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「日本産"店頭偽装”の高級店ざまあみろ!」…ALPS処理水放出で、日本料理食材卸会社・中国人社長が明かした「ヤバすぎる本音2023.09.10北上 行夫

2023-09-10 12:05:46 | 連絡
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北上 行夫 
著作家。香港系メディア関連会社ファウンダー。
日系コンサルタント会社や地場系ローファームへのアドバイザリー業務に従事。
2023年より中華圏マーケット調査&ライターが集う「路邊社」に参画。
テーマはメディアが担う経済安全保障。

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ALPS処理水放出で、"お得意様”中国に海産物が売れないと一部日本メディアが心配している。
先月8月24日、中国に続くかたちで香港も、福島など10都県産の水産物の輸入を禁止し、それ以外の食品についても放射性物質の検査対象を大幅に拡大した。
禁輸措置から2週間――前編記事『【中国ルポ】現地の日本料理大衆店に聞いてみたら、ALPS処理水放出の影響は「ほぼゼロ」だった…!』
につづき、中国各地の日本料理店オーナーに様子を聞いてみた。
〇食べ放題に日本産海産物の選択肢はない
中国沿岸部から内陸へ場所を移し、武漢の日本料理店オーナー氏に聞いた。


このオーナー氏は、上海の日本料理店で料理人として15年間修業したあと、
故郷の湖北省に戻り、念願の自分の店を開いた。
ところが口うるさい日本人駐在員客と「日本式中国料理を食べたい」地元客の板挟みに合うこと5年、オーナー兼板長を務めながら、食材卸業に事業を転換させた苦労人である。

筆者とは、彼が食材卸売会社を始めたときに仕事で知り合った。
その頃のオーナー氏の口癖は「次の店に厨師(料理人)はいらない」だった。
「上海でちょっと修行しただけの連中が、故郷に戻ってきて5倍以上の給料を要求してくる。
高給に目をつむって雇用しても、教えたことを全部盗んで独立する。
日本人客のニーズに応えていたら儲からない。
中国人地元客を満足させるなら、
職人の腕はいらない」
そんな苦労人オーナー氏が武漢に初めて持ち込んだ店舗形態が、食材卸直営の日式焼肉&刺身店である。
499元で食べ放題&生ビール飲み放題。
メニューは焼肉と刺身がメイン。
保存の効くおつまみは自ら大量に作り置きし、「送菜員」(メニューを運ぶ人)と切菜員(材料を切る人)しか採用せず、人件費を抑えた。
職人技を必要とせず、切って持っていて時々焼くだけ――の業態にした。
 これが武漢で当たった。
地元客の評判を聞いた既存日本料理店のオーナーやその出資者、優良テナントが欲しい不動産業者などから声がかかり、創業わずか5年で直営店5店舗、食材卸業と合わせ年商5億円の会社に育て上げたのである。
〇「繊細な違いは分からない」理由
おそらく武漢ではトップクラスの類に入る元料理人が、食材を吟味し、納品時に調理法を教える。加えて原価管理もするのだから、半端な料理人には恨まれる反面、出資者には重宝されるという構図だ。 
日本産禁輸の)まったく影響はないです。
うちの場合、家族や友人どうしで1ヵ月に1~2度、特別な日にガッツリ食べに来る地元客ばかり。
オーストラリア産和牛のカルビやブラジル産の牛タン、インドネシア産の有頭エビをひたすら注文し続けるから、網の上は100分間ずっと、それらで溢れかえっています。 
刺身はサーモンとホタテ、甘海老で「注文の8~9割」、次点でトロが少々。
サーモンは以前はノルウェー産、最近はチリ産。
ホタテは以前はアルゼンチン産、最近はチリ産。
甘海老はインドネシア産。
日本産も試したが、価格が40~50%ほど高い。
 そもそも練りワサビを大量につけて食べるので、繊細な違いは分からない。
あなた(筆者)の教えてくれた本わさびは『辛くない』と評判悪いし、チューブ入りワサビは食後に持ち帰る不届き者もいて、今は小皿に山盛りで出しています。
最近はチリ産いくらを大量に使った丼で〆るのを流行らせました」
 一応、食べ放題メニューに寿司も載せているので、売れ行きを尋ねると「こっち(店員側)に聞こえるような大きな声で、『白米はお腹いっぱいになるから食べるな!』と親が指図しながらエキサイトしているよ」と苦笑いをした。 
曰く――無頭エビのほうが安いが、見栄えが良い有頭エビのほうがウケる。
ホタテの粒の大きさにはこだわらず、小粒をいっぱい食べてもらったほうがウケる。
店舗原価率20%を死守している苦労人オーナー氏の“格言”には説得力がある。包丁をおいた元料理人に日本産海産物の選択肢はないようだ。
〇思わぬところで政策批判
彼の次なる一手は"出張浜焼き業”だという。
野外での結婚式やパーティーに食材を載せたライトバンで乗りつけ、その場で浜焼きサービスを提供するビジネスだ。
「新型コロナ前、ニセモノ対策で飲食店への酒の持ち込みが解禁されただろう(2013年北京市政府通達)。
あれで店舗原価率が30%から20%台に落ち込んでしまった。
それまでは『久保田』の萬寿など、珍しい日本酒が隠れた稼ぎ頭だったけれど、堂々と一升瓶を持ち込めるようになって、味が違うだの、ウチが出すのはニセモノだのなんだの……。
肉にはワインだってダースで運び込む客も現れて、面倒だから、
アルコールは卸値プラス100元均一で出すようにした。
そこへきて、一昨年の中国


