山小屋の朝は早い。周囲のざわめきもあり4時ごろにはもう目が覚めてしまう。
だんだんと明るくなってきた。窓の外ではイワツバメが飛び交っている。
5時過ぎ、昨日作ってもらったお弁当をザックに入れて尾瀬ヶ原を歩き始める。
この時間歩いている人はほとんどいない、世界が自分だけのものになったようで気分が良い。
振り返ると燧ケ岳
西側の朝靄は山と草原をの境目のように白い帯を作っている。
前方には至仏山が昇ったばかりの夏日を浴びている。
東側に見えるのは皿伏山だろうか
拠水林を越える
朝靄が山から尾瀬ヶ原に流れ込んでいる。残念ながらいまだ出会ったことがないのだが、
時にはこれが虹のように弧を描いて見えることがあるのだという。
朝露をまとったレースのような蜘蛛の糸
山から陽が昇り始め、一段と朝靄が濃くなった。
再び振り返ると、燧ケ岳の頂から夏の太陽が顔を出している。
六兵衛掘を過ぎて竜宮十字路に差し掛かる辺りが、福島と群馬の県境になっている。
去年泊まった竜宮小屋がみえてきた。尾瀬ヶ原の中央に一軒だけある山小屋だ。
この辺りでショウキランが咲いているはずと暫らく探したのだが見当たらず、
去年に引き続き今年も縁がなかったようだ。求めなくても出会える花がある一方、何度探し求めても
出会えぬ花もある。
中田代の湿原に立つシラカバ
いったん朝靄が濃くなって至仏山が隠れてしまった。
咲き始めたオオマルバノホロシ
イボタの花も朝露に濡れている。
牛首分岐を過ぎて再び拠水林へ
クガイソウ
逆さ燧
池塘にはもう気の早いオゼコウホネの花が咲いている。
池塘の縁に咲くカキツバタ
日が射すにつれて朝靄もだんだん晴れ上がっていく
でもまだこの時間ではヒツジグサは目覚めない
木道で愛嬌のある顔をしたホオアカが出迎えてくれた。
さてもう少しで山の鼻。これから一休みして軽い朝食を食べ
そのあとは至仏山に登るつもりだ。