簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

2020年4月改正 パートの派遣労働者の場合は比較対象労働者もパート労働者の情報でいいよね?

2019年10月21日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



派遣元が「派遣先均等・均衡方式」を採用した場合、一番大変なのが派遣先から

派遣元への「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」です。



派遣先で比較対象労働者を選定して、賃金等のすべての待遇情報を派遣元に

書面で通知しなければいけません。



比較対象労働者の選定は、前回のブログでもお話ししましたが、派遣労働者の

職務の内容や人事異動の範囲等が同じかどうかで判定していきます。



比較対象労働者の選定の際によく勘違いされるのが、

「パートタイムの派遣労働者の場合は、比較対象労働者もパートタイム労働者

 でいいんでしょ?」


というものです。結論を申し上げるとこれは間違いです。



今回の労働者派遣法の改正は「派遣先の正社員と派遣労働者との待遇に関して

整合性を図りなさい」
というものです。



従って、パートタイムの派遣労働者を派遣する場合でも、「派遣先の正社員」

との整合性を図らなければいけません。




選定の方法は前回お話しした手順に従って判定していきます。

例えば、パートタイムの派遣労働者の業務がスーパーのレジ打ち

業務がメインの業務である場合、派遣先の正社員でレジ打ち業務

がメインの正社員がいれば、その者が比較対象労働者となります。



選定手順に従って、「業務内容」「責任の程度」「人事異動の範囲」

「転勤の範囲」が同じ正社員が派遣先にいない場合は、これらの

要素が同じ「派遣先のパートタイム労働者」や「派遣先の有期雇用労働者」

が比較対象労働者になります。



ただし、この場合も、その「派遣先のパートタイム労働者」や「派遣先の

有期雇用労働者」の賃金額を、「派遣先の正社員」の賃金額と比較して

整合性を図ったうえでないと、比較対象労働者とすることはできません。




また、「派遣先の正社員」「派遣先のパートタイム労働者」「派遣先の

有期雇用労働者」のいずれも比較対象労働者に該当しない場合は、

当該派遣労働者と同一の「業務内容」及び「責任の程度」の業務に

従事させる正社員を派遣先が新たに雇い入れたと仮定した場合における

派遣先の正社員(これを「仮定の正社員」といいます)が比較対象労働者

になります。



ただし、この場合は、「仮定の正社員」の賃金額や就業時間等が就業規則

に規定されており、かつ、今現在派遣先で雇用されている正社員と賃金等

の待遇について整合性が図られている場合に限られます。




先程も申しましたが、今回の労働者派遣法の改正は

「派遣先の正社員と派遣労働者との賃金等の整合性を図る」ことが目的と

なっています。



パートタイムの派遣労働者だから比較対象労働者も派遣先で直接雇用

されているパートタイム労働者でいいというわけではないので、ご注意

下さい!





http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 労働者派遣法改正(比較対象労働者の選定方法)

2019年10月20日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



派遣元は派遣労働者に対して

 ① 派遣先均等・均衡方式

 ② 労使協定方式

のいずれかの方式による待遇の確保が義務付けられます。



今回から数回に分けて、①の派遣先均等・均衡方式の一連の手続きについて説明

していきたいと思います。

(派遣先均等・均衡方式の手続きの流れは以下の図の通りです)


      
       ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





上記の図に示した通り、派遣契約(個別契約)を締結する前に、派遣先から

派遣元に「事業所単位の抵触日の通知」を行わなければいけませんが、

来年の4月1日からは、それに加えて派遣先から派遣元に

「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」を行わなければならない

こととなりました。



「比較対象労働者」とは、

 『各派遣契約に基づいて派遣元から派遣された派遣労働者を、派遣先で

  受け入れて業務を行ってもらう際に、その派遣労働者の

   ① 業務内容

   ② 責任の程度

   ③ 人事異動の範囲

   ④ 転勤の範囲

  に最も近い派遣先の正社員』

のことを指します。



この「比較対象派遣労働者」は、派遣先が選んで派遣元に情報を提供

するのですが、選び方は以下の通りとなります

 ① 派遣労働者の「業務の内容」「責任の程度」「人事異動の範囲」

   「転勤の範囲」の全てが同じ派遣先の正社員

 ② ①に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」及び

   「責任の程度」が同じ派遣先の正社員

 ③ ①及び②に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」

   又は「責任の程度」のいずれかが同一の派遣先の正社員

 ④ ①~③に該当する者がいない場合は派遣労働者の「人事異動の範囲」

   及び「転勤の範囲」が同じ派遣先の正社員

 ⑤ ①~④に該当する者がいない場合は、①~④のいずれかの要件に該当

   する派遣先のパートタイム労働者又は有期雇用労働者

   (ただし、これらのパートタイム労働者又は有期雇用労働者

    ついては、派遣先の正社員と賃金額等の待遇に関して整合性が

    図られているものに限る)

