李朝時代後期の紙縒(こより)漆塗八角盤です。
紙縒(こより)を編んで、全体を漆で塗り固めた八角盤です。
紙と漆で制作されているので、軽く頑丈です。この軽快な感覚は、木製の盤では得られない魅力です。
制作に費やされた手間と時間を考えると、まさに「手の仕事」と呼ぶに相応しい凝りようです。民芸ファンならずとも、眺めているだけで嬉しくなってきます。
漆で固められた紙縒の表情が魅力的で、温かみのある独特の雰囲気を醸し出しています。落ち着いた黒の世界がシックです。
朝鮮特有の形と透かし文様も見所でしょう。
酒の席の膳として使用しても楽しいですが、花器の台として使えば、花も映えそうです。
和室にも調和しますが、あえてモダンな空間に置けば、インテリアの一部として、より雰囲気を演出してくれます。
※「用の美・下 柳宗悦コレクション─李朝と中国、西洋の美」世界文化社の中で、「かんじんよりを編み漆で固めた八隅盤である。この膳は多分民間の物ではなかったと思われる。礼式用であるが主として子供の初誕生の祝いに使用され、「トルサン」とも呼ばれる。この種の膳はこれからの世では当分生産されないと思う。堅実味をもつ愛すべき作である」と浅川巧は言う。と紹介されています。
祝いの時に、この膳の上に食物の外に男の子ならば筆、墨、銭、糸、本などをも添えて子供の前に起き、無心の子供が真先にそのいずれの品に手を触れるかを見て子供の将来を卜(ぼく)し祝福したようです。糸は朝鮮では、長寿を象徴します。
李朝文化の豊かさと奥深さを感じることができる美しい逸品です。
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