本ブログで再三取り上げている那覇~久米島間の高速船航路で運航会社「久米島オーシャンジェット」が使用予定のジェットフォイルは、JR九州高速船が博多~釜山間の航路で運航していた「ビートル」のうち1隻です(2023/8/15付ブログ記事参照)。
JR九州高速船は1991年にこの航路でジェットフォイルの運航を開始し<2005/9/30まではJR九州本体による運航>、一時は4隻体制にまで拡大していましたが、コロナ禍により2020年3月以降は全便運休となってしまいました。同社はコロナ禍以前からオーストラリア製のジェットフォイルではない高速船「クイーンビートル」の導入を決めており(2020年秋に同社に引き渡し)、その代替としてこの時点で保有していたジェットフォイル3隻を全て売却する方針を決めています。
https://mainichi.jp/articles/20201201/k00/00m/020/379000c
このうち1隻については、久米島町が那覇~久米島間の高速船航路に導入を検討している旨の報道が2021/2/9付であり、
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1269620.html
上記ブログ記事で書いたように他社のジェットフォイルを借りてきての実証実験試乗会まで開催したものの、最終的に2022年3月に「採算が取れず導入は厳しい」という結論が出ています。その1年半後に、ビートルを購入して2024/4からの運航開始を企画したのが純民間の「久米島オーシャンジェット」ですが、このブログ記事を書いている時点でも運航開始には至っていません。
一方、「クイーンビートル」は2022/11/4にようやく博多~釜山航路に就航したものの、浸水トラブルを社長の指示で隠ぺいしていたことが国土交通省の抜き打ち監査により発覚して2024/8/13以降運航休止に追い込まれています。
https://www.jrbeetle.com/news/1832/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC13ABR0T10C24A8000000/
売却の方針を決めていたジェットフォイルが1隻でもJR九州高速船の手元に残っていれば暫定的にこちらを再起用することも考えられますが、一連の報道で全く触れられていないことからすると困難なようです。一方、その3隻が本当にどこに売却されたかの情報も一連の報道の中にはなく(本件と久米島オーシャンジェットを関連付けた報道も見当たりませんし)、ネット上にも確度の高い情報は見当たりません。
調べた限りでもっとも具体的な情報は、X(旧Twitter)の2024/5/9付のポストです。情報源はポスト時点の各船舶の登録事項証明書となっています。
https://x.com/tm741_/status/1788483384001679403
ビートル(信号符字JM5969)・・・JR九州高速船のまま
ビートル二世(信号符字JM6076)・・・九州郵船<博多~壱岐・対馬航路でジェットフォイルを運航>に移籍後解撤抹消(=スクラップ化)
ビートル三世(信号符字JM5862)・・・JR九州高速船のまま
このポストの内容は、同時に「ビートルが少なくとも2024年GW明けの時点では久米島オーシャンジェットの所有になっていない」ことも意味します。
ジェットフォイルは特徴的な形をしており、日本国内に存在するのであれば目撃証言があってもおかしくありませんが、いったいどうなっているのでしょうね?