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【クマの駆除はかわいそう?】クマ被害はなぜ発生するのか その原因と対策を3段階で解説#2024年5月29日#渡辺好明

2024-05-31 13:57:20 | 連絡
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渡辺好明 (わたなべ・よしあき)
 新潟食料農業大学学長
1945年生まれ。79歳。
68年3月、東京教育大学文学部卒業し、同年4月に農林省入省。
水産庁長官、農林水産事務次官、内閣総理大臣補佐官、東京穀物商品取引所理事長などを歴任。
2018年4月に新設された新潟食料農業大学で学長に就任した。全国農地保有合理化協会会長も務める。
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北海道・奈井江町では低い報酬額を理由に、猟友会がクマの駆除要請を受けないと表明した。
クマの目撃や被害は北海道だけでなく、秋田や神奈川など全国に及んでいる。クマによる人身被害が増えている一方で、最近では駆除に対しても賛否両論の意見が巻き起こっている。
 クマによる被害を出さないために、短期的あるいは長期的にはどのような対策があるのだろうか。そもそも、熊だけが悪者なのだろうか。
2023年12月15日に掲載した『相次ぐクマ被害に今からできること』

を再掲する。
2023年は、クマによる人身被害が4~11月の合計で200件超と、例年の2倍以上になっていた。
また、12月に入って、本来は冬眠に入るはずのクマが依然として出没し、目撃のみにとどまらず被害も続いている。
上旬には、相模原市の樹林に設置したシカ、イノシシ用のワナにクマが掛かり、暴れたため結局「殺処分した」と報じられている。
地球温暖化
5/31(金)#小満11日#満月8日#お台場海浜公園 ・釣り場#タチウオ#お台場ビーチ・ライブカメラ
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/61023d63073ca0fe2fc8cb94c3657ab9

でクマがそのまま越冬できるようになり、今後は(冬眠しない)「穴持たずクマ」も出るだろうとの観測も流れている。
 このところのクマ被害発生の背景、原因、そして、短期、中期、長期の対策を探ってみよう。
〇世間で取り沙汰されるクマ対策の誤解
秋田県のケースでは、捕獲したクマについて「県の管理計画」に基づき駆除したところ、役場などに1500を超えるメールや電話が殺到した。
「逃がしてほしい」「子グマの駆除はかわいそう」「なぜ殺した」などの抗議が多数だったらしい。
 《生かして山に戻すべきだった》というのだろうが、賢明な判断か。
著名な登山家に言わせると、「クマが人里に現れて農地や家庭の食物をあさり、ときに人畜を襲う。
これに味をしめたクマは、捕獲して山に戻しても必ず再び里に現れる」そうだ。
 人里の経験のないクマには、「里や人間は怖いもので近づいてはいけない」と知らしめ、ひとたび捕獲したクマは、殺処分して肉、毛皮、漢方薬原料に有効利用するのが正しい方向だ。
感情論では問題は解決しない。
生態系への影響など、かえって《より悪い状態をもたらす》ことにもなる。
本来、生物は、環境とかかわりを持ちながら一定の生態系のバランスの下にすみ分けている。
それは、肉食獣、草食動物、雑食動物、森林の植物など全体バランスに関わるものである。
環境団体も、いまでは「ドングリ運び」活動をしていないと伝えられるし、環境省も勧めていないと聞く。
 自然環境によって規定されている生態系を崩すとどういうことになるのか。
人類学者の今西錦司
 
