≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

万城目学 『 鴨川ホルモー 』

2010-09-01 14:33:59 | 本 (ネタバレ嫌い)

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※ まきめまなぶ と読む。まんじょうめ ではない。


しばらく前に 『 鹿男あをによし 』 を貸してもらった。
これが面白かったので、ホルモーをぜひ読みたいと思っていたのだ。

なんというか、いったい話はどっちへ行ってしまうんでしょう!?
と、いろいろな意味で思わせてくれるところがよろしい。
マジになりすぎるかと思うと、うまいことかわしてくれたりする絶妙なタイミングがよい。
でも、わたしが彼の作品で一番気に入っているのは、実は 文体 なんだ。

特に鹿男は漱石を意識してるせいか、とにかくあの文体には参った。
「マイ○○です」 の科白なんて、秀逸!! (これじゃ文体は分からんな。)
あれ? これは鹿男を褒めてるなぁ。

よい意味で男らしい作品だと思う。
女には書けないよなぁ、あの男心の機微は。
(自意識過剰でカッコつけでロマンを追うけどヘタレなところ、と書くと身も蓋もないか…。)
その脆い内面を 露わにするような 隠すような 男心の描写が、
この作家の場合、好感が持てるのは何でかしら?


実はわたし、1年間 京都の川島テキスタイルスクール (KTS) にいました、ずいぶん昔。
まああれは叡山電車を乗っていって、山やら田んぼやらの間にあるんだけど。
実家は神戸の方で、ときどき帰っていたので (KTSの寮にいた)、
出町柳 (でまちやなぎ) で叡山電車から京阪に乗り換えて、それから阪急に乗り換えるのに、
河原町通りを三条から四条へてくてくと歩いて行っていたものだ。
そうしたら、ちょっと八坂神社の方やら三年坂のほうやらへ行ったりもするわけで、
この表紙の絵が、とても懐かしかった。

乗り換えの出町柳はちょうど加茂川が鴨川になる地点だし、修学院も叡山電車の路線上だし、
コンチキチンはすごい人で暑苦しいし (鉾のタピストリーが見学対象)、
金がなくて、せっかく1年京都にいたっていうのに大してどこも行っていないわたしでも、
この話は妙に懐かしいんだよ。

とはいっても、KTS時代にそれほどいい思い出はないなぁ。
遠距離恋愛で辛いし、金はないし、京都人のすごいプライドに気圧されるし、
教われば教わるほど何がしたいのか分からなくなるし、
それまでの人生ひたすら教わることばかりで最早ものを教わるのに飽き飽きしたし、で。
(鴨川の河原のカップル、ほんっとにむかついたよ、あの当時。
  わたしの彼はなぜここにおらん!?って。)

まあいいや、京都の思い出は。



で、脱線ついでに、もっといってしまおう。
この本と一緒に、青池保子の 『 修道士ファルコ 』 も買ったのだ。
と書いて、あれっ?と思った人はよい勘をお持ちだ。
出版された時期が全然違う。 そうです、ブック・オフで買った。
(ついでに 『 ホルモー六景 』 もね。)
このマンガもとても面白かった。
青池保子独特のユーモアのセンスがたまらない。

それが、ファルコと ホルモー六景の最後のはなしに 大きな共通点があるのだ!
うう~~ん、シンクロニシティ!

出版された時期が全然違うこれらの本を、
一緒に買ったり同時期に読むことなんてまずありえないと思うのに、
それらにあんまりきかない共通点があるなんて、びっくり!!

こういう、全く予期もしていないようなところで何かが繋がる、
この感じが、わたしは大好きだ。 


↑写真 夕日の当たった飛行機雲。 ブルーグレイに朱、思いつかない色合わせだなぁ。
 (サーモンピンクならありきたりだけど、この微妙な差。)



と脱線しまくったが、ホルモー、面白いです。
わたしが言わなくっても、みんな言ってるけど、
色々とわたしの中でリンクがあるので、書いちゃったよ。

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15 コメント

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Unknown (MR.T)
2010-09-01 21:18:19
ちょっと、お邪魔します。これは飛行機雲ではなく『ケムトレイル』と呼ばれるものです。
 その証拠に、この様な航跡が毎日見られ、空が白空か、せいぜい水色空の毎日でもう青空はありません。
 ケムトレイルで画像、動画を検索したり、『ケムトレイル・気象操作掲示板』等をご参考頂ければ幸いです。各地の散布がわかります。
 アメリカ、ドイツは大手マスコミが報道せざるを得ない状況で、日本もそろそろでしょう。
 お写真を拝見しても、空が白っぽい、粉っぽい感じです。昼夜分かたず散布する事が多い為そうなります。
 日本はアメリカのカリフォルニア州程度の広さしかない為、大型機で周回散布が可能です。その為、田舎とされる所でも目撃されます。

