簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

2020年4月改正 労働者派遣法改正(比較対象労働者の選定方法)

2019年10月20日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



派遣元は派遣労働者に対して

 ① 派遣先均等・均衡方式

 ② 労使協定方式

のいずれかの方式による待遇の確保が義務付けられます。



今回から数回に分けて、①の派遣先均等・均衡方式の一連の手続きについて説明

していきたいと思います。

(派遣先均等・均衡方式の手続きの流れは以下の図の通りです)


      
       ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





上記の図に示した通り、派遣契約(個別契約)を締結する前に、派遣先から

派遣元に「事業所単位の抵触日の通知」を行わなければいけませんが、

来年の4月1日からは、それに加えて派遣先から派遣元に

「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」を行わなければならない

こととなりました。



「比較対象労働者」とは、

 『各派遣契約に基づいて派遣元から派遣された派遣労働者を、派遣先で

  受け入れて業務を行ってもらう際に、その派遣労働者の

   ① 業務内容

   ② 責任の程度

   ③ 人事異動の範囲

   ④ 転勤の範囲

  に最も近い派遣先の正社員』

のことを指します。



この「比較対象派遣労働者」は、派遣先が選んで派遣元に情報を提供

するのですが、選び方は以下の通りとなります

 ① 派遣労働者の「業務の内容」「責任の程度」「人事異動の範囲」

   「転勤の範囲」の全てが同じ派遣先の正社員

 ② ①に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」及び

   「責任の程度」が同じ派遣先の正社員

 ③ ①及び②に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」

   又は「責任の程度」のいずれかが同一の派遣先の正社員

 ④ ①~③に該当する者がいない場合は派遣労働者の「人事異動の範囲」

   及び「転勤の範囲」が同じ派遣先の正社員

 ⑤ ①~④に該当する者がいない場合は、①~④のいずれかの要件に該当

   する派遣先のパートタイム労働者又は有期雇用労働者

   (ただし、これらのパートタイム労働者又は有期雇用労働者

    ついては、派遣先の正社員と賃金額等の待遇に関して整合性が

    図られているものに限る)

 ⑥ ①~⑤に該当する者がいない場合は、当該派遣労働者と同一の

   「業務内容」及び「責任の程度」の業務に従事させる正社員を

   派遣先が新たに雇い入れたと仮定した場合における派遣先の

   正社員

   (ただし、⑥の者については就業規則に規定されており、かつ、

    今現在派遣先で雇用されている正社員と賃金等の待遇について

    整合性が図られている者に限る)


       
         ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます



上記の手順で比較対象労働者が決定したら、次は、派遣元に

その比較対象労働者の情報を提供しますが、提供する内容については、

次回、説明させていただきます。







http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html