≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

足立恒雄 『 √2の不思議 』

2010-08-02 11:00:09 | 本 (ネタバレ嫌い)
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とっても知的好奇心を刺激する本だった。
いままで生物やらの本はそれなりに読んできたと思うが、
こんな風に完全に思索の理系の本は、ほとんど読んでこなかった。
このジャンルがこんなに面白いものだとは、とんと知らなかった。
(それとも、この人が面白いのか?)


まえがきの
「…数学がいかに普遍性を持っているといっても、所詮、
われわれの言語から作られたものであるという基本的な枠組みと決定的な制約を
背負っていることにもなろう。
だから宇宙のどこへ行っても知的生物は表現こそちがえ、みな同じ数学を持つはずだ
というような説は、姿を変えた人間中心主義のたわごとなのではなかろうか。」 p.8

という部分で、いきなりノックアウトを食らった。

お気楽なSFのわたしが最も納得のいかない部分がここらへんだっただけに、
それをこうも鮮やかに切り出した手腕にのけぞったのだ。


「当面基礎づけができなくったって、歴史を見ればわかるように、
そして自分たちが肌で感じているように、
現実の数学には矛盾などあるはずもなく、諸学問へ応用され、
現に飛行機も数学のおかげで飛んでいるのである、
というのが大方の数学者の偽らざる心情であろう。」 p.197

そういうもんなんですか、数学、数学者って!?


ガリレオが自分の行進曲をメトロノーム替わりにした、とか、
地球の太陽の周りを回る軌道の反対側に、「対地星」 があるというピュタゴラス派の説は、
数合わせからできた、とか、
プラトンは、「人間とは、羽のない、二本足の、平たい爪を持った動物である」 と定義したとか、
知っているとちょっと得したような、トリビア的な楽しみ方もできる。
中国やらインドやらの話も例に挙がるし、白川静まで引用されるし、
広範にわたった知識の持ち主なのが、よおく分かった。

でも、もちろんそのようなトリビアの本ではない。

とはいえ、読んで分かったのか? と問われれば、
あんまり分かってないというかほとんど分かっていない、と答えるしかない。
引用で分かると思うが、彼の文章はウィットに富んでいて面白い。
あんまり分からなくても、きっとまた読み返すだろう。
(『失楽園』 もぜったいに読みたくなった。
  『魔法の歌』 シリーズを面白いといったからにはなおのこと。)



あの、でも、何で表紙がカエルなんでしょう?



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6 コメント

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数学者 (カエル好きの折紙作家)
2010-08-02 12:29:27
一応小生も大学は数学科だったので、しかもカエル好きとしてはコメントを入れなくては?
数学者は往々にして定義を明確にしなくては気が済まない質で、それは自分の研究内容に対してだけでなく、そもそも数学とはなんぞや、というところにも自分なりの定義を持ちたがるものなんですよ。
例えばそれは、その昔数学にハマった小生は今サラリーマンですが、サラリーマンたるもの、仕事たるもの、営業たるもの、などなど自分なりの定義を持ち、それが他の人に理解して貰えないと、自分勝手な解釈を正当化しているだけの我儘になるんですね。って、これももう定義化なのかな。
まぁ、いいや。

あ、トイストーリー3見ました。ボロッボロに泣いてしまいましたよ。映画館で隣の席に座っていた男の子が小生のことを怪しい目で見ていましたが。
3Dだったのですが、あのメガネが涙をぬぐうのに邪魔でした。
返信する
Unknown (うりかねぐん)
2010-08-02 13:25:13
この本面白そうですね!

直接関係ないですが、私は森さんの以下のコメントにじーんときました。
http://mooljot.tumblr.com/post/848047722
「このように、三角関数というものがこの世に存在するのは、角度から勾配の比率を計算では求めることが「できない」からである。数学は、不可能なことに対しては、このように記号を作る。できないから記号になるのだ。」
返信する
数学大好き (ももんが)
2010-08-02 19:56:59
数学って面白いです。私が好きなのはベクトル。
人間の持つ色々なエネルギーをベクトルで考えたりすると面白い。飛行機もベクトルで考えれば浮くのは簡単に分かりますしね。他、円周率が割り切れない数学の世界では無く、整数を正とした場合の数の変換をしている人とか、変な人いっぱいですもんね。

数学と物理は紙とペンがあれば、夢が広がる世界なんですよね
返信する
カエル好きの折紙作家さん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-08-03 09:58:33
お元気ですか?

プラトンが「人間とは二本足の、羽のない動物である」という定義を与えると、
キュニコス派のディオゲネスが鳥の羽をむしって「これがプラトンのいう人間だ」と言ったので、
「平たい爪を持つ」という説明を加えた、とか。p.180

「定義」という言葉もその当時と今では少し意味が違うようです。
囲い込まないと、捉えどころがなくなってしまいますからね。


トイストーリー3、泣けるよね!!
あれで涙が出てこないやつは、どっかおかしいんだよ、うんうん。

3Dどうでした?
わたしアバターをアイマックスで観たら、ゲッロゲロに酔って、もうほとんど目を開けてられなかった。
脂汗ダッラダラ、すごい吐き気、死ぬかと思った。
(真ん中の席で、席を外すこともできなかった。)
ふつう?の3Dでクリスマスキャロルを観たときは平気だったんだけれどなぁ。
3Dの色は悪くなかった?
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うりかねぐんさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-08-03 10:07:06
この本、面白いですよ。
数学と哲学や論理学が繋がっていたりして。

森毅さん、お亡くなりになりましたね。
どんな服を着て卵料理をしてたんでしょう。
この本にも、森さんがガリレオについて著したことについて、コメントがある。

森さんの本は面白いかな?
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ももんがさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-08-03 10:10:00
>大好き! 
そうなんですか。
わたしも大好き! と大声で宣言しきないところが、わたしの弱みなんです…。 うう。
ベクトルかぁ。
わたしは3次曲線のグラフをきれいに描くのが大好きでした。
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