竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

憲法9条と自然エネルギー

2007年10月07日 | Weblog

いよいよ今日は10.7「平和への結集」シンポの日です。「改憲」を公然と目標に掲げた安倍内閣が自壊し、時代は少し緊張感が薄れたような雰囲気ではあります。そんな中での、今日のシンポ、少し時を得た平和派市民がここで何をしなければならないか、何ができるか・・の姿が見えるシンポになるのではと期待しています。

今日のタイトルは、私が課題としている二つを並べました。憲法9条というのは、単に戦争反対とか自衛隊違憲とか、そういうことだけではなく、世界中の国々が戦争をしないで助け合いながら共存する社会システムとは何か・・ということを追求し続けるということを意味しています。

自然エネルギーとは原発反対からはじまって、では私たちの社会生活や産業経済を維持するためのエネルギーをどう確保するのかという課題への解としての取り組みです。現状のエネルギー浪費型をそのまま肯定するのではなく、これも貴重なエネルギー資源と共存する社会システムとは何か・・ということの追求になります。

いま世界で起こっている大きな紛争のほとんどは、その原因をエネルギー問題に発しているともいえます。イラク戦争はまぎれもなく、中東で自立をめざした一大産油国とアメリカの石油メジャーの闘いですし、ロシアのチェチェン紛争はカスピ海の石油をめぐるロシアと欧米の奪い合いが背後にあります。

日本近海の竹島紛争や北方領土問題も、東シナ海の油田開発とサハリンの天然ガスが絡んでいます。宗教対立だとか、民族対立だとか言われている問題のその裏側をよーくたどっていくと、実はエネルギー問題がある。世界はオイルをめぐって睨み合っているともいえるのです。

そのオイルがいよいよ十数年後には本当に枯渇します。十数年前から十数年後・・といわれていたので、にわかに信じない人が多いのでしょうが、私が以前にこのブログで書いたピークオイルの問題は急速に世界のトップテーマになりつつあります。地球温暖化問題と並んで、マスコミ各社がピークピル問題の特集を組みはじめる日も、そう遠くはないと思います。

奪い合っているオイルがなくなるのです。その奪い合いは当然激しさを増すでしょう。しかし、なくなれば奪おうにも奪えません。もう遠くないその日をめざしてオイルからの脱却・転換を果たした国が、おそらく50年後、100年後の世界の覇者となっているのだろうと思います。

日本はこの脱却を1970年代に原子力に託しました。いや、その頃は世界中の先進国がそうでした。実はその背後には、軍事用に開発したウランの生産ラインを維持するための民生用需要を作り出すという壮大なからくりがあったわけですが。そういうご都合主義的な技術ですから、当然「不完全」、ウランの消費だけならオイルより寿命は短いし、ウランからプルトニウムを生産して使うという技術を人類が獲得するには早すぎました。高速増殖炉によるプルトニウム再生産のサイクルが経済的に成り立つようになるのは、早くても100年後・・というのが現実です。それでも無理かなと、私は思っていますが。

したがって世界各国は原子力から撤退し、別の道を探しはじめました。先進国の中では日本だけが頑なにこの道にしがみつき、原子力技術の「売り先」を求めていた欧米企業の甘い話にだまされた中国、インド、韓国、台湾などの途上国とともに原発路線を走っています。もっともこれらの国々は、核兵器開発も念頭においての話ですが・・。

日本は「走っている」といっても、繰り返し明らかになる事故隠しやトラブル、そして能登半島沖と柏崎刈羽直撃の二つの地震などで、ほとんどが停まっている「役立たず」状態にあります。原子炉機器の老朽化によるひび割れが見つかれば、安全基準を見直して維持基準などというひび割れていても運転できる制度を作ったり、制御棒が入らないというトラブルを起こし臨界事故まで起こして知らん顔していた電力会社に運転免許取り消しもせず、今度の地震では原発の想定地震を数十倍は大きくしなければならない活断層を意図的に切り刻んで小さな断層として安全審査を通していたことが発覚をしました。安全にたいする「危機意識」がないのです。

原発路線を続けるのであれば、危険と同居するしかなく、それを隠すには以上のようなことになるのでしょう。欧米各国は、この危険な道は経済的にリスクが大きいと判断して撤退したのです。ブッシュのアメリカは再び復活のように報じられていますが、民主党に政権が変わればまた凍結でしょう。

世界の先進国の大多数が選択したのが自然エネルギーという解です。日本政府はそれを取らない世界の少数派だということは知って置いてください。いまや中国も韓国も、世界の体制にならって、急激に自然エネルギー推進の法整備を始めています。日本は太陽光発電で世界一の座をドイツに奪われましたが、中国や韓国に追い抜かれる日も、そう遠くはないでしょう。

世界中がオイルをめぐる争いから脱却するための解もここにあります。日本が国内で消費するエネルギーの大部分を、地産地消の自然エネルギーでまかなえるなら、北方の天然ガスや東シナ海の石油にこだわる必要もありません。それどころか、技術的にはまだ日本は自然エネルギーの先進国です。日本企業は、太陽光発電だけでなく、省エネや廃熱利用やさまざまの分野で技術を持っています。中国をはじめとするアジア各国は、その巨大なマーケットであり、日本政府が後押しするなら、その「特需」を日本が獲得できるかもしれないのです。

オイルではなく、自然エネルギーによる紛争解決。これこそが憲法前文にある「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占める」ことではないのでしょうか?憲法9条が求めるように、「武力による威嚇または武力の行使」によるのではない「国際紛争の解決」を実現できるのではないでしょうか?

憲法理念の実現、憲法9条を守る・・を超えて実現することを、日本政府も日本企業も、そして市民も一緒にやればできるのであるということを強く訴えたいと思います。



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