また、曇りの日はバレないので散布しまくりです。梅雨の時期は気付く人も減ります(要は毎日散布するという事です)。

最近は夜間散布が拡散して、朝一から空は白い事が多いです。
返信する
鹿男あをによし (ももんが)
2010-09-02 08:57:49
私も鹿男読みました~。マイ鹿に乗って来る感じとか、バカじゃなくて、おばかな感じは男性ならではかも・・・。
いい裏切られ方というか、切り替えというのか、私も面白いと思いました。

どちらかと言うと、とりとめの無い夢(夜の)に近い気がする。軽快な感じ。

物語としては、ふ~んって感じなんですけどね(笑)
鴨川ホルモーは読もうとずっと思ってたけど、なんだか止めていたので、(皆が絶賛するのは読みたくない・・・)まあぼちぼち読んでみようかな~
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MRTさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-09-02 10:35:14
ケムトレイル (ケムリトレイルかと勘違いした) という言葉は、初めて聞きました。
確かに、わたしの住んでいるところはよく自衛隊機か何かがゴーゴーとすごい音を立てて飛んでいたりします。
誰が何のために何を散布しているんでしょうねぇ?
返信する
ももんがさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-09-02 10:39:36
>物語としては、ふ~んって感じなんですけどね(笑)

そうそう!
話の流れをかわすタイミング(ユーモアの一種か)と、文体が身上なんですよ。

>皆が絶賛するのは読みたくない・・・

よーく分かります。 わたしもそのくち。
だから古本買ったりするの。
返信する
森見登美彦さんの本はご存知でしょうか? (おおくぼ)
2010-11-26 21:56:46
森見登美彦さんの『四畳半神話大系』という小説は京都の出町柳駅近くが舞台です。
アニメにもなりました。
返信する
おおくぼさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-11-28 10:54:11
ちっとも知りませんでした。
『 四畳半神話大系 』って単語に見覚えはあるんですけど。
四畳半っていうと松本零士のイメージ…。古い。
こんどDVD借りてみます。
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Unknown (おおくぼ)
2010-11-29 00:34:46
『 四畳半神話大系 』のアニメ化は今年で、レンタル可能です。

公式サイト

http://yojouhan.noitamina.tv/

>四畳半っていうと松本零士のイメージ…。古い。

そんな感じだと思って下さい。
自分のブログにはアニメの感想を書いてあるのですが、ネタバレです。

ところでyoutubeで「出町柳」を検索すると、<京阪電鉄 イメージソング 「出町柳から」>と歌手の種とも子さんの「出町柳」が出てきます。

http://www.youtube.com/results?search_query=%E5%87%BA%E7%94%BA%E6%9F%B3&aq=f


どちらも自分のブログのネタにしたことがあります。
種とも子さんは京都出身です。

「出町柳から」は大阪在住のブログをしている方から教えてもらいました。
この曲はA面で、B面の曲は「朝靄の京橋で乗り換え」といいます。

http://www.youtube.com/watch?v=wpYiSeXg-8k&feature=related
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おおくぼさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-11-29 09:30:04
色々とありがとうございます。
ネタバレはイヤなので、そっちは見ませんでした、すみません。

種とも子さんさっそく聴きたかったんですが、今パソコンのスピーカーがダメになってんです。
ドライバかなぁ。 リカバリしてみたらいいのかなぁ。
それとも、買い替え!? あーめんどー。
わたしも風邪ひいたし、どーともなれ、って気分です、すみません。
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おおくぼさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-11-30 10:40:54
スピーカー治りました。
ミュートにチェック入ってただけでした。
なんで夫は気付かないんだ!?

