あの日に戻したい

会社の同僚の嫁さんの実家が南相馬で
実家の家族全員緊急避難しているそうです。

ボクが勧めている「子供たちに野球道具を」との話を
事態が落ち着いたら福島にもと言って来てくれた
絶対、落ち着くのだから
「その時は必ず、福島の子供たちにだって野球をやってもらう」
同僚に誓いました。

避難する時のことを重い口開き
話してくれました。

必要最低限の荷物だけ持って
少ないガソリンのクルマに乗り込んで逃げたそうです。
彼がある程度まで話すと、
少し唇を震わせ
避難している場所から
姪っ子がね、『おじちゃんごめんなさい』って
電話くれたんだ

『買ってもらったランドセル、
クルマに積めなかったから置いてきちゃったの』

今年一年生になる姪っ子の為に
同僚はランドセルを贈ったそうだ、

最期までこれだけは持って行きたい
学校が始まったらこれ背負って行くんだと
その場で泣き叫んだそうだ

でもたった一つのランドセルだって
積めないほど緊迫していたんだと
同僚は唇を震わせながら語ってくれた。

3月9日付の彼の携帯に届いた写メは
姪っ子がランドセルを背負っている

ランドセルだぜ
小さなランドセル一つ持ち出せない程
急いで逃げたんだよ…

自然が憎い

何もかも落ち着いたら
同僚の姪っ子も
3月10日の何もなかった
あの日に戻してあげたい。

元気なボク等なら絶対できる。

絶対。