野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

磐梯山の花畑

2017-08-03 18:24:49 | トレッキング

  熊を間近で見たその日は、夕食後疲れてすぐに横になった。

灯りを消し蝉の声を遠くに聞きながら、いつの間にか寝入ってしまった。

 三日目の翌朝はペンションを開業してから45年になるというご主人の

好意に甘え、八方台の登山口まで送ってもらった。

この日は休日、7時過ぎたばかりなのにすでにたくさんの車が止められていた。

 百名山にはどうしたって人混みと喧騒がついてまわるようだ。

 

 登山口の「クマ出没注意」には昨日のこともあり、妙にリアリティーを感じてしまった。

 

 暫くは広い林道をなだらかに登る、足慣らしが続く。 

 

30分足らずで中の湯温泉跡。今は廃湯となっているが、温泉は湧き続けている。去年来た時は

ここから銅沼(あかぬま)へと下った。

 

 中の湯からは本格的な登りが始まる。きつい登りを慰めてくれるのは

山道のわきに咲く野の花たちだ。

 低山でもよく見かけるオカトラノオ

 

 ミヤマカラマツも咲いている。

 

 シナノオトギリ

 

 何よりも驚き嬉しかったのはショウキランに出会えたこと。この花を見たくて尾瀬の竜宮小屋に泊まり

2回も振られてしまった。やや枯れ始めてはいるが、念願のショウキランに全く思いもしない場所で

出会えるとは……。思い当たる節はさらさらないが、誰かに何か良い事をしてしまっていたのだろうか。

 

 ヤマホタルブクロはまだこれからといったところ

 

  逆にやや終りかけたノビネチドリ

 

 まだまだ見られる株もある。

 

 

 一時間ほどで頂上直下の花畑に到着。 いつの間にかガスが出始めていた。

 

 ミヤマシシウドがたくさんの虫たちのステージとなっていた。

 

  湿地に多い帰化種(ヨーロッパ原産)のコウリンタンポポを見かけた。

 

 ここの花畑は標高のせいか高山低木が多く見られる。

  釣鐘型のかわいい花をつけるウラジロヨウラクは、ツリガネツツジの別名もある。

 

 花の色は白っぽいものもある。

 

ムラサキシジミが止まっている花はマルバシモツケ。火山灰地に多い落葉低木。

 

 ガスに濡れた花弁がガラス細工のようにきれいだ。

 

  花の形がちょっと変わったミヤマホツツジ

 

これもツツジの仲間、コメツツジ

 

 やっとお目当てのバンダイクワガタに出会えた。この花は磐梯山の固有種。

 

 独特の蕊を持つグンナイフウロ

 

 ヒメシャジン

 

 ヤマブキショウマ

 

 

 

 タニウツギ

 

  すべてが葉緑素で覆われた花アオヤギソウはユリ科の花

 

  これはコケモモではなく、アカモノ(イワハゼ)のようだ。この実も食べられるという。

 

 イブキジャコウソウ。伊吹山で発見され、良い匂いがする事から名前がついた。

 

 

ベニバナイチヤクソウ。この花も尾瀬で見かけて以来、ずいぶんご無沙汰だった花だ。

 こういう花に出会うと、美人に出会い思わず話しかけられたようなトキメキを覚えてしまう。

 これはやや終わりかけ、もっと早い時期に出会いたかった。

 

 色とりどりのミネザクラの実。黒い熟したのを数個口の中に

頬張ったら甘苦く、山の精を頂いたように気分になった。

 

 一時は陽がさしたのだが、再び雲が空を覆い始めた。ここから頂上(1816m)は30分足らずなのだが、

たくさんの人で込み合っているようなので下山することに決めた。4合目の黄金清水で水を汲んで

 それを少しずつ飲みながら猪苗代登山口へと下山した。

 

  一合目天の庭辺りからは雲が完全に晴れ、炎天下の中スキー場の長い下り坂を汗だくになりながら

歩いた。途中で気持ちの良いおばさんが「今読み聞かせの会が終わって駅の方へ帰る所だから

良かったら乗っていかんせ」と声をかけてくれ、軽トラの助手席で猪苗代の駅まで送ってもらった。

 初めも終わりも人の好意に支えられた素晴らしい一日だった。

この辺で。

 

 


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