種とも子さん聴きました。
うーん、すみません、わたしの好みではありませんでしたが、興味深かったです。
あさもやじゃなくて一瞬埼玉の朝霞かと思ってしまった。
三軒茶屋って聞くと世田谷の三軒茶屋じゃないの?って思ったし、
三軒茶屋って聞くと京都の二軒茶屋でしょ、って思ったり。
路線の曲ならちょっと矢野顕子の中央線思い出したし、
すみません記憶がボーソーしてます。
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Unknown (おおくぼ)
2010-11-30 23:40:28
種ともこさんの曲は、つかみづらいというか、いろんな曲があります。
遊び好きというか、歌詞が変っていたりします。

有名な曲は・・・

http://www.youtube.com/watch?v=WWbPkKmj7RI


http://www.youtube.com/watch?v=0MnzvKXfNfA

です。

スピカー治って良かったですね。
もし壊れてもイヤホンで聴くという手もあるんですが・・。

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ききました。 (斑入り山吹)
2010-12-01 10:41:04
The Rainbow Song の方が気に入りました。
バンジョーの音が今風で。

弾き語りはすごいですね。
矢野顕子だけじゃなかった。知らなかったです。
なんか不思議なミスマッチ感の人ですね。
最近のほうの音作りのほうが好みです。

スピーカーじゃないとは思ったんですよ、イヤホン挿してもダメだったし。
プロパティだけでした、まったく。
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Unknown (おおくぼ)
2010-12-01 20:31:08
矢野顕子さんと種ともこさんとは歌詞と曲との関係が似ている気がします。
子供向けというかNHK子供の歌向けみたいな曲も多いし。

矢野顕子さんは、上原ひろみさんとの連弾弾き語りが凄いと思いました。

http://www.youtube.com/watch?v=faa_c5V_Vww


矢野顕子さんの曲では古いですが、「在広東少年」が好きです。

http://www.youtube.com/watch?v=s5s6E-RCulM&feature=related
返信する
ききました。 (斑入り山吹)
2010-12-02 10:10:23
上原ひとみさんは少しだけチェックしてました。
あんなに楽しそうにピアノを弾く人ってあんまり見ないので。
矢野顕子さんとのデュオがあったんですね。 すげっ!!

「そこのアイロンに告ぐ」は『峠のわが家』に入ってますよね。
そこから90年代前半くらい、けっこう生楽器と一緒にジャズっぽいのをやってて、
大好きでだいたい持ってます。
ついでに YouTube でいくつかみましたが、
やっぱり So What? は受けました。
あのかっこいいテーマがどうなるかと思ったら、「ラーメン食べたい」になっちゃうんだから。

その後の Jeff Bova とやレイハラカミとのエロクトロニカ?っぽいのも好きです。
ついでにいつのまにか上原ひとみさんのをいくつか見ましたが、
コンテンポラリーのジャズは久しぶりにききました。
いっぱいテンションをぶつけて長くて疲れるのは苦手なんですけど、やっぱりジャズって好き。

「在広東少年」!ひー、みんな若い!
懐かしいです。
返信する
Unknown (おおくぼ)
2010-12-02 23:07:24
上原ひろみさんは結構好きです。
弾き方が個性的だと思います。
連弾だとチック・コリアさんとの連弾が有名です。

エレクロニカっぽい音楽は好きで、漁ったことはありますが、業界の地図みたいなのが見えません(渋谷のタワレコのニューエイジ・コーナーとか好きです)。
坂本龍一さんの『out of noise』がエレクロニカっぽくて驚いた記憶があります、素晴らしいCD。

ジャズは詳しくないのですが、コルトレーンとかセロニアス・モンクは持ってたりします。

音楽をテーマにした映画が好きです。
テンションが高い映画音楽では『四分間のピアニスト』といのがあって感動しました。

↓ かなり激しい音楽なので注意
http://www.youtube.com/watch?v=duHGXK1PZEM


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おおくぼさん、こんにちは。 (斑入り山吹)
2010-12-03 11:46:52
チック・コリア! シンセで目新しかったです。
最近の?ジャズピアニストなら、ゴンザロ・ルバルカバなんて、いかがでしょう?

坂本龍一氏はほとんどきいたことがありません。 ちょっと固くて…。
細野晴臣氏のほうが好みです。
力の抜けた感じがね。

『四分間のピアニスト』の YouTube の、見ました。
鬼気迫る、ってかんじで、恐ろしいです。
ちょっと、山下洋輔の燃えるピアノを思い出しました。
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