・・・略・・・
アニタ・ディレックスとエレン・ヘツフーンのDESに関する報告書によれば
FDAはこの薬剤を売り出す原動力になったという。
最初 FDAの役人たちは 製薬会社からの検査データーに満足しなかった。
個々の製薬会社から販売許可申請は却下され 今度は合同申請が行われた。
約18か月後 DESによる治療の成功率例5000件以上まとめた
大がかりな研究データーが FDAに報告された。
今度は FDAの役人たちはほんの数週間で提出されたデーターに納得し
DESの商用使用を認可した。
興味深い事に DESの認証にかかわったあるFDAの役人が
後にDESを製造した有力製薬会社の社長になった。
早くからエストロゲン療法の発がん性が警告されていたにもかかわらず
FDAはDESを承認した。
1930年代に フランス人化学者ラカッサーニュは エストロゲンが
オスのマウスに乳がんを誘発させることを立証した。
おそらく この発見に関する論文はフランス語で書かれていたために
あまり注目を集めなかったのだろう。
しかしながら 性ホルモンが癌と関連していることを示す手掛かりは
これだけではなかった。
卵巣を摘出した女性は エストロゲンにさらされる機会がなく
ほとんど乳がんにかからないことはすでに知られていた。
だが こういった初期の警告は FDAの決定には影響しなかったらしい。
今にして思えば 動物実験はほとんど行われなかったと思われる。
女性そのものがモルモットにされようとしていた。
悲劇は起こるべくして起こったのだ。
その後の10年間 この薬は大量に使用されている。
最初は 閉経期のエストロゲン値の低下を補い
更年期症状を和らげるために使われた。
つぎに 大量のエストロゲン投与が乳の分泌を抑えることや
避妊薬としての効果が発見された。
「性交後に服用するピル」だ。
乳がんや前立腺がんの治療にも使われた。
「驚異の薬」の現実離れした宣伝が広められた。
エストロゲンが成長を促進することから
いくつかの国々では 育毛トニックや
性力増強のための「セックス・ピル」にも使われた。
農業の分野でも その効果は絶大と信じられていた。
1950年代初期には DESを家畜の体内に埋め込んだり
飼料に混ぜたりして与えることで 家畜を早く太らせ
生産効率を上げることができるとされていた。
DESを与えた家畜の肉は固くなるという研究結果は無視された。
たしかにDESは動物を早く太らせることができ
1950年代初期から 70年代中期まで牧畜農業で使用された。
だが DESが最大の悲劇を生んだのは 妊婦への投与だった。
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