その2の続きです。
3.美章園駅から阪神高速14号松原線との交差部まで
美章園駅から長居公園北端にかけては、阪和線が阿倍野区と東住吉区の境界線(東側が東住吉区)となります。
基本計画検討案では、美章園駅から阪神高速松原線との交差部にかけては「阪神高速計画跡地をほぼそのままみどりの空間として整備」となっており、新たな車道は阪和線との境目に1車線分が作られるのみです。そして、敷地を横断する道路の半分は「みどりの空間を連続させるために廃止」としています。沿線住民にとっては環境面で大幅にレベルアップしますが、それは計数化し難い(強いてあげれば土地価格の上昇ですが、そこに住み続ける住民にとっては固定資産税がアップするだけでマイナス効果)ですから、費用対効果を考えるとよほどの富裕自治体でない限り着工の優先順位は相当低くなることでしょう。
立ち退きに応じなかった美容院の南側は、基本計画検討案では駐輪場となるはずがただの空き地のままです。
用地買収に応じなかった民家が1軒ポツンと残ります。玄関側を見る限り、空き家ではなく現在も居住されているようです。
天王寺駅から続いた阪和線の古びた高架線はこのあたりで終わり。以南が、阪和線と阪神高速の2階建てで計画されていた区間になります。
この出っ張りは、かつて阪和線がここから地平に降りていた痕跡です。JR化後に高架化された区間の高架下は基本的に柱が立ち並ぶだけで、駅部分を除くと一部が駐車場や集会所として使われている以外は未活用です。
阪神高速14号松原線との交差部(この付近は基本計画検討案では空白状態)を北側から望む。6車線の阪神高速泉北線の分の幅が余裕で確保されていることがわかります。ここでは高速道路が単に立体交差するだけで、ジャンクションの計画は終始一貫してありませんでした。
(つづく)