竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

森林バイオマスの可能性

2006年11月26日 | Weblog

今日は岡山にいます。昨日開かれた「地球の温暖化対策先進事例報告・交流集会」に招かれて、飯田市での自然エネルギー・省エネルギー事業の報告をしました。その前日には、岡山県真庭市にある銘建工業まで足を伸ばしました。木質バイオマスペレットを日本で最も大量に安定的に生産供給しているところです。

というわけで、今日は「エネルギー」の話です。皆さんは「ピークオイル」という言葉はご存知でしょうか?石油=化石燃料が二酸化炭素を放出し、地球を温室のように覆って、熱を逃がさず、地球全体が暖かくなってしまう・・というのが地球温暖化。その石油が、実は生産のピークをむかえていて、今後は減るのみで、その影響が現れるのは遅くても10年から30年後・・というのが「ピークオイル」の視点です。

ピークオイルはすでに2005年にむかえたという見方もあります。石油企業や産油国が、埋蔵量や確認埋蔵量について正しいデータを公開していないということが背景にあります。石油が地球上にどれだけ存在しているかは、石油探査ではなく、地球の歴史の中で石油が生み出されたある短い時期(数万年はあるでしょうが・・)から逆算すれば出るという考え方もあります。

大方の味方は、地球上の90%から95%の油田ははすでに発見されていて、今後はどんなにお金をかけても、もうサウジアラビアやイランのような大きな油田は発見できないだろうというものです。オイルシェールやオイルサンド、また天然ガスのメタンハイブレードがあるとする人たちもいますが、コスト的にも技術的にも見合うと考えているのは、ほんの一部の(現実を直視しない)人たちです。

詳しくはジェレミー・レゲット著「ピークオイル・パニック」をお読みください。

そんな時代にあって、木質バイオマスは救世主となるかも知れません。木質バイオマスとして燃やして燃料にするだけではなく、実はマテリアルなんだという話を銘建工業で教えられました。セルロースやレーヨンなど、実は木からプラスチックや衣類がつくれる・・。いま、石油がやっていることを森林が担うかも知れないのです。

銘建工業は建材会社です。北欧の木材を輸入して、梁にも使える強度のある集成材に加工して全国に販売するのが本業です。その切れ端を廃棄物として処理するとお金がかかるので、燃料として燃やしていた。どうせ燃すのならと発電をはじめた。そうすると工場の電気はほとんどまかなえるようになり、それでも燃やしきれない切れ端が残った。それを売り物にできないか・・とバイオマスペレットに加工しはじめた。そういう経緯です。

もともと高邁な理想や、目標を掲げてはじめたわけではありません。「私たちはビジネスですから」と何度も強調されていました。しかし、そのビジネスのために、ボイラーメーカーを説得して「木質バイオマスボイラー」を開発させ、各種のユーザーに働きかけて、石油からペレットへと燃料転換をさせるという努力を、おそらくどこの誰よりもやってこられたのだということが話を聞いていてわかりました。

ペレットを作っても需要がなければ何にもならないわけですから。そういう努力の積み重ねの中で、「木はマテリアル」という大胆な発想転換が生まれてきたのです。荒れて放置され、また地球温暖化が原因の台風・大雨によって中国山地の森林は杉が根こそぎ束になって倒れるなど、山は惨憺たる有様でした。エネルギー源だけでなく、いろいろな素材に活用されるようになれば、この山も100%生かされるようになる・・。そんな希望を与えてくれた銘建工業訪問でした。

 宮崎駿の世界を連想させる銘建工業の発電炉

  出荷前のペレット(600kgのフレコンバック)



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2 コメント

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ピークオイル・パニックの紹介ありがとう (竹村英明)
2006-12-17 10:38:14
「ん!」さん
トラックバックでの、『ピークオイル・パニック』の本の紹介ありがとうございます。
この本が、どんどん読まれることは即ち、ピークオイル・パニックが早くやってくるということで、なかなか厳しい状況ではありますが、でもたくさんの人に読んでもらいたいと思います。
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Unknown (SGW)
2006-12-20 09:09:50
 挨拶をしませんで失礼しました。
「ん!」のブログの左端のリンク集の内の、関連のブログをまとめた中に、竹村さんのこちらのブログもリンクさせていただいています。
よろしくお願いします。
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