≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

西へ研修旅行 2

2012-11-04 19:11:54 | 展覧会に行った話
西へ研修旅行 1 より続く



さてこの紐は、というと




こういうところに繋がっている。

そうです、みんぱく、つまり国立民族学博物館の
特別展 「世界の織機と織物─織って!みて!織りのカラクリ大発見」 なのだ。

世界各地の機 (はた) にちゃんと織り途中の糸がかかっている。
かかっていなかったら、この機でどのようなものを織るのか、きっと全然わからないだろう。
シンプルで、一見原始的にすら見えるような機に、すごく細い糸でとても複雑な織り模様が入っていたりする。
手織りで複雑な織り柄を出す 空引き機 の原理は分かったけれど、
腰機で柄を出すために入れてあるであろうひごのようなものをどのように使うのか、
それが見ていてもどうしても分からなかったのが悔しい。
やってみれば分かるかもしれないよ。 やってみる!?(棒4本の腰機はやったことがある。)

アンデスの投石用の紐には感動してしまった。
なぜなら基本的には組紐なのに、なかほど、石を挟むところだけは織物になっている。
しかもその織物も途中は二つに分かれているのだ。
こんな不思議なことは、大掛かりな道具など使わず、ほとんど手だけで組んだり織ったりするからできることだ。
能率は悪いかもしれないが、一番何でもできる道具は「手」なのかもしれないな、と思った。

また、世界にはいろいろなバリエーションの織機や織物がある、ということがよく分かった。
両足の間に経糸 (たていと) を張って、かがんで緯糸 (よこいと) を入れていく、なんていう変わった織りは初めて知った。

変わった織り、つまり異形の織物の代表が環形の織物だろう。
これは体験コーナーで少しやらせてもらった。
バスケタリーで一番シンプルな技法、つまり平織と同じ組織なんだけれど、
バスケタリーのように経糸が奇数なのがポイントだ。
そうしないと緯糸が同じところに通ってしまうからうまく面にならない。
綜絖 (そうこう) がないから、1本1本手ですくうところが、もうほんとにバスケタリー。

同じ色で見分けがつかないから、色糸で変えてみたら?
いや、奇数では困る、じゃ、3色×3本とか3色×5本とかならどうだ?
なんて話をして帰ってきた。

こう書いても通じにくいよなぁ。
やったことのある人はすぐにピンと来るはず、百聞は一作にしかず。

それで、その異形の織物であるところの環形の織物の巨大バージョンが、入口に日々織られていく、というわけなのだ。


しまった、経糸が奇数だったかちゃんと数えてくるんだった。
(この写真だと35本に見える。 ポスターの環形織物も25本だよ。)

残念ながら展示物の写真は撮ることができなかったので、写真はこれだけ。


これは人類の英知だから、何年かにいっぺんは絶対展示するべきだ!

と思ったら、
京都で羊の原毛やら手紡ぎ手織りの材料や道具を売っている スピンハウスポンタさんブログ で、もっと明確な文章があった。

特別展じゃない方のあまりにも膨大な常設展を見てなんだか心が痛んだのは、それら展示物が失われつつあるもののように見えてしまうから。
そこらへんはもう自分とだいぶん距離がある気分で見ているけれど、
こと織りに関していえば、少なくとも自分の中では過去のものではないので、
ポンタさんのように広める活動をなさっている方がそのように思うのは、至極当然のように感じられる。


何にせよあんなにたくさんの織りかけの機を見せられたら、もうなんというか居ても立ってもおられないっていうか、
ああわたしも織りたい!
っていうやる気だけは燃えてきた。 それだけでも行った甲斐のあったというもの。


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みんぱくに行ったのは実はもう一つ用があったのだ。
なんと後輩がいる。
ほら、みんぱくHPトップ は左右に研究と展示と配されているだろう。 大学院もある。
いろいろと話を聞くことができた。
普段はあまりにも人と会わない生活をしているから、こういう刺激が本当に楽しかった。
ありがとう。


ということで時間切れとなり、今回は民芸館はおあずけ。


西へ研修旅行 3 へつづく






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