野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

雨の中、都民の森を歩く②

2018-10-28 06:28:55 | ハイキング

 

 ツリバナの実

 

 <前回からの続き>今日は都民の森の中で出会った今年最後の花たちを紹介しよう。

 まずは漢方薬としても名高いセンブリの花。

 

 センブリはリンドウ科の花で日本、朝鮮半島、中国に自生する。

 

 二年草の花なので、春に地に落ちた花はロゼットのまま冬を越し

翌年山地の日当たりの良い場所で開花する。

 

 草丈は20~40cm、花は小さい。奥多摩では希少な花で

咲くところはごく限られている。

 

 すぐそばに咲いていたリンドウはまだ蕾だった。

 

 

 この日はもっと珍しい花にも出会えた。

ハマウツボ科コシオガマ属の多年草の花でコシオガマ。この花も小さい。

 

 分布は日本全国(沖縄を除く)に渡るが、奥多摩では殆ど見かけない。

 

  近縁にシオガマギク属の花がある。高山で見かけるヨツバシオガマやエゾシオガマ

などが有名だ。日本特産というわけではなく。センブリと同じように朝鮮半島や

中国にも自生する。

 

 ピンク色の花が可愛らしい。

 

 ヤクシソウは至る所で見かける花。

 

 少しだけ花を残したカメバヒキオコシ

 

 コウヤボウキの花

 

 この日は一日中弱い雨が降り続いていた。

 

 サラシナショウマ

 

 

 オクモミジバハグマ

 

  おしまいは花ではないがツルリンドウの実。

 

 花は白色から薄紫色で、リンドウを細くしたような花。

この時期は下草の中で小豆色の実がよく目に付く。

 

 山の花はリンドウの仲間の花を見る時期になると、その年の締めくくりとなる。

 来年のスミレの咲く時期まで待つしかない。

 

 雨の中下山した数馬の集落

 

 この辺で。


雨の中、都民の森を歩く

2018-10-26 08:34:18 | ハイキング

 最近、不正、違法、インチキが日本の社会をまかり通っているようだ。

免振装置のデータ改ざんをしたKYB、なんとこの会社は日本のトップ

メーカーで、しかも創業以来100年にもなるという老舗なのだという。

 不正は車業界でも、燃費データを改ざんしていた三菱自動車とスズキ

今年になってからはSUBARUも不正をしていたことが発覚した。

 どうしてこんなに不正事件のニュースがどうにも止まらないのか。日本社会は、

日本人は(勿論ごく一部だと信じたいが)、豊かさの代償として魂を腐らせてし

まったのだろうか。ジャーナリスト嶌信彦が去年書いたこんな記事をあった。

 

 尤も不正事件の多発には日本人ひいては日本社会の劣化だけではなく、

2006年に施行された公益通報者保護法さらにはネットやSNS等の影響も

多分にあるのかもしれない。

 因みにネットを漁っていたら内部告発者の誇りと悔いというこんな記事もあった。

三者三様の生きざまを軽々と批判は出来ないのだが、どうやら知らず知らず生きにくい

世の中になってきているようで何ともやりきれない。

 

 さて天気は思わしくないのだが、森の精気を吸いたくなり都民の森を訪ねた。

駐車場は8時開場なのだが、私が着いた8時5分には既に20台ぐらい

車が止められていた。平日でしかも雨降りなのにだ。

 

 雨は花や植物を美しくする。花芯をピンクに染めたコウヤボウキの花が迎えてくれた。

 

 大きな葉っぱに身を寄せたセキヤノアキチョウジ

 

 このアキノキリンソウは花丈が随分と大きかった。

 

 駐車場からは少しの間、急な登りが続く。そんな登りも山道脇の野花に

眼を止めていると全く苦にはならない。

 少し時期を過ぎたシラヤマギク

 

 30分ほどで三頭大滝に着いた。

 

 滝を見た後はブナの路を登っていく。途中には今年最後の花たちが

顔を見せてくれた。 カメバヒキオコシ

 

 ヤマトリカブト

 

 マムシグサの実が赤く染まり始めていた。

 

 

 一時間ほどでガスの中、ムシカリ峠に着いた。

 

 右に行くと三頭山だが、左に折れて大沢山方面に向かう。

すぐに避難小屋が見えてくる。ここで昼食。

 

 避難小屋の傍に咲いていた。オヤマボクチの花

 

 この日(十月中旬)、1000mを超える山では少しずつ紅葉が始まっていた。

 

 足元には見た目だけは美味しそうなキノコが生えている。

 

 大沢山はまだ都民の森公園の中。

 

 ひとしきり雨が強くなってきた。

 

 

 下だけ合羽に履き替えて、傘をさして人気の全くない稜線を歩く。

 もうすぐ西原峠だ。

 