食べ残し禁止』法だ。無駄を出したらならごみ処理費を店に負担しろという。
節約するのは良いことだが、気分よく食べている客に『光盤行動(皿を空にする行動)!』って号令をかけられるはずがない。送菜員がよく客と揉めています(笑) 
だから出張浜焼きを始めてみたい。
日本にもある業態だ。
日本の原価率は店舗があるのに35%らしいじゃないか。
野外のめでたい席に乗り込んでくるほど、当局も野暮じゃない
〇日本産"偽装”の隠れ蓑
武漢の苦労人社長と筆者は、かつて『上善如水』を呑み交わしたことがある。彼もまた、関税ラベルが貼られていない一升瓶を見て‟裏事情”を理解する情報通である。
その彼が声を潜めてこう話す。
うちと同じ水産会社から海鮮類を仕入れて、上海の高級店に卸している業者がいる。その店は『日本産』を謳っている。
なんでも上海では『Omakase』が流行っているらしい」
 その店をさっそくWechatでリモート取材してみた。その結論――100%黒ではなかったがグレーだった。
 日本産"偽装”の隠れ蓑になっているのは、中国最大の外食口コミサイト『大衆店評』で、昨年あたりからよく見かけるようになったワード「Omakase」だ。日本語の「おまかせ」のことで、料理長に注文を委託するスタイルを指す。 
 筆者が入手した、在中邦人向けフリーペーパーに掲載された中高級クラス日本料理店の広告には、「皆様もご存知の通り現在、規制環境等により日本の海鮮類は価格高騰及び仕入れが難しくなっております」と書かれてあった。
老舗料亭から招聘した日本人の職人が、ふだんは1000元/名前後の「懐石コース」を提供しているが、今月1日から新たに499元/名の「おまかせコース」を提供しはじめたという。
〇「即刻炎上すればいい。ざまあみろ」
Omakaseが人気な理由は、特別感や気遣いにくわえ、提供されるメニューの由縁に沿った食し方を丁寧に教えてくれるストーリ性だという。
当然Omakaseはコースだ。そのなかに1種類でも日本産が含まれていれば、「当店のOmakaseは日本産食材を使用しています」と謳うことができる。
客に「全ての食材か?」と問われれば、ノルウェー産冷凍サバのように、品質が安定しているし脂がのっていて日本産より旨いと説明すれば良い。
「結局たいして日本産は使われていないんだよ。
今回は客が知るいいチャンスになると思う。
味ではまず区別はつかない。
見て分かるのは、大ぶりの日本産のホタテ、甘エビ、ウニぐらいだ。
マグロのトロは、きちんと解凍して下処理してからでないと分からない。 
今回(の禁輸)で日本産がゼロになったときに、嘘をつかずきちんと説明する店がどのくらい出てくるか。
自分の知っているかぎり、中国人オーナーの店は在庫でなんとかやり過ごそうとしている。
もともと日本産ゼロなのに、Omakaseを謳っていた高級店は即刻炎上すればいい。
ざまあみろだ。
口八丁手八丁の悪い連中が考えそうな商売だ。
そういう不届き者は市場から駆逐されたほうが、日本人にとっても有り難いんじゃないのか」(日本料理食材卸会社社長)
〇処理水放出の余波
3万件超の迷惑電話や不買運動など、処理水放出の余波が広がっている。
グレーとはいえ、Omakaseを享受できない層の庶民が“電凸攻撃”をはけ口にしているように感じるのは筆者だけではあるまい。
そうした行為を中国政府が黙認すれはするほど、際立つのは香港の日系回転寿司店にできている長蛇の列だ。
並んでいるのは香港人だけではない。
いまだ中国人の予約でいっぱいな高級店もあるという。
中国政府が処理水海洋放出を新たな「対日カード」にしようとしても、そうやすやすと“問屋が卸さない”というのが実情だ。
取材・文:roadsiders 路邊社



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