど、デジカメのメモリがなくなってきたので (RAWで撮るもんで)、
最新式の機にひとっ跳び。
トヨタエアジェットジャカード。
もはや緯糸はエアジェットで入れて、杼はない。
ジャカードもコンピュータに直結、デジカメ写真の柄を織り出すことができる。
それがお土産屋にあるんだけれど、 技術とデザインは別物だな…、 などと思ったりして。
中庭の煉瓦のテクスチャが面白かった。
↓これは外側の一部。
長い記事で申し訳ないが、これが最後。 蒸気機関だ。
この装置ではないけれど、かつては蒸気機関で工場に動力を供給していたらしい。
この実演は蒸気で動かしているわけではない。
点滴のように油が始終さされていく構造らしい。
ベアリングがなかったからだそうだ。
なんとなくスチームパンクを思い出したりして。
しかしなぜか古い機械が優雅に見える。
その古くて優雅な機械がちゃんと動くことに感動する。
テクノミュージアムは見る物が多すぎて1日では足らない、と聞いていたので、実は2日行ったのだが、
それでもまだ車の方は通り一遍だけだった。
こんどは家族を連れて来たいと思った。
ほんとにいちいち感動する旅をすることができた。
快く出してくれた家族に感謝する。
ありがとう。
この旅行の最後を締めくくるのが、トヨタテクノミュージアム産業技術記念館。
トヨタの技術に対する自信をたっぷり感じてきた。
トヨタテクノミュージアムは繊維機械館と自動車館に分かれている。
福野礼一郎の 『車はかくして作られる』 を読んだりしたから自動車に興味が全くないということはないけれど、
やっぱりわたしのお目当ては繊維機械でしょう!
広い館内、まるで本当の工場のように整然と機械が並び、なかなかの騒音の中、
黄色い帽子をかぶった社会科見学の子どもたちがいっぱいいた。
そこここに制服のおねいさんと作業服のおじさんがいて、待ってましたとばかり機械を動かしては説明してくれる。
名古屋は三河で木綿が盛んだったから、ガラ紡の機械が置いてあった。
ちゃんと動かして紡げる。
ああ、ガラ紡! どこかで細いガラ紡の糸を手に入れたい、と思っているのだが、いったいどこに行けば手に入るんでしょう?
知っている方がいたら教えてください。
木綿の最新式の紡績方法に至るまで、たくさん展示してあるのが面白い。
やっぱり木綿だよ、と木綿を織るわたしは意を強くする。
自動織機のおかげで糸が足らなくなったから、機械で紡ぐ技術も進む、という順序が面白いと思った。
豊田佐吉といえばG型自動織機。 (いやこういうのも見つけたけど。)
緯糸 (よこいと) がなくなるまえに自動的に 杼 (ひ) が交換され、経糸 (たていと) が切れたら自動的に止まる。
しかしそこに至るまで、明治に入ってきた飛び杼を筬を動かすだけで飛ばせるようにしたところから始まる機の改良の変遷が
見て取れるようになっているのが面白かった。
あ、飛び杼って世界史の産業革命で必ず出てくるが、それが一体どういう発明か普通は分からないと思う。
機織りをするとき杼を右手から左手、今度は逆に左手から右手に投げなくっちゃいけない。
杼を投げた手で筬をつかんで緯糸を布の方に打ち込むんだけれど、
飛び杼は筬かまちにぶら下がった紐を引っ張るとハンマーに打ち出されて杼が飛ぶようになっているので、
筬を持つ手を放す必要がない。 その分、早く織れる。
その紐を引っ張る動作を筬の前後運動だけでできるようにしたのが、豊田佐吉の最初の特許なんだそうだ。
トヨタ式木製人力織機 ←おねいさんの実演のYouTube
これはY式織機。 ゆかた生地などを織るらしい。
これと同じような機が動いているのを、いぜん秩父の土産物屋で見た。
G型に比べると小型で、なんだかかわいらしいのだ。
Y式については、読売オンライン三重、産業技術館のメルマガ の記事が面白かったのでリンクする。
トヨタの機のほかにも、古い海外の機もあった。
これはカールツアングス縫取織機。
上に糸がいっぱいあるのがジャカード装置。
織り出した柄はテクノミュージアムのマークだったりする。
また環状織機に戻る。
杼が往復する、つまり飛ばして、それを止めて、今度は反対に飛ばして、という運動を円状にしたら
ずいぶんロスが少なくなるし騒音も減るのではないか、という発想だそうだ。
ロータリーエンジンに似ているね。
経糸は下に巻いてあって、上に向けて織りあげていく。
2枚ある金属の櫛目の円盤状のものが綜絖 (そうこう) で、その上の斜めになっている茶色のものが、筬だ。
傾いた下側のところに杼がのっていて、傾いた上側のところで打ち込んでいく。
普通の機と違って、緯糸を入れる動作と筬打ちが連続して、うねうねと動いて不思議だ。
Circularity Weaving machine at Toyota Techno MUseam ←YouTube
これがその杼。 ちなみにこれはもっと小さい環状織機。
何ともユニークなのだが、環状織機は残念ながら実用化しなかったらしい。
作業服のおじさんがいくつか理由を教えてくれたが、
緯糸がなくなったときの補給がいちいち面倒だ、というのだけ覚えている、すみません。
そういえば、みんぱくでも似たようなものを見たよ!
