どこまでいきる

  ・✳日本いのちの電話✳・

   0120(783)556
   0570(783)556 

600万人もの妊婦と生まれてきた子供たちへの悲惨な人体実験だった。

2020年04月10日 15時52分03秒 | メス化する自然

 

 

・・・略・・・

 

DESの遺産

DESの例は 意図的ではないものの 

600万人もの妊婦と生まれてきた子供たちへの悲惨な人体実験だった。

とする意見もある。

彼らにとって このできごとは 十分な実験による裏付けのない

女性への薬物投与が招いた悲惨な結末のシンボルとなった。

また この悲劇は科学研究の進展の一過程であり

人間の無知と 学習や進歩のためにはいかなる危険をもいとわない姿勢とを

反映しているという人々もいる。

いずれにせよ DESという薬物の話は今世紀初めに幕を開けた。

 

1920年代 内分泌学と呼ばれるホルモンに関する学問は

まだ産声を上げたばかりだった。

卵巣や精巣などの器官が強力な分泌作用を持ち

それが発生 成長 性別など 健康のさまざまな面を

コントロールしているらしいことは認識されていた。

だが それが実際にどんなものであり どのように作用するかは誰も知らなかった。

これらの不思議な力を持つ有効成分を分離することさえできず

真相は長い間なぞのままだった。

 

そのころ いくつかの民間の研究所が

動物の生殖腺から抽出した画期的な新薬を開発したと大々的に宣伝した。

老化や不妊 不感症 妊娠中の問題 ありとあらゆる病気に

絶大な効果があるとのふれこみだった。

いうなれば 自然の法則に逆らう魔法の薬だ。

動物の卵巣組織からの抽出物に 脾臓や膵臓の組織からの抽出物と思われるものを

少量混ぜ合わせて物が「若さの妙薬」として宣伝された。

 

サルの精巣からの分泌物は 男性の精力剤とされた。

しっかりした化学的基盤によってホルモンを地道に研究する科学者たちにとって

あまりにも楽天的なペテン師達の大騒ぎは研究の進歩を妨げるものだった。

「不完全な研究結果と 夢物語のような仮説でこしらえたものがばらまかれ

きらびやかに変化する万華鏡さながらものがつくられている。

なんでもござれの万能薬とやらが出回っている。

このような神秘主義 ヒステリー 商業主義 軽信などが生んだ

制御不能の波のいきつく先は いったいどんな結末だろう?」

とロバート・フランク教授は 1922年に批判している。

 

結末は科学知識が進歩するにつれ ゆっくりとやってきた。

1920年代に「発情ホルモン」として知られていた女性ホルモンが

すべての哺乳類のメスによって分泌されることが明らかにされた。

これは卵巣から分泌され 卵子の生育を統制する。

だが 誰もそれを分離できなかった。

「理由の一つには その驚異的な強力さのためだった」

と初期のエストロゲン研究にかかわったハリー・ジェリンク教授は言う。

卵巣内のエストロゲンは ごく微量だ。

数ミリグラムのエストロゲンを抽出するとすれば

数十トンもの卵巣が必要だろう。

成分を分離するのは並大抵ではなかった。

当時の科学者たちは必死にそれに取り組んだ。

当時知られていた物質の中で エストロゲンは最も強力だった。」

 

・・・略・・・

 

ドッズ自身は DESがエストロゲンになりすますメカニズムの解明という

純粋に科学的な意味に価値を見出していた。

だが 他の人々は 商業的価値に興味を持っていた。

発見のニュースが外界へ広まると 

これで合成エストロゲンを治療に使えると誰もが考えた。

さらにドッズはいかにも英国人研究者らしく 特許を取ろうとしなかったので

誰もが彼の発見で金儲けすることが可能だった。

エストロゲン療法が有効とされる症状の数が

瞬く間に膨れ上がるようなありさまだった。

ドッズが『ネイチャー』に論文を発表してから二年もしないうちに

アメリカの医薬品規制を管理する食品医薬品局は

十指にあまる製薬会社からDESの販売許可を求められていた。

 

https://www.pinterest.jp/pin/596515913133614847/

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 素晴らしいプラスチックボト... | トップ | 楽天市場のjoyhouseです。←不... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

メス化する自然」カテゴリの最新記事