住宅関連書籍(住宅本)を読むときこそ、読者はリテラシーのようなものを意識すべきだ。
リテラシーとは、所属する世界によっていろいろな使い方があるが、私としてはおおまかに、「情報の優劣、正確さを判定または推定し、取捨選択しながら正しくまたは有効に情報を使いこなすこと」であるというような認識でいる。
なぜ、そのようなものが必要かといえば、いたずらに施主を右往左往させるパブリシティ(宣伝)本やら、住みやすさとはこういうものと決め付けたような本が多すぎるからだ。健康関連本の世界と似たような状況といえばわかりやすいだろう。
本格的に住宅本を読み始めたのは、自分が家を建てると決めてからと言ってもいいが、それでも手当たり次第といってもいい感じに(税金を有効活用して)数十冊は読んだ。
読んでいくうちに、不必要に施主を混乱させると感じたのは、特定の工法や建材を推薦する本だ。
いろいろ出ているが、だいたい構成は以下のようなもの。
① 施主が陥りやすい家づくりの<誤解>を紹介
② <勘違い>した・させられた施主がひどい目にあった実例
③ なぜそんな状況になったかの解説
④ 失敗しないための<すぐれた>やり方を紹介
※上記<>は、あくまで本の著者がそう主張しているという意を持つ。
このような構成からして、注文をつけたい。前段で他社・他者のやり方に対する懸念や、ひどいときには恐怖をあおる。ここで施主を不安がらせて引き込む。そんな、推理小説みたいな導入部にしなくたっていい。施主、施主候補は、こういう構成の本は引いて読むべきだ。
こすっからいと思うのは、他社・他者のやり方に対する傍証が非常に偏っていること。他社・他者の失敗例を持ち出すのはいいが、まるで「このやり方だと必ずこうなる」みたいな論調で書いてある。
車を買ったら必ず事故を起こす、というのに近い表現をして恥ずかしくはないだろうか。「必ず」でなくとも「危険性が高い」みたいな言い方をする。
施主が知りたいのはそんなあやふやなことではない。問題が発生しているとして、それがどのくらいの頻度で起きているのか、ということだ。
程度に差はあるだろうが筆者達のやり方での失敗例だってあるはず(皆無とはいわせない)。他者の「数少ない」失敗例をあたかも頻繁に発生しているような紹介が卑怯な行為であることになぜ気がつかないのか。頻繁に発生しているのが事実だという自信があるなら、100件中で10件、などと具体的なデータを出して欲しいものだ。
そして施主としては、「同じ工法で、失敗したときとしないときにどのような違いがあったのか」ということこそ知りたいのに、自分達の工法の成功例と、自分達以外の工法での失敗例しか載せていない。
ここまで述べてきたようなことは、住宅業界にいる人間にしてみれば、「いまさら、そんな分かりきったことを何をぐだぐだと言っているのだ」というような話だろう。しかし、その「わかりきったこと」を多くの施主予備軍は知らない。
住宅本の問題点はまだまだある。反面、ベタな本はベタなりに役に立つ部分もある。「施主のための住宅本の読み方」って本をだしたら、そこそこのニーズがあるように思う。何人かの施主がグループになって、家の建て方ではなく、住宅本の読み方に関して議論すれば、中立的スタンスで役に立つ本ができあがるのではないだろうか。
リテラシーとは、所属する世界によっていろいろな使い方があるが、私としてはおおまかに、「情報の優劣、正確さを判定または推定し、取捨選択しながら正しくまたは有効に情報を使いこなすこと」であるというような認識でいる。
なぜ、そのようなものが必要かといえば、いたずらに施主を右往左往させるパブリシティ(宣伝)本やら、住みやすさとはこういうものと決め付けたような本が多すぎるからだ。健康関連本の世界と似たような状況といえばわかりやすいだろう。
本格的に住宅本を読み始めたのは、自分が家を建てると決めてからと言ってもいいが、それでも手当たり次第といってもいい感じに(税金を有効活用して)数十冊は読んだ。
読んでいくうちに、不必要に施主を混乱させると感じたのは、特定の工法や建材を推薦する本だ。
いろいろ出ているが、だいたい構成は以下のようなもの。
① 施主が陥りやすい家づくりの<誤解>を紹介
② <勘違い>した・させられた施主がひどい目にあった実例
③ なぜそんな状況になったかの解説
④ 失敗しないための<すぐれた>やり方を紹介
※上記<>は、あくまで本の著者がそう主張しているという意を持つ。
このような構成からして、注文をつけたい。前段で他社・他者のやり方に対する懸念や、ひどいときには恐怖をあおる。ここで施主を不安がらせて引き込む。そんな、推理小説みたいな導入部にしなくたっていい。施主、施主候補は、こういう構成の本は引いて読むべきだ。
こすっからいと思うのは、他社・他者のやり方に対する傍証が非常に偏っていること。他社・他者の失敗例を持ち出すのはいいが、まるで「このやり方だと必ずこうなる」みたいな論調で書いてある。
車を買ったら必ず事故を起こす、というのに近い表現をして恥ずかしくはないだろうか。「必ず」でなくとも「危険性が高い」みたいな言い方をする。
施主が知りたいのはそんなあやふやなことではない。問題が発生しているとして、それがどのくらいの頻度で起きているのか、ということだ。
程度に差はあるだろうが筆者達のやり方での失敗例だってあるはず(皆無とはいわせない)。他者の「数少ない」失敗例をあたかも頻繁に発生しているような紹介が卑怯な行為であることになぜ気がつかないのか。頻繁に発生しているのが事実だという自信があるなら、100件中で10件、などと具体的なデータを出して欲しいものだ。