そう、環状の織物です。
ということは、経糸は奇数本なのでは? とおじさんに訊いたら、
ご名答! ほらここに同じ開口で筋になっているところがある、と織り上がった布を示してくれた。
イエーイ! 写真はない、すみません。
(あれ? 奇数ならそういう段ってできるんだろうか? ううむ…。)
そうそう、「織る」 と 「編む」 がごちゃごちゃになっている人がいるので敢えて書くが、
環状に編むのはよくあることです、というか普通。
環状の織りが、珍しいのです。
もっともっとアップしたいけれど、デジカメのメモリがなくなってきたので (RAWで撮るもんで)、
最新式の機にひとっ跳び。
トヨタエアジェットジャカード。
もはや緯糸はエアジェットで入れて、杼はない。
ジャカードもコンピュータに直結、デジカメ写真の柄を織り出すことができる。
それがお土産屋にあるんだけれど、 技術とデザインは別物だな…、 などと思ったりして。
中庭の煉瓦のテクスチャが面白かった。
↓これは外側の一部。
長い記事で申し訳ないが、これが最後。 蒸気機関だ。
この装置ではないけれど、かつては蒸気機関で工場に動力を供給していたらしい。
この実演は蒸気で動かしているわけではない。
点滴のように油が始終さされていく構造らしい。
ベアリングがなかったからだそうだ。
なんとなくスチームパンクを思い出したりして。
しかしなぜか古い機械が優雅に見える。
その古くて優雅な機械がちゃんと動くことに感動する。
テクノミュージアムは見る物が多すぎて1日では足らない、と聞いていたので、実は2日行ったのだが、
それでもまだ車の方は通り一遍だけだった。
こんどは家族を連れて来たいと思った。
ほんとにいちいち感動する旅をすることができた。
快く出してくれた家族に感謝する。
ありがとう。
半自動っていうのって、織り機は有るのかな?編み機は半自動になると思うのだけれど。
私は機械が好きなので、こういう所見るとドキドキします。
特に古い電子制御でない物は良く考えられていて。
パンチカードの編み機もそうです。
引き上げやら目を渡したり、編み込んだり。
全て分解して組み立てたりするのが好き。
あ、私もガラスが大好きで、群馬の月夜野の日本初の体温計を作った上越クリスタルに良く出没します。
今度グラスでもご一緒に創作したいですね。
がら紡の糸について、少しの情報しか持っていないのですが、お役に立てばいいなと思って書き込みます。
京都の風工房の斎藤さんが、がら紡を残す活動をされていらっしゃいます。
blog.canpan.info/shamurie/archive/201
愛知県の木玉毛織株式会社では、糸を販売しているそうです。
www.tsbiyori.jp/shopbrand/014/Y/
(URLをすべて入れると投稿ができなかったので、頭の部分をカットしてしまいました)
それぞれの方の活動について、私は詳しくないのですが、問い合わせてみてはいかがでしょうか?
私もこの週末に、民博の「世界の織機と織物」展を、見に行きました。
すごく興味深い展示でしたね!