 ⑥ ①~⑤に該当する者がいない場合は、当該派遣労働者と同一の

   「業務内容」及び「責任の程度」の業務に従事させる正社員を

   派遣先が新たに雇い入れたと仮定した場合における派遣先の

   正社員

   (ただし、⑥の者については就業規則に規定されており、かつ、

    今現在派遣先で雇用されている正社員と賃金等の待遇について

    整合性が図られている者に限る)


       
         ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます



上記の手順で比較対象労働者が決定したら、次は、派遣元に

その比較対象労働者の情報を提供しますが、提供する内容については、

次回、説明させていただきます。







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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html


2020年4月改正 労働者派遣法改正(労働者派遣の流れ)

2019年10月16日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月に労働者派遣法が改正されます。



改正後の労働者派遣の手続きの流れは以下の通りとなります。

(1)派遣先均等・均衡方式



      ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





(2)労使協定方式



      ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





図を比較していただいたら分かる通り、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の

派遣の流れの違いについては労使協定を事前に締結するかしないかの違いしか

ありません。



しかしながら、「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」の内容や

「待遇に関する事項等の説明」の内容が派遣先均等・均衡方式と労使協定方式

では異なることになります。



その違いについては、また、後日、説明させていただきます。









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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 労働者派遣法改正(派遣先均等・均衡方式又は労使協定方式の導入)

2019年10月15日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



今回の労働者派遣法の改正の中で一番大きな改正内容が「派遣先均等・均衡方式又は

労使協定方式の導入」です。



2020年4月1日以降、派遣元(派遣会社)は、

 ① 派遣先均等・均衡方式

 ② 労使協定方式


のいずれかの方式により派遣労働者の待遇を確保することが義務付けられました。



①の「派遣先均等・均衡方式』とは、派遣契約締結及び更新の都度、事前に

派遣先から「派遣先の正社員の賃金等の情報」を派遣元に通知し、その情報を

もとに派遣元は派遣労働者の賃金額等の待遇を決定する方式です。



つまり、派遣先が変わるごとに派遣労働者の賃金等の待遇も変えなければいけな

いことになります。



ただし、Aという派遣先に派遣されていた派遣労働者が、次にBという派遣先に

派遣されることになる場合、Aの派遣先の正社員の賃金額が比較的高く、Bという

派遣先の正社員の賃金額がAよりも低いからといって、派遣労働者の賃金額等を

下げることはできません。この場合は、派遣労働者の賃金額はAに派遣されていた

時の賃金額のままで、Bに派遣しなければいけないことになります。



②の「労使協定方式」とは、派遣労働者の賃金額については、政府が発表した

「派遣労働者専用の職種ごとの賃金額表(これを『職業安定局長通知』といいま

 す)」
以上の賃金額を派遣労働者に支払うという旨の労使協定を「派遣元」と

「派遣元の労働者の代表者」とで締結した場合は、派遣先が変わろうとその労使

協定で定めた賃金額を派遣労働者に支払えばよいというものです。



①の「派遣先均等・均衡方式」を取るか②の「労使協定方式」を取るかは派遣元

が選択します。



プログラマーの職種については「派遣先均等・均衡方式」を取り、倉庫作業の

職種については「労使協定方式」を取るというように、職種ごとに派遣先均等・

均衡方式を取るか、労使協定方式を取るかを選択することも可能です。



また、有期雇用の派遣労働者については「派遣先均等・均衡方式」を取り、

無期雇用の派遣労働者については「労使協定方式」を取るというように

有期雇用と無期雇用で選択する方式を変えることもできます。



ただし、「この派遣先に派遣している派遣労働者は労使協定方式にしよう。

あっちの派遣先に派遣している派遣労働者についてはにしよう」という

ように、派遣労働者の待遇を引き下げることを目的として恣意的に

適用方式を分けることは労使協定の趣旨に反するものとして認められません。




次回以降、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」について詳しく

説明していきたいと思います。

 








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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 改正派遣法はいつから適用されるの?

2019年10月14日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日より、労働者派遣法が改正されます。



では、『改正された労働者派遣法はいつから適用されるのか?」というと、

もちろん、2020年4月1日からとなります。



前回の労働者派遣法の改正(2015年9月30日の改正)では、改正派遣法の

適用のタイミングは、「2015年9月30日以降に派遣契約を締結したもの」

から適用されることとなっていましたが、
今回の労働者派遣法の改正では

「2020年4月1日から全ての派遣契約に適用」されます。




つまり、2020年4月1日時点で派遣契約の途中であっても、改正派遣法が適用

される
ので、ご注意ください!

 







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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf


 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html