関連ブログ記事・・・2023/10/15付「2023/11/17~23に、六甲山・摩耶山をスムーズで快適に移動する交通社会実験開催」
上記交通社会実験の開催内容とその背景については、2023/9/11に開催された「第7回 六甲山・摩耶山の交通のあり方検討会」の資料に詳しく掲載されています。
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/47852/20230911_document.pdf
そして、この検討会では、「山上へのアクセス案について」も議題に上がっています。
東側の六甲ケーブルは十分な輸送力を備えていますが、西側のまやビューラインは輸送力が小さくかつ途中でのケーブルカーとロープウェイの乗り継ぎが必須であり、以下の3つの改善案が提示されました。
A案=既存の摩耶ロープウェーの搬器を大型化
B案=既存のまやビューラインと概ね同位置にロープウェーを架け替え
C案=ハーブ園⼭頂駅から掬星台の区間にロープウェーを新設
A案は、現在1つの搬器に29人しか乗れないのを52人乗りに置き換えるもので、費用は新たな用地取得が不要なこともあり約55億円(整備費が約45億円、撤去費が約10億円)と他の2案より低廉です。但し、既存路線撤去後に新線を建設するため工事による⻑期間の運休が発生するほか、虹の駅(ケーブルとロープウェイの乗り換え駅)付近には車の通れる道路がないため資材の搬入などが難儀になります。
B案は、現在のケーブルカーの山麓駅<摩耶ケーブル駅>付近と山上を直接結ぶロープウェイを架設するもので、途中の乗り換えが不要になります。ロープウェイは複式単線⾃動循環式(定員18人のゴンドラを数十個設置して循環させる)を想定しており、最大輸送力は約800⼈/時と現在の倍以上となります。但し、費用は約130億円(整備費が約117億円、撤去費が約13億円)と巨額になるほか、A案同様のデメリット(工事による⻑期間の運休、虹の駅付近のアクセス)があります。
C案は、新神戸駅近くと布引ハーブ園を結んでいる神戸布引ロープウェイの山頂駅と掬星台(ロープウェイの山上駅「星の駅」付近)を結ぶロープウェイを新たに架設するものです。新設するロープウェイは神戸布引ロープウェイ同様複式単線⾃動循環式を予定しており、最大輸送力はB案と同等で、費用は約90億円を予定しています。ただ、約7,540㎡の用地取得が必要なほか、⾃然公園区域(第1種特別地域・特別保護地区)でのロープウェー新設は環境省の運⽤上認められていないため、特例を求めるための対応が必要となります。
資料では事業採算性も試算されていますが、前提は「建設費に関しては事業者負担なし(公設⺠営)、建設費の償還や固定資産税等は発生しないと仮定」となっており、A案とB案は億単位の赤字、C案は現在の摩耶ビューラインを残す場合は若干の赤字となるようです。
今後開催される検討会でブラッシュアップされていくものと思われますが、どのような結論になるでしょうね?
ちなみに、阪急六甲駅から出ていた六甲登山バスが2022年限り廃止された(2023/3/6付ブログ記事「六甲登山バスは90年以上の歴史に終止符を打ちました」参照)ことにより、六甲山上への路線バスによるアクセス手段は消滅しました。昨今の情勢を踏まえるといろいろな意味で復活は困難で、この検討会での議題に上がることも当面ないかも。