続きはこの次。

 

 


柳沢峠付近を歩く

2018-10-11 16:40:53 | ハイキング

 今年の9月は雨が例年になく多かった。gooの過去天気で東京の天気を

調べてみたら、雨の降った日が30日中に16日もあった。少し興味を覚えたので

過去5年間分の平均をとってみたらほぼ雨の日は8日。今年は例年の倍の雨が

降った勘定になる。このサイトには50年分の過去天気が載っていて、50歳以下の

人は自分の生まれた日の天気を知ることができる。

 因みに過去の天気はyahooにもあるが少しおおざっぱ、また日本気象協会のサイト

専門的過ぎてとっつきが悪いが、情報量は一番多い。リンク先から実況天気に

入って地区を細かく辿っていくとほとんどの過去天気が4年分見られた。

 慣れるとこのサイトが一番かもしれない。尚、気象協会の過去天気で

見ると9月の東京は雨の降った日が一月に何と22日もあった。

 (追記)100年天気図データベースというサイトもあったので興味のある方はどうぞ。

 

 さて今回もまた雨のハイキング。柳沢峠一帯には散策路が設けられている。

入り口出迎えてくれるのは何だろう。古い雨量枡?なのだろうか。

 

この辺りは標高1480m、10月のこの時期、花はほとんど見られない。

 咲き残っていたヤマホタルブクロとカメバヒキオコシ

 

 

 

 深く立ち込めたガスの中を歩く。

 

 紅葉は始まったばかりでまだ緑の葉が多い。

 

 オトコヨウゾメの実だろうか

 

 ところどころに赤く、黄色く染まり始めた木々が見える。

 

 

 

 

 

 

 

 展望台までやってきた。天気さえよければ笠取山、唐松尾山、

飛竜山から小雲取までの稜線が望めるのだが……。

 

 この標識の先を行くと大菩薩嶺の登山口丸川峠に至る。

 

 紅葉はまだまだだが、山道に落ちている濡れた枯葉が輝いていた。

 

 放っている煌めきはまるで期間限定の宝石のようだ。

 

 

 あまりにも沢山あったので組み写真にしてみた。

 

 

 

 

 キノコも少しだけ紹介しよう。

 

 

 本当はツタウルシが見ごろになっているのではないかと思っていたのだが、

残念ながらまだ早かった。

 

 

 この日一番赤かったのはマムシグサの実

 

 

 

  帰り道、シカがひときわ高く泣いてガスの向こうに消えていった。

 

 この辺で。


秋の浅間嶺を歩く

2018-09-29 10:41:31 | ハイキング

 まだ4年しか使っていないカメラ、ペンタックスのk5-Ⅱが壊れてしまった。

生来の不器用とおっちょこちょいで雑に使ってきたのだから、やむを得ないと

は思っている。が、経済的にゆとりがあるとはとても言えない、貧しい

当方としてはやはり痛い。それでもカメラが使えないとやることがなく、暇に

なってしまうので、早速ネットで物色して買う機種を決めた。今度の休みの

日にでも中野のフジヤに買いに行くつもりでいる。

 

 最近は膝の調子が悪いので、山歩きはなるべく往復4時間内に収めようと考えている。

そんなこんなでハイカーも少なく、高低差も500mほどと手ごろな浅間嶺に行くことに決めた。

払沢の滝入り口駐車場に車を止めて歩き出したのは午前8時前。

暫くは舗装された林道を歩く。

 道路わきにひっそりと咲くカラスノゴマ。旧来はシナノキ科だったが、新しくアオイ科に

分類されている。分布は本州、四国、九州で8~9月に道端で咲く。

 

 アザミの花、種類まではわからない。

 

 この時期よく見かけるツユクサとミゾソバ

 

 

 ノギク、ミズヒキ、ツリフネソウとぎっしりと詰め込まれて咲いている。

 

 ツリフネソウは依然山行中に白花種に出会ったことがあったが、それ以来探しているが

 今なおお目にかかれないでいる。

 

林道から少しショートカットし山道に入る。斜面に立つ半鐘小屋

 

 人家の裏手に咲くヒガンバナ

 

 キバナアキギリも多い。

 

 再び林道へでた。

コマツナギ

 

これはイヌコウジュだろうか

 

アザミの花には虫たちがひっきりなしに訪れる。花の蜜が枯れる

ことはないのだろうかと要らぬ心配をしてしまう。

 

見晴らしの良いところに出た

 

 中央に見えるのが檜原村立檜原小学校で今回の登山口付近になる。

 

オクモミジバハグマ

 

 見上げるとツリバナが赤い実をつけている

 

 林道を登り切ったあたりが時坂(とっさか)峠。この林道は車がほとんど通らないのだが、

舗装されているせいか自転車乗りが結構多くみかける。

 