パソコンで動画を何度も繰り返し見れたのも、とても勉強になりました。
会期後に解体してしまうのが、本当に惜しまれます。
そういわれると、なんだか急に編み機も見たくなってきました。
電子制御でないものって、ほんとにおもしろいです。
細かいからくりひとつひとつの説明を聞いていくと、ほんとみんなピタゴラスイッチみたいで。
トヨタの木製人力織機の仕組みも、ちょっとした木の部品なんですよ。
残念ながら、動画にはその説明が入っていませんでしたが。
ガラスは面白かったです。
なんというか、作業を始めたらリズムに乗って一気に仕上げる、というのが、
途中でやめてまた解ける糸系と違うなぁ、と。
瞬間芸の音楽みたいなところがあるな、と思いました。
月夜野はちょっとだけ行ったことがありますが、体験をしたことはありません。
上越クリスタルが日本で最初に体温計を作ったところとは知りませんでした。
ガラスはとんと門外漢なので、ぜひ教えてほしいです。
ガラ紡の情報をありがとうございます。
わたしも木玉さんのところからガラ紡の糸のサンプルはいただきました。
もう少し細い糸が欲しいのです。
いちどヤフオクで細めのガラ紡の糸を落札したこともあるのですが、ちょっと特紡みたいな糸でした。
また、ヤフオクでガラ紡の機械が出品されていたこともあります。
安ければ手に入れたかもしれませんが、古いものではなく新規に手作りされた機械がそうそう安かろうわけがありません。
関東では千葉に鴨川和棉農園http://homepage2.nifty.com/wamen-nouen/index.html
というところがあって、ガラ紡のワークショップもあるそうです。
残念ながら、わたしはガラ紡をする方に興味があるわけではなく、糸が欲しいだけなのです。
最近は組織織が面白くなってきてしまったので、あんまり糸そのものの表情が前面に出るのは困りますが、
もちろん手紡ぎやガラ紡のような表情のある糸が欲しいときもあります。
そのような折にはぜひ教えていただいた方々に問い合わせてみたいと思います。
kaozushiさんもみんぱくに行かれたんですね!
思うにこの特別展に行った人って多いんじゃないでしょうか?
どういうわけか図録が間に合わなかったようですが、後からでも手に入れる人も多いと思います。
わたしも待ってます。
遅ればせですが・・・テクノミュージアム、何度か行きましたが山吹さんの詳細なレポが面白くてまた行きたくなりました。
私も以前細いガラ紡を探しましたが手に入りませんでした。
木玉さんでは「できますが特注になると60㎏からですよ~」と言われ、できそうなら連絡しますとのことでしたがそのままです。
他で聞いたときは技術的にできないことはないけれど微妙なバランスで紡ぐので手がかかる仕事で小口の注文では割が合わない・・・というような感触でした。
細いガラ紡、ほしいですね!
テクノミュージアムは本当に楽しかったです。
車のほうももっとじっくり見たかったんですけれど、二日行っても時間が足りませんでした。
図書室も面白かったです。
借りれなかったけれど、何冊かメモってきてアマゾンの欲しいものリストに入れました。
ガラ紡の情報、ありがとうございます。
木玉さんは注文を受けてくれるんですね。
しかし、60kgはハードルが高すぎる…。
経糸に使う腕はないと思うので (糊付けを覚えればいいのかしら?)、
5kgぐらいあれば余裕なんですよ。
何人か集まって60㎏になれば、頼んでみてもいいです。
もめんおりさんは、何kg要りますか?
ります。
私もマニアックに見過ぎて全然時間が足りませんでした。
ガラ紡は、やはりがんばって5㎏ぐらいですね・・・。
木玉さんはその後連絡がないし数年前の話なのでどうなったやら、です。HPなどでみると落ち綿を使用されているようなので私は技術的に難しいのではないかと思っています。
でももし可能なら俄然ほしいです!余ったらガラ紡のネットショップを開くとか、何とかなるような気もします。
ほんとうに、ようこそ~ありがとうございました☆
ちょっと電話して訊いてみました。
木玉さんの出来る細い糸っていうのが、5番単糸なんですって。
普段が3番だから、確かにそれよりは細いけれど、シャツ地等に5番は無理だなぁ。
テクノミュージアムで紡いでいる糸はもうちょっと細いように見えたけど、そうでもないのかな?
鴨川和棉農園さんのところのガラ紡は細い糸も紡げる、
米綿等で一番細くて20番手弱、とあるから、
http://homepage2.nifty.com/wamen-nouen/garabow.html
費用も時間も労力も覚悟して飛び込んで、自分で作る、という手もあるようだけど、
一日に紡げる量があまり多くないのなら、自分で紡がずガラ紡にするメリットはあまりないのかも?
(一日に紡げる量を問い合わせたかったのですが、HPに電話番号が載っていないので、メールにしました。返事を待っているところです。)
ほんと、どこかネットに挙がっていないところで、細いガラ紡ってないんでしょうかね?
こんどはそちらの方に行くなら、ぜひ一宮の糸屋さんを見てみたいです。
どこかおすすめはありますか?
テクノミュージアムは本当に面白かったです。
今度はぜったい家族を連れて行きます!
でも落ちワタだとそんなものかもですね。
鴨川さんのリンク、拝見しました。おもしろい活動をされてるのですねえ。
一度講習を受けたら機械を貸し出してくれる?!びっくりです。一度に何本も作れるから手紡ぎよりは早いとは思いますが、どれだけのものができるのか未知数ですね。
でも魅力的です。
一宮の糸屋さんはあまり知らないのですが、ガラ紡の続きについて、メールを差し上げてみますね!