そして施主としては、「同じ工法で、失敗したときとしないときにどのような違いがあったのか」ということこそ知りたいのに、自分達の工法の成功例と、自分達以外の工法での失敗例しか載せていない。
ここまで述べてきたようなことは、住宅業界にいる人間にしてみれば、「いまさら、そんな分かりきったことを何をぐだぐだと言っているのだ」というような話だろう。しかし、その「わかりきったこと」を多くの施主予備軍は知らない。
住宅本の問題点はまだまだある。反面、ベタな本はベタなりに役に立つ部分もある。「施主のための住宅本の読み方」って本をだしたら、そこそこのニーズがあるように思う。何人かの施主がグループになって、家の建て方ではなく、住宅本の読み方に関して議論すれば、中立的スタンスで役に立つ本ができあがるのではないだろうか。
僕も同感です。その手の本は熱烈な信者に支えられたもはや宗教チックな雰囲気も醸し出しているような感じもします。
見る人が見れば、偏った見方である意味突っ込みどころ満載と思うモノであっても、文字通り受け取る人は多いわけで。引いて読むべきものとそうでなくても良いモノとの分別をつけられる人は良いですけど、実はそれが難しい、というかほとんど意識や咀嚼することなしに読み込んでしまう人は、きっと多いんですよね。
本の内容そのものだけではなく、それを(といわけセンショーショナルに)紹介するメディアの力も大きいと思いますが。
「施主のための住宅本の読み方」良い企画だと思います。読み方といっても文字通りのHowtoものというのではなく、家を建てるにあたっての心構えや意識の持ち方、その中で本やいろいろなメディアとのつきあい方みたいなものを家作りの経験者としての立場から発信するという感じでしょうか。(勝手に思っただけです。。)もちろんその続編・発展編として「家を建てること」そのものにフォーカスをあてたものがあっても良いかも知れません。
本とそれを紹介するメディア、その関係については私も問題意識を持っています。
まさにメディア・リテラシーが重要です。
そういうことまで盛り込んだ本がいいですね。
エクスナレッジ社の「危ない!」シリーズの最新刊「『住宅設備・家電』が危ない!」をきのう本屋でちらりと見たところ、本の主題とは関係なく「啓蒙本には注意しろ」というような一文がありまして好感が持てました。
finziさんの言われる熱烈な信者に支えられたもはや宗教チックな雰囲気も醸し出しているような本を読んでその構法のいいとこ取りをして建ててます。
お分かりでしょうが、私もその本読んでいます。
実は、その本について私は、断熱の重要さを一般人に知らしめたことで大きな功績があったと評価しています。
その一方、数多くの要素からなる「家」というものについて、限られた要素で論じているところに抵抗がありました。そして、他のやり方に対する一面的な見方からの攻撃姿勢にも・・・。
断熱・気密はたしかに重要でしょう。そこを押さえさえすればまずまず快適な家はできるように思います。だけど、それだけでは足りないし、施主という、建築分野の門外漢が知識として蓄えるべき最初の分野ではないと思います。この分野の知識を得るのは大事なことですが最初でなくともいいことです。
この本の影響を受けた施主が、「断熱」を入口にして家を検討し始めるという構図には違和感をおぼえました。
緻密な検討をするshibasanのように、自分にあった部分のいいとこ取りするような読み方こそ、施主の賢い住宅本の利用方法だと考えます。
そして、そういう読み方のコツのようなものを施主の共有財産にできればいいと思っています。
みなさんそれぞれの道筋をたどってここまで来ているので、パネルディスカッションでしょうか。うまくまとまると良いですね。
ただ実際の家作りはそれを実行してくれるパートナー(工務店や設計士)が重要ですよね。いくら知識があっても施主はプロではないし、経験もないわけですから。そういう意味では施主は優秀なプロデューサーを目指せば良いような気がします。そのための本という事ではないでしょうか。
改めて、こんにちは。では・・・
疑って読む、ということはリテラシーの基本動作の一つですね。
住宅本に限らず、活字信仰というものは根深いものがあって、いまだに、活字には必ず真実が書かれていると思い込んでしまう人は多いです。
しかも、思い込まされたとは思わずに、自分でちゃんと納得して正しいと判断できたと感じてしまうのです。私自身もそういう経験から逃れえていません。人生経験を積んだ結果、「あの時に読んだ本に少しミスリードされたな」などと客観的に振り返ることができたりもしています。
住宅本の世界には、一面的な捕らえ方、あるいは勝手な一般論を形成して家を語っているものが多いだけに、リテラシーを持つ人はすぐに素直な読み方をしてはいけないと気づくことができますが、普段、別のジャンルででも疑って読むという訓練ができていない人は簡単に術中にはまってしまうでしょう。
さて、「施主のための住宅本の読み方」ですが、今の段階では単なるアイディアにすぎないといっていいしろものです。
現時点では、施主どうしがこうしたblogなどいろいろな場で住宅本について語り合うというような作業を膨らませていけば、自然に企画が実現化していくかもしれないと思っているような漠たるものです。いまのところ、どこでどうするというようなしっかりした場はありません。
ただ、こうしたやりとりをしていくことは有意義なことだという自信はありますので、意見を求められれば、ここでも、別のところでも積極的に発言をしたいと考えています。
朝妻さんという建築プロデューサーの方が大きな興味をしめしており、ひょっとすればひょっとするかもしれませんが…。
意図はは十分わかっておりますので大丈夫です。
どうぞよろしくお願いします。