は、ほかの大陸と切り離されている豪州の有袋動物(カンガルーなど)を例にとり、
「他の大陸からのより進んだ哺乳類が侵入すれば、滅亡するだろう」と述べている。
エサとなる動植物の環境も同じである。
〇当面の対応策
 私たちがすぐにでもやらなければならない対策はまず、ほかの野生動物も含めて給餌をしないことである。
クマの嗅覚は数キロメートル先の匂いをかぎ分ける。
クマが生息する森林のハイキングコースなどで他の野生動物に給餌することも、クマに里の味を覚えさせることにもつながる危険な行為である。
 米国の国立公園では、レンジャーが徹底して給餌を取り締まる。
ここは人間の責任にかかる分野なので、場合によっては罰則付きの厳しい規制も必要になるだろう。
食べ物を捨てても、野外に保管もしてはいけない。
かつての登山仲間から聞いた話だが、北アルプスのキャンプサイトで、ある大学のパーティーが野営した。
睡眠用テントと食料用テントを分けて一夜を過ごしたところ、翌朝、食料用テントだけがすっかりクマに荒らされていたというのだ。
食料を持ち込まなかった人間のテントにはまったく被害はなく、胸をなでおろしたそうである。
繰り返しになるが、
人や家畜、里の食物の味を覚えたクマは、
山に戻しても、必ず再び里に来るのである。
決して味を覚えさせてはならない。
また、基本的には、クマのテリトリーに入ってはいけない。
避けられない場合で山中に入るときは、ラジオ、鐘・鈴など大音声を出すもの、クマよけスプレー、煙火などを必ず携帯する。
ちなみに、筆者の自宅がある長野県の安曇野地域では、
秋になると、ホームセンターに、これらのグッズが販売される。
穂高山中にあるホテル(穂高ビューホテル)では、「山道を散策する場合に備えて鈴のついた杖」を貸し出す。
そして、最も大事なことは、かわいいからといって、
子グマには近寄らない。必ず母グマが近くにいる。
子グマは、おとなしくない、かわいくない。「森のクマさん」は忘れ、
「子グマと温泉混浴」も止めて、野生動物と距離を置く。  
〇中期的には
急がれるのは緩衝帯の整備(ゾーニング)である。
手入れされていない里山林、耕作放棄された農地がクマの隠れた行動を助長する。
 これは、見通しをよくし、クマからも、人間からも姿が見えるようにすれば、警戒心の強いクマは、里に近づかない。
また、場合によっては、大家畜である肉牛の放牧も効果があるだろうし、
雑草除去の点からはヤギの活用もよいと思うがどうか。
 賢いクマは、雑草木に紛れて行動する。
長野県松本市に近い高瀬川では、北アルプス山中のクマが高瀬川の河川敷を下ってきたケースもある。
人と里の怖さをクマに覚えさせるには防護柵(二重電気柵)も必要だろう。
クマは、群れではなく家族単位で行動する(リーダーがいない)。犬の吠える大声は有効ではないか。
 サル害対策として、長野県の大町地域では、「モンキードッグ」の取り組みがある。
里に近づいてくると犬の群れが吠えて山に追い返すのだが、
このような手法は取れないか。
猟犬ではなくて、ごく普通の犬を訓練で教育できると聞いている。
 〇長期的には森林の生態系回復が不可欠
して、
①まずなによりも、森林の環境、動物の生息・行動状況を把握していなければ、対策の打ちようがない。
クマは北海道にヒグマが1万頭、九州を除く本州、四国に4万頭超(世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン))といった程度ではなく、
もっと詳細な情報が欲し い。
クマは立木などに体をこすりつける習慣を利用して遺伝子を採取したり、
GPS
〇自助・共助・公助=見守りキーホルダー+デジタルキーホルダー#位置見守り機Family Dot 【本門寺公園】周回検証例
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/b892dae6feba6429fbac55120d369c00

を使ったりできないか。
そのようにして把握した情報で「鳥獣保護管理法」の管理鳥獣に指定し、計画の策定、費用の助成、ハンター育成などを進めるのだ。
この冬のうちに、
環境省において、管理鳥獣への指定(計画と捕獲・と殺への費用助成など)が検討されることになった。
ハンターの育成にも助成が必要だし、若者層の参加も望ましい。
スギ、ヒノキなどの針葉樹単相の育林が進み実のなる広葉樹林づくり(針葉樹との混こう林化)が忘れられた。
おそらく相当長期にわたるだろうが、将来を見据えて森の形を徐々に変え、動物と人間が共生できる地域社会、豊かで優しい循環型・持続型の生態系に戻さなければならないと考える。
 これには時間がかかるが、やりがいのある事業だ。
日本初の林学博士・本多静六
 
が計画した「神宮の森づくり」は、100年後を想定して始まり、見事に実現された。
いまからでも決して遅くはない。

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