関連ブログ・・・2022/7/22付「万博会場への地下鉄とＪＲが接続する弁天町駅やその周辺には、何も動きなし」、2022/9/8付「廃止8年半後の弁天町バスターミナル（旧大阪市バス）の様子」
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は10月17日、「大阪・関西万博来場者輸送具体方針（アクションプラン）初版」を発表しました。
https://www.expo2025.or.jp/wp-content/uploads/221017_raizyousyayusougutaihousin.pdf
会場となる埋立地「夢洲」へのアクセス手段は橋とトンネルの2本しかないことから、原則は公共交通機関によるアクセスとし、どうしても自家用車利用でないと・・・という場合も夢洲への
直接の乗り入れは認めず、舞洲・尼崎・堺に会場外パーク＆ライド駐車場を設け、そこからシャトルバス連絡で会場へという方式を取ります。
公共交通のメインルートはもちろん会場に直接乗り入れるOsaka Metro中央線ですが、これだけでは足りないので、他に以下の4種類の手段を用意します。
１． JR桜島線（愛称：JRゆめ咲線）の終点の桜島駅から会場へのシャトルバス
会期中はJRゆめ咲線の本数を現在の1時間あたり9本から最大12本にまで増便し、シャトルバスは70台を準備して1時間あたり最大91便の運行を予定しています。
２．工事中の阪神高速淀川左岸線（２期）を暫定的に経路として利用するシャトルバス
発着点は大阪駅・新大阪駅・中之島の3か所となっており、それぞれ1時間あたり最大10便・12便・7便の運行を予定しています。
３．主要鉄道ターミナルからのシャトルバス
資料には「鉄道各社の特急列車と連携する等のターミナル駅からのシャトルバスを９路線設定する」とありますが、便数がはっきりしているのは以下のみです。
上本町（1時間あたり最大4便）、天王寺（同3便）、堺・堺東（同4便）、尼崎（同5便）
他に難波については「調整中」とあり、弁天町については駅名だけが書かれており便数は書かれていません。
４．空港からの直行バス
関西国際空港・大阪国際空港から、いずれも1時間あたり最大9便の運行を予定しています。
以上のことからいえるのは、「博覧会協会は、弁天町駅を大阪・関西万博アクセスの結節点として認識していない」ことです。資料でも、弁天町駅での大阪環状線とOsakaMetro中央線との乗り換え時の混雑対策に関しては一切言及されていません。したがって、2025年までに駅の改良工事や駅周辺の再開発が行われる可能性は相当低くなりました。
ただ、奈良方面からのJR大和路快速、泉州・和歌山方面からのJR関空・紀州路快速は、JRゆめ咲線の乗換駅である西九条駅の前に、弁天町駅に必ず停車します。JRゆめ咲線経由だと桜島駅でシャトルバスへの乗り換えを余儀なくされるのに対し、OsakaMetro中央線に乗ればそのまま会場近くまで連れてってくれるわけで、会期中は実務レベルで「いかに弁天町駅における大阪環状線とOsakaMetro中央線との乗り換え客を少なくして他に誘導するか」が重要視されることでしょう。
そして、もう1つ気になるのは「桜島駅でのシャトルバスの発着スペースをどうやって確保するのか」ですね。
シャトルバスは1時間あたり最大91便の運行を予定しており、乗客・シャトルバス双方の待機スペースを相当確保せねばなりません。しかし、2001年のＵＳＪオープンの頃には空き地が広がっていた桜島駅付近の海側はホテルなどが立ち並び、駅直近でまとまったスペースは阪神高速5号湾岸線の高架下（駐車場や資材置き場として使われている）程度しかありません。桜島駅前のストリートビューの過去画像を見ると、駅の海側は2016年7月の時点までは駐車場だったのが2017年10月の時点では柵で囲われホテルの建設が始まっています。ちなみに、万博の開催決定は2018年11月23日ですが、2016年7月の時点ではほぼ夢洲が会場ということで固まっていました。
そして、桜島駅の1つ手前はユニバーサルシティ駅です。ＵＳＪは万博会期中も普通に営業するはずで、両方の来場客が重なるとJRゆめ咲線の超混雑が予想されますが、資料では一切言及されていません。
