2024/4/14付ブログ記事「敦賀駅東西連絡バスの実際の運行状況について」の続報です。
2024/4/13付で、NEWSポストセブンのサイトに「北陸新幹線が延伸した敦賀駅 乗換問題だけでなく「東西自由通路なし」も今後の課題」という記事が掲載されました。敦賀市の担当部署のコメントを中心に、この記事を解説します。
1.敦賀駅東口と西口の間の徒歩経路
敦賀市観光部新幹線誘客課の担当者によれば「回り道は徒歩で約20分かかります」とのことで、記事のライターも実際に歩いたそうです。この回り道のルートですが、さすがに2024/4/15付ブログ記事「敦賀駅の東西を徒歩かつ無料で行き来する方法について」で紹介した駅南側の河川併設の鉄板敷き歩道を通るルートではなく、駅北側の踏切を渡るルート(2024/4/14付ブログ記事で敦賀駅が自動車での東西移動経路として「比較的空いています」と推奨したルート)と思われます。北側ルートの歩行距離は1.5km程度と推測されるため、「約20分」は妥当な線ですね。南側ルートの歩行距離はこちらよりやや短い1.3km程度と推測されますが、道路状況を考えるとそれより時間がかかりそうですし、もしライターがこちらを歩いたのであればもっと強烈な表現になっているはずです・・・
2.観光客やビジネスマンが敦賀駅東口に降り立つ理由
記事には「観光客や来街者が東口側へ足を運ぶことは考えづらいが、出口を間違って駅を出てしまう観光客もいるだろう。また、東口で用事を済ませて時間が余ったから街をぶらっと散策してみようと考えるビジネスマンだっている。」とあります。
実際、東口の南方にある(株)日本ピーエス<コンクリート橋などプレストレストコンクリート構造物の専業大手>の事業所は本社兼工場であり、来訪者は少なからずおられるものと思われます。本社へのアクセス手段は「敦賀駅よりタクシー 5分 徒歩 10分」とありますが、新幹線開業前はどんなふうに記載されていたのでしょうね? さすがに、来訪者に河川併設の鉄板敷き歩道を通らせることは困難だったはずですから・・・ また、初日に敦賀駅東口で聞いた限りでは「東西連絡バスの利用者の半数程度は間違って東口に降りてしまった新幹線客」だったようです。
3.東西自由通路ができなかった理由
もちろん敦賀市としては東西自由通路の必要性は認識していましたが、駅の構造上長さは約300mにもなり、整備費だけでも最低で50億円との試算が出され。市議会でも費用対効果が薄いとの結論になったため整備を見送ったとのこと。
4.東西連絡バスの利用実績
記事によれば、3月の集計では1日あたりの利用者は多い日で150人を超えていたとのことです。ただ、8時から20時まで20分間隔で運行したとすれば1日あたり36往復なので、1便平均にすれば2人強にしかなりません・・・
5.JR西日本への改善要望
敦賀市としては、「工費の問題で自由通路の開設が難しいのなら、(不正防止のため)IC乗車券利用に限り改札内で東西の行き来ができるようにしてほしい」とJR西日本に要望しているそうですが、JR西日本側は「システム改修にかかる費用と実際の需要がつりあわない」との見解のようです。
ちなみに、JR西日本の西宮駅(当時西ノ宮駅)では、平成一桁の時代まで南北自由通路がなく、一般市民が駅構内の通路を通って南北を通り抜ける際には、便宜を図って「北口駅舎と南口駅舎にそれぞれ置かれた通行証を取って駅係員に見せれば無料で通行できる<通行証は通り抜けた先の改札で返却>」という運用を行っていました。
http://blog.livedoor.jp/nainen60/archives/66651640.html
ただ、2024年時点で新たにこのような運用を始めることは(地方の小規模な鉄道会社であればともかく)JRグループレベルではコンプライアンス上許されないはずです。また、交通系ICカードはもともと入場券としての利用を許容しないのが前提でしたが、JR東日本は2021/3/13からこれを許容するサービス「タッチでエキナカ」を開始しており(’もちろん入場券相当の金額がカード内から引き落とされます)、このサービスを導入していないJR西日本でも「入場と出場が敦賀駅の異なる改札であれば、特別に引き落とし額ゼロで出場できる」の機能を追加するシステム対応は十分可能と思われますが、やはり「システム改修にかかる費用を全額敦賀市が負担する」くらいの思い切った策を取らないと無理?