風景写真春秋

残日録代わりの風景写真です。
もちろん「日残りて、昏るるに未だ遠し」という意味合いです。

想い出の風景 ベンガラの町・吹屋 岡山県

2019-08-23 | 山陽
 岡山県高梁(たかはし)市吹屋(ふきや)の重要伝統的建造物群保存地区です。
 吹屋は江戸時代以降、銅山とベンガラで栄えた町です。
 銅山は特に大正時代には、わが国三大銅山のひとつに数えられるほどの盛況ぶりでした。
 その銅鉱石ともに硫化鉄鉱石が産出し、それを原料とするベンガラが盛んに生産されました。
 ベンガラは防腐塗料や陶磁器の絵付けに使われる赤色顔料のことで、吹屋のベンガラは特に質がよく、重宝されました。
 なお、ベンガラとは、江戸時代にインドのベンガル地方で産したものが輸入されたことから、そう呼ばれています。
 吹屋は銅山とベンガラ製造で栄えた歴史的な町並みが見事に保存されています。
 私は1993年に来て以来、2度目です。

①吹屋の町並み。
 瓦は赤褐色の石州瓦、壁にもベンガラを混ぜた赤壁が使われていたり、格子戸などもベンガラが塗られていて、赤い独特な町並みが形成されている。
 初めてここへ来た時は本当に驚いた。
 中国地方の山中に突如現れた奇跡の町並みと思った。
 今から20数年ほど前、福島県の大内宿へ早朝行った時も同じような感慨を覚えた。「まだ、日本にこんなところがあるのか」と。














⑥硫化鉄鉱石が原料などというと有害物質と思われそうだが、様々な処理を経て人体に無害で安全であり、耐水性、防腐性、防虫性などにすぐれている。
 ベンガラを使った土産物も見られた。


⑦もちろん、ベンガラ色だけでなく、銅とベンガラで得た富により、白壁や凝った意匠の建物も多い。





⑨このベンガラ色の町並みには、郵便屋さんの赤いバイクがよく似合う。


⑩ここへ来る前に、寄ってきた広兼邸。
 江戸時代末期に銅とベンガラで巨万の富を得、この城塞のような豪邸を築いた。
 あいにく改修中で内部には入れなかった。
 映画「八つ墓村」のロケに使われたらしい。