 斜面に咲くクサボタン

 

 ヤマハギも多い。

 

 枯れかけたツリガネニンジン

 

 アキノキリンソウ

 

 林道の終点は峠の茶屋。何回か通っているが営業中なのは見たことがない。

今日はここで檜原村の人たちがアンケート調査をしていた。

 

 ここを左手に下り、山道に入っていく。

シラヤマギク

 

 薄暗い沢筋を登りきると稜線に出た。

 

 ヤマジノホトトギス

 

 ツルリンドウの白花(普通は淡紫色)

 

 たくさんのキノコたち

 

これも薄暗い林床でよく見かける。

 

 これはツチグリの幼菌だろうか

 

  歩くこと一時間弱、やっと明るい草原に出た。

 

 ススキの向こうに奥多摩三山のうちの大岳山、御前山が望める。

 

 アサギマダラが夢中でアザミの花に取りついている。結構近づいても

とどまってくれている。きれいな個体なのでこの辺りで羽化しこれから南の

地に渡っていくのかもしれない。

 

 本当にきれいな個体だ。

 

 こちらは後翅に暗色の斑紋があるので♂の個体。

 

 この日は曇りがちだったが天気が崩れることなく、頂上には爽やかな秋風が

吹いていた。晴れていれば標識の向こうに富士山が見えるのだが……。

  帰りは上川乗に下って、バスで払沢の滝入り口まで戻った。

 

 この辺で。

 

 

 


雨の高尾山を歩く

2018-09-21 08:57:50 | ハイキング

 暑さは収まったものの、最近は雨が降り続いてすっきりと

した青空を見ることがない。今日も朝から雨、こんな日はさしもの高尾山でも

登山者が少ないに違いない。と思って8時過ぎに家を出高尾山口駅の傍に

ある交通安全祈祷殿の駐車場へ。ここは8時半から開いていて一日駐車料金

が500円と安いのでいつも利用している。

 

 ロープウエイ駅までは小さな田んぼの脇を通る。

 

 ヒガンバナが咲き始めている。

 

 雨の日の登山は鬱陶しいと敬遠されがちだが、装備をきちんとすれば問題はない。

ただ欠点は展望がきかないことと虫や鳥たちが見られないこと。それでも人は少なく、

雨に濡れた花も普段と違って美しいのだから良しとしよう。

 

田んぼの畔に小さな花が見える。

 

 この熊手のような形をした花はミゾカクシだ。別名アゼムシロともいう。いずれも繁殖力の

強さが名となっているのだろう。キキョウ科の花で色は白色から淡紅紫色まであり、

6~10月と花期は長い。

 

 5分ほど歩くとロープウエイ駅の入り口についた。天気の良い日は登山客でごった返す

駅前も今日は閑散としていて気持ちがよい。

 

 ロープウエイから降りて5分ほど歩くと浄心門。最近はここを通らず、左わきの小径を

下りて三号路を歩くことが多い。

 

 山道脇にはノブキが群生している。

 

 時折日当たりの良いところにはアザミの花も見かける。

 

 草藪がガサゴソしたと思ったらコジュケイの家族だった。

慌ててカメラを出したのだが……。

 

普段から人通りの少ない三号路だが、この日は行きかう人が殆どいなかった。

 

 この日一番よく見かけたヤマホトトギスの花。

 

 

 ちょうど今が見ごろのようだ。

 

 小一時間程の歩きで6号路と出会った。

 

 右斜めの小径に入ると5号路だ。

 足元に珍しいものを見つけた。ツチグリだ。東北地方南部では幼菌が食用とされると

いうがどんな味がするのだろうか。

 ツチグリには「晴天の旅人」 や「星の湿度計」などというロマンチックな呼び名もある。

雨が降らず乾いた日が続くと内側に丸まって、風に吹かれころころと転がり移動するのだという。

 

 五号路に入るとヤマハギが目立ってきた。

 

 

  白色の強い株

 

 

 標高500mぐらいのこの辺りではまだタマアジサイもみられる。

 

 ノダケの花

 

  キク科の多年草カシワバハグマ

 

 よく似た花のこちらは同じキク科だが木本のコウヤボウキ。

 

 ヒヨドリバナ

 

 アサギマダラの好きなこの花も雨の今日は虫も乏しい。

 

 展望台付近までやってきた。ススキが雨に打たれている。

 

 真っ赤な実はガマズミの実。こちらも雨に濡れてルビーのように輝いている。

 

 ちょっとねじれたオオバウマノスズクサの実

 

 枯れかけていたシラヤマギク

 

 ツリガネニンジンもまだしぶとく咲き残っていた。

 

 セセリチョウが雨の中必死にとりついている。

 

 アキノキリンソウ

 

 少し長くなったので今日はこの辺で。