これまで、越屋根のことを何回か書いている。
低い地窓から涼しい空気を取り込んで越屋根の高窓から熱気を逃がすという通風、高い位置からの採光、天井が高くなることによる開放感など、当初から期待していた効果を実感しているのだが、想定外の効果にも気づいた。
我が家の周囲には高い建物がほとんどない。大抵は2階建てである。
我が家も2階建てだが、越屋根が頭一つ飛び出ているような格好になっている。
それが思わぬ効果を生んでいるようだ。
一つは風。
そもそもは冒頭にいったように地窓から高窓という通風ルートを想定しており、たしかにそのような通風は実現しているのであるが、逆に越屋根の方から風が入ってくることがあるのである。
海と山に挟まれた広くはない平野の中間点にある当地区は、海風、山風をある程度受ける。
そんな環境ゆえ、時折、越屋根が海風をとらえるのだ。
このとき部屋にいると、風を上から受けることになり、ちょっと面白い感覚を味わえる。
もう一つは音。
障害物が少ないため、越屋根が集音器のようになって遠くの音を拾ってくる。
他の物音が少ない早朝とか夜に、遠くから聞こえる電車の音というのもちょっと風情があったりする。
比較的騒々しい時間帯に余計な音を拾ってくることもあるわけでいいことばかりではないのだけれど、幸い私はそういう時間に家にいないので不快に思うことは少ない。
こんなことで喜んでいる自分はおめでたい人間なのだが、それでいいと思